パーティ結成に向けて
メイの金色の瞳は、酒場の壁に貼られた「薬草集め。募集人数4人」の張り紙に釘付けだった。
紫の魔石を握りしめた小さな手には、初めての冒険への期待と不安が混ざっている。彼女の獣の耳がピクピクと動き、ふさふさの尾がそわそわと揺れる。
ルミナがそっと隣に立ち、赤い瞳でメイを励ますように微笑んだ。「今の私達は二人しかいませんよね? 後、二人の参加者を集める必要があります。そこでメイ様に外の世界の人間との接し方を同時に学べると思いますがいかがでしょう?」
メイは少し緊張しながら頷いた。「う、うん…! 人間と…話すの…怖いけど…ルミナと一緒なら…!」彼女の耳がピクリと下がり、奴隷市での孤独な記憶が一瞬よぎる。でも、ルミナの温かい存在が、彼女に小さな勇気をくれる。
ルミナが横目で酒場の隅をちらりと見た。「それでは、あちらにお酒を飲んでいる人達がいますね? あちらの方達は、お酒を飲んで休憩しているだけではなく、こういった即興パーティを求める集まりの事もあるのです。メイ様、勇気を出して声をかけてみましょう。」彼女の声は穏やかだが、背中を押すような力強さに満ちている。
メイは震える手で服の裾を握りしめ、ゴクリと唾を飲んだ。「え、えっと…」彼女は小さな声で、酒場のテーブルに集まる人々に向かって呼びかける。「あの…そ、その…!」彼女の尾が縮こまり、心臓がドキドキと鳴る。
一人の男がメイの方を振り返り、気さくに笑った。「おっ、何? 姉ちゃん、そこの薬草集めの依頼のパーティ組みたいの?」彼の声は豪快で、酒場の喧騒に負けない響きだった。
メイは少し後ずさりしつつ、必死に頷いた。「は、はい…! 私…初めてなので…優しい方と…組みたいです…!」彼女の耳が不安げに動き、声がかすかに震える。
男が目を輝かせ、嬉しそうに笑った。「あっ、姉ちゃん初めて!? 新米なんだ!?」彼の大きな笑い声に、酒場の他の客がチラリとこちらを見る。
メイは小さく「く、くぅん…!」と鳴き、ほんの少し安心した表情を浮かべた。「は、はい…! 初めてなので…教えてください…!」彼女の尾がパタっと動き、男の明るさに少し緊張がほぐれる。
男は隣に座る屈強な人物、筋肉質で強面の男に振り返った。「始めてなら、ソルベが面倒見てやれよ! こういうのソルベの仕事だろ!?」彼の声はからかうような軽さを含んでいる。
メイは「ひっ…!」と小さく声を上げ、思わずルミナの後ろに隠れた。「こ、怖い人…!」ソルベの鋭い目とゴツい体に、彼女の耳がピクリと下がり、尾が縮こまる。
ルミナが早口の小声でメイに囁いた。「見た目に惑わされてはいけません。メイ様、冷静に情報を整理しますよ?」彼女の赤い瞳が優しくメイを落ち着かせる。
メイも小声で答えた。「う、うん…! ソルベさんが…面倒見てくれるの…?」彼女の心臓はまだドキドキしているが、ルミナの言葉に少し安心する。
ルミナが再び小声で、しかし自信たっぷりに続けた。「今の会話の流れ……恐らくあのソルベという方は、メイ様のような新米の方のサポートを何度もされている方です。大当たりの可能性が高いです。」
メイの耳がピクッと動き、目を輝かせた。「そ、そうなんですね…! じゃあ…お願いできますか…?」彼女は少し勇気を出して、ソルベの方に一歩踏み出す。
ソルベがメイを見下ろし、ぶっきらぼうに言った。「お姉ちゃん、ちょっと待ってな……? 一回仲間と相談させてくれ。」彼はテーブルに集まる仲間たちに視線を移す。
メイは不安そうに手を握り締め、ソルベの背中を見つめた。「は、はい…!」彼女の尾がそわそわと揺れ、期待と緊張がせめぎ合う。
ソルベが仲間たちに話しかけた。「なぁ、お前らリチャードはどう思う? アイツ、金に困ってるけどこんな子に会わせるの絶対危険だよな?」
一人の仲間が即座に答えた。「やめとけ、やめとけ、リチャードはやめておけ。アイツと新米組ませるとロクな事にならねぇ。」仲間たちの笑い声が響き、酒場の空気が一瞬和む。
メイは「く、くぅん…」と小さく鳴き、ルミナの後ろに隠れた。「やっぱり怖い人なのかな…」彼女の耳が不安げに下がり、心臓がまたドキドキし始める。
ルミナが再び小声で早口に囁いた。「いえ、大当たりです。あの方は私達に見合いそうな四人目のメンバーも探してくれています。危険人物は混ざらないような配慮までされてくれています。」彼女の声には、確信と優しさが混ざっている。
メイはほっとした表情を浮かべ、ルミナの袖を軽く引っ張った。「そ、そうなんですか…! 優しい人なんだ…!」彼女の尾がパタパタと揺れ、ソルベへの警戒心が少しずつ解ける。
ソルベが仲間たちに声を張り上げた。「んじゃ、ケントでいっか? 誰かケント探して呼んで来てくれよ。」
一人の男が立ち上がり、笑いながら答えた。「よし、じゃあ俺が探して呼んで来てやるよ。後で酒奢れよ〜!」彼は酒場から軽快な足取りで出て行く。
メイはルミナの袖を引っ張りながら、小さな声で呟いた。「わ、わん…! ケントさんって…どんな人なんだろう…?」彼女の金色の瞳に、好奇心と少しの不安が混ざる。
ソルベが手招きし、豪快に笑った。「ちゃっかりしてるなぁ……まぁまぁ、姉ちゃん達、こっちおいでよ?」彼は自分の席を指し、メイとルミナを招く。
メイは「ひっ…!」と小さく声を上げ、ルミナの後ろに隠れた。「や、やっぱり怖いです…!」彼女の耳がピクリと下がり、尾が縮こまる。