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本当の居場所

メイの『石碑の封印』によって、リチャードの救出と奴隷亡霊の成仏を果たした一同は、鉱山事故で亡魂となった者たちの石碑の前に立っていた。冷たい石碑は、太陽の下で静かに佇み、過去の傷を静かに物語る。

メイ、ルミナ、ソルベ、合流してきたマークの四人は、疲れと安堵が交錯する空気の中で、互いの絆を感じていた。


ソルベが重い声で言った。

「ここが、彼らの石碑だ……だがしかし、ここには彼らの魂はなかったようだな……」

彼の目は石碑をじっと見つめ、深い感慨を湛える。


メイは石碑にそっと手を当て、静かに涙を流した。

「くぅーん...みんなの魂、ちゃんと救われてよかった...」

彼女の金色の瞳は、夜空の星のように揺れ、奴隷だった過去の自分と亡霊たちの無念が重なる。紫の魔石を握る手が、微かに温かさを帯びていた。


ルミナが穏やかに言った。

「メイ様……彼らの魂をあるべき場所に戻してあげましょう……」

彼女の赤い瞳は、静かな水面に映る星のように、優しくメイを導く。


メイはルミナの言葉に頷き、目を閉じた。

「うん...みんな...ようやく安らかに...」

彼女は『石碑の封印』に宿る亡霊の魂をそっと石碑に移した。紫の魔石が微かに光り、魂たちが静かに解放される気配が、坑道の冷たい空気を温めた。メイの尾がそっと揺れ、過去の傷が癒える一歩を感じる。


マークが静かに口を開いた。

「リチャードにはダグラスがお灸を据えてるが、まぁ、今回の一件はメイ……それにルミナ……二人のおかげだ。ありがとう。俺からも感謝する。」

彼の声は落ち着いており、仲間への敬意が滲む。


メイは恥ずかしそうに顔を赤らめ、耳を小さく動かした。

「くぅーん...私なんて、大したことできてないよ...」

彼女の声は控えめで、尾がモジモジと揺れる。仲間からの称賛が、彼女の心に小さな光を灯す。


ルミナが柔らかく微笑んだ。

「いえ、メイ様の皆を救いたいという強い気持ちがあったからこそです。」

彼女の声は、風のように穏やかで、メイの心を包み込む。


メイは照れ笑いを浮かべ、尻尾をモジモジさせながら言った。

「わん!ルミナ...そんな風に言われると照れちゃうよ...」

彼女の金色の瞳に、仲間への信頼と愛らしさが輝く。


ソルベが軽く笑い、言った。

「さて、仕事が終わったから、このまま一杯……と、言いたい所だが……」

彼の声が途中で止まり、真剣な目でメイを見つめた。その視線は、まるで古い墓標に刻まれた問いのように重い。


メイは不安そうに耳を倒し、ソルベを見上げた。

「そ、ソルベさん...?」

彼女の声は震え、紫の魔石を握る手がわずかに強まる。


ソルベは深く息を吐き、静かに言った。

「メイ……ルミナ……君達の過去の事を聞かせてくれないか?勿論、嫌なら断る権利はある。今、暗黙のルールを破っているのは、俺一人だ。君達は何故、そんな力を持っている……?」

彼の声は、静かな水面に投じられた石のように、穏やかだが深い波紋を広げる。


メイとルミナの過去、そして『石碑の封印』の力が、酒場の温もりを遠く感じさせる問いとして響いた。

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