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6 念話

 「これ、”テレパレーション”。魔法。」

 はいはい、念話的なものなんだろうし魔法なんでしょうね?自分に声帯がないのと同じように、彼女?にもなくて声が出せるはずないんだから。

 問題はそこじゃないんだよ。

 なぜヘビの魔物なのに魔法が使えるんだ!?

 固有魔法を持って生まれてくる個体が居たりするの?

 いやいや、今のところ3つの魔法を見ていますが?詠唱とかしてた?

 声出せないからそんなことできないよね?


 「あなた。良い魔物。それに強い!着いていきたい。いい?」

 いい魔物だってさ。嬉しい!着いてくるのはもちろん大歓迎!

 僕は首を縦に振って頷いた。

 「よかった。テレパレーションが通じる魔物、初めて。」

 そうなんだ。こう見えて僕中身は人間だからかな?基本的に念話って通じないのか。

 というか脳内では日本語が再生されているが、さっき見つけた硬貨には全く見たこともない文字が載っていた。なぜか読めたが。


 というか念話!彼女が使えるなら僕も使えるはずだよね!

 僕の声が聞こえてますか――って念じてみた。

 「どうして助けてくれたの?…あ、でもテレパレーション使えないみたい。」

 あ、伝わってませんね。そりゃあパって簡単にできるわけがない。


 「ついて来て。テレパレーション、教える。」

 な、なんだってぇえええええ!?

 それは願ったり叶ったりだ!というか、僕にも念話使えるなら、魔法自体使えるということではないか!?

 喜びのあまり、全力で首を振って返事をした。ちょっと怖がらせてしまったが…。


 「ここ、私のアジト。安全というわけではないけど、一番魔物来ない。」

 案内されたのは、彼女が来た道から外れてさらに奥へ進んだ先。そこには、僕にとっては狭い空間があった。

 幸い、入口はギリギリ僕が通れる広さだった。

 詰まりかけて無理やり入ろうとしたら、そのまま入口が少し崩れて広がってしまったけどね。


 そこには、人間だったものらしき骸骨が三体座り込んで並んでいた。

 「これ、私の主。かなり前に死んだ。」

 彼女は腰に剣を装備した骸骨を見つめてそう言った。

 主……ということは、この子は使い魔的な存在だったのか。かなり前に死んだということは、ずっと一人ぼっちだったということなんだろう。


 すると、彼女は骸骨のそばにあった本を咥えて引きずってきた。

 「これ、魔法書。読めないけど、少し知ってる。」

 ま、魔法書だと!?……というか読めないのになんで知ってる?


 彼女はとあるページを開いた。

 「テレパレーション」と書かれていた。あれ?硬貨に刻まれていた文字とはまた違う文字なのに、僕には読むことができてしまっているのですが……。

 さっきひろった硬貨といいこの本といい、読めるのは転生特典で自動翻訳能力でも授かったのかな?

 だとしてもこれは嬉しい誤算だ。

 えーと、なになに。「テレパレーションは、言語を知らなくとも意思疎通を取ることができる魔法。そのため魔物にも効果がある。ただし、あくまで意思疎通であるため、野生の魔物とまともに会話することは期待できない。テイムした魔物や使い魔との会話に最適。ただし、周囲に漏れるので、使用する状況によっては注意が必要。」だってさ。

 へー、言語の壁を無くすことができる魔法かー。ある意味翻訳魔法ってところ?


 ところで魔法陣と詠唱が書かれているんだけど、これはどっちを使っても同じものが使えるということなのかな?詠唱は、声が出せない僕には縁のない話だ。

 ここに、また別の文字で「”言の葉よ、周囲の魂に響かせろ、テレパレーション”」と書いているんだけど、これも読めてしまうのか……。この翻訳能力、かなりとんでもないかもしれない。

 無詠唱とかって存在するのかな。でも、詠唱を前提としたような高度な技術だったりするんだろうな…。

 「そう思うよね。マシロっぽいヘビさんも。」って伝えたいね。


 すると、隣で魔法陣を描いてた彼女が突然その手(実際には棒を咥えて描いていたから口と言ったほうが良いかも?)を止めた。


 「どしたの?途中っすよ?」

 「ア、ア、アナタネンワツカエタノ!?」

 彼女は突然僕の側まで急接近してそんなことを言い出した。


 「え?どゆこと?もしかしてこれ、聞こえてます?」

 「キコエテル!!!」

 すぐに強い口調のような返事があった。うん。なんで?


 「あのー、どうして僕はそのテレパレーションとやらが使えてるんでしょうか…?僕は多分今日生まれたばかりで、魔法が存在することも今さっきの戦いで初めて知ったんですが……。」

 「……わからない。本来魔法陣通さないと、魔物は魔法使えない。」


 「そうなの?ところで、あなたは何故さっきから魔法陣なしでも使えているんでしょうか?」

 「魔法陣で完全修得(マスター)したから。詳しいことは知らない。」

 魔法陣を体に馴染ませるようなことかな。そうして馴染んだ魔法陣の魔法は無詠唱で使える!だったり。僕の無詠唱についてはさっぱりわからないが。


 「あなた、雰囲気が人間に似てる。」

 「そう思うの?まぁ前世人間だったしね。」

 ここで別に隠すようなことは無いと思ったからそう言った。


 「ゼンセ?なにそれ?」

 「僕は前の世界では人間として生きていたんだ。けど死んだ。死んだ後にどうなるかなんてわかっていなかったけど、なぜかこの僕からすると異世界であるこの世界に。そしてこの姿に。つまり、生まれ変わっていたんだ。」


 「ちょっと難しい…。」

 「たしかにそうだよね…。それより、僕と君は同じ種族だよね?」


 「どうだろう…。詳しいことはわからない。けど、あなたがとんでもない強さの "ヴァイパー"、ということはわかる。」

 ヴァイパーか。なんかかっこいい名前だね!しかもこの子のお墨付きの強さだって!下手に弱い魔物に転生していないだけ断然マシ。むしろ幸運。


 それより残念なお知らせ…。どうやらこの子はマシロの転生先ではなかったようだ…。

 偶然は見た目だけだったみたい…。

 けど、こうやって会話ができる相手を早々見つけることができたのは、かなり幸運だったのかもしれない。


 それによって安心したからか、急に眠気がきて、僕はその場でひと休みすることにした。

念話魔法の名称がごっちゃしてたので、「テレパレーション」に統一しました。

主人公の中では「念話」のままです。

それとマシロっぽいヘビさんのセリフを全部カタカナにするのは面倒で読みにくくなるので、普通に日本語にしました。(2025/8/22)

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