小さな勉強
メイはソルベの大きな手に導かれるように、植物図鑑の26ページを開いた。彼女の金色の瞳が赤い花の絵に吸い寄せられ、胸に抱いた魔石の温もりが勇気をくれる。「は、はい…! え、えっと…この赤い花…ですか…?」彼女の獣の耳がピクッと動き、ふさふさの尾がそわそわと揺れる。初めての仕事に心が弾む。
ソルベが豪快に頷き、笑顔で答えた。「そうそう。その赤い花です。ファイアーフラワーって言うんだけど……これが炎の魔力を増幅させる力があるみたいなんだってね? これを400集めるのが今回の仕事! 一人ノルマ100になるけど、その辺りは気にせずにやりましょう。」彼の気さくな声に、酒場の喧騒が一層温かく感じられる。
メイは図鑑を覗き込み、目を輝かせた。「わ、わん…! 400個も…! でも、頑張ります…!」彼女の尾がパタパタと揺れ、ルミナと目を合わせて小さく頷く。
ソルベが図鑑をめくり、32ページを指した。「それでね、同じような赤い花が他にもあって、え〜っと……32ページだね。32ページにバーニングフラワーってのもあるでしょ? まぁ、見た目は全然違うけど。」
メイは真剣にページをめくり、絵を見つめた。「あ、ありました…! これも…赤い花なんですね…!」彼女の耳がピクリと動き、違いを覚えようと必死になる。
ソルベが肩をすくめ、軽く笑った。「見た目が違うから全然大丈夫なんだけど……やっぱり、仕事終わりとかに集中力が落ちると、間違ってこっちを取っちゃう人がたまにいるのね。そうなると後で色々言われる事になるから、そこだけ注意してね。」
メイは真剣な表情で頷いた。「は、はい…! 間違えないように気をつけます…!」彼女の尾がピシッと伸び、失敗しないぞという気合いが伝わる。
ソルベがニッコリ笑い、仲間たちを見渡した。「まぁ、最後に400集めきったら、俺がバーニングフラワーが混ざってないかも確認するし。」
メイはほっとした様子で、耳がピクッと動いた。「そ、そうなんですね…! ソルベさんが確認してくれるなら…!」彼女の声に安心感が混ざり、ルミナがそっと微笑む。
ソルベが皆の顔を確認し、気さくに言った。「まぁ、注意点はこれくらいかな? 何か質問とかはある?」
ルミナが丁寧に頭を下げた。「ご丁寧な説明ありがとうございます。」
ケントが図鑑を閉じ、落ち着いた声で答えた。「自分も大丈夫です。」
メイはおずおずと手を挙げ、恥ずかしそうに言った。「え、えっと…! 私も…大丈夫です…!」彼女の尾が小さく揺れ、仲間たちとの初めての仕事にワクワクが止まらない。
ソルベが図鑑を閉じ、立ち上がった。「よし、それじゃあパパっと終わらせちゃいましょうか〜。それじゃあ出発しよう。今日は皆でピクニックだ!」彼の豪快な声に、テーブルが一気に盛り上がる。
メイは嬉しそうに立ち上がり、目を輝かせた。「わ、わん…! ピクニック…! 初めてです…!」彼女の耳がピクピク動き、ルミナと並んで酒場の扉へ向かう。
メイたちは薬草の丘へ向かい、ファイアーフラワーを集めた。400個もの赤い花を探すのは大変で、ソルベの言う通りバーニングフラワーとの見分けに集中力が必要だった。それでも、ソルベの豪快な笑い声やケントの穏やかな助言、ルミナの優しい励ましのおかげで、メイの心は楽しさに満ちていた。「わ、わん…! こんなに楽しいなんて…!」彼女は集め終えたファイアーフラワーを手に、ルミナと目を合わせ、尾をパタパタ振った。初めての仕事の充実感が、彼女の胸を温かく満たした。