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11 まずい状況かもしれない

 えぇ、転移魔法陣で無事外に転移できたものの、僕の体のほとんどが地面に埋まっているんだけど?どゆこと?あ、これを無事とは言わないね。いやいやそんなことより、シラフィルが言ってたダンジョンの入口はどこ?転移先は入口って聞いたけど、何もないじゃないか!?

 とりあえず埋まっていたものの、ヘビの力でズボズボっと抜け出すことはできた。

 「シラフィル~。どこにいるんだ~。」

 返事はない。

 だが、さっき抜け出してできた空間から気配を感じた。やがてそこから這い上がってきたもの。

 「シ、シラフィル!?どうしてそんなところから……!?」

 「これ、もしかしたらダンジョンが埋まってる。」

 「はぁ!?なんでー?」

 「うん。どうしてこうなったのかはわからないけど……。私が入ったのはかなり昔、ということかもしれない……。その間にこうなったと思う。」

 まぁ……原因を今考えても仕方ない。口に咥えた戦利品も無事なことだし。まずは……

 「「クゥ~~……」」

 僕とシラフィルのお腹が同時に鳴った。

 「腹ごしらえしなければならないね。森に魔物って居るかな?」

 「夜だから、シャドウウルフが居るはず。群れだったらヴァルシリィも満足できる量になると思う。」

 「よし、ならさっそくそいつを探しに行くか。」


 僕はこの巨体故、木々を少々折りながら進むことになった。もし植林場だったらすみませんね……。

 洞窟でのサバイバルに慣れて今更気がついたが、僕の目には暗視効果的な機能が付いている。明かりのない場所がどれほど暗いのかは小学校のときの林間学校で知っているから、外に出た今違和感はすごい。そしてなにより空気がおいしい。現代日本とは比べ物にならない。空気だけで生きて……はいけないのでこうやってシャドウウルフ探してます。はい。

 道中は黒ウサギっぽい魔物やキツネっぽい魔物に遭遇した。先にシラフィルに食べてもらった。シラフィルは3匹でお腹いっぱいになったみたいだったが、僕は巨体ゆえその小さな6匹を食べても腹に溜まった気がしなかった。ただし食感は鶏肉にかなり似ていて美味しかった。一々分解するのがめんどくさかったから丸ごと食べてみたけど、内蔵のエグみがしたから以降はやめた。やっぱりデカい魔物の方が僕には食べやすかったみたいだ。


 それからもシャドウウルフを探したが、居たのはウサギやキツネ、そのままでは食べられない雑魚スライムだけ。これシラフィルが知らない生態系に変わっているとか?まぁもうちょっと大きい魔物が出てきてくれたらそれでいい。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 俺はこの近くの街に住んでいる冒険者。今はナイトラビットを3匹持って行く依頼をこなすため、夜の森に入っている。こんな夜中に入るのは危険と思われがちだが、この森には大して危険な魔物は居ない。基本的には駆け出し冒険者のための森と言ってもいいくらい安全だ。

 だが、さっきから妙な音が近づいてきている。地面を引きずっているようなざらざらとした音。だんだんと振動も感じられるようになった。さらには木々が折れて倒れる音。

 え?……い、一体何が起こっているんだよ……!?危険を感じた俺は立ち止まった。そして音が聞こえてきた方を恐る恐る見る。……は?

 多分見間違いじゃなかっただろう。俺が目にしたもの、それはそこらの木の高さに相当する馬鹿みたいにデカい顔。

 「な、なんだよ……あ、あんなバケモン……き、聞いてねぇ……っ!」

 みるみる近づいてくる。そして一瞬動きが止まった。そいつは俺のことをじっと見つめるようにして……。

 「うわぁあああっ!!!」

 次の瞬間、俺は叫びながら全力で逃げた。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 あ、やらかした。いや、どうしようもなかったか……。

 せっかく人間を見つけたのに、僕のことに気づいた瞬間普通に逃げられてしまった。

 腰に剣を構えていたから多分冒険者だとシラフィルは教えてくれた。あんまり上位レベルの方ではなかったんだろうね……。

 「もしかしたら、ギルドに伝わってヴァルシリィに対して討伐クエストが出されるかもしれない。」

 「討伐クエスト、というのは?」

 「普段冒険者は依頼という形で魔物の狩りで素材を集めたりするけど、特別危険だと判断された魔物が発生したり、魔物の群れが大移動するスタンピードが起こった際、たくさんの冒険者を集めて討伐を行う。それが討伐クエスト。」

 「……ちょっと魔法書を一から開いて欲しい。」


 「なんの魔法を探すの?」

 魔法書をめくりながら聞かれた。

 「もちろんこの巨体をどうにかする魔法。僕自身人間とは仲良くしたいから、争い事はどうしても避けたいんだ。……あ、止めて!」

 もちろんお目当ての小さくする魔法、”スモーラー”を見つけた。


 スモーラー

 属性:無

 階級:上級

 呪文:物象よ、小さき器へと変えろ、スモーラー

 効果:物体を小さくする。魔力量によって縮小を調整できる。一定時間経つと効果は無くなり、物体はもとの大きさに戻る。ただし、人間、魔物、植物を含め、生命に効果はない。


 嘘だろ……これ生物に効かないって……。しかもスモールライト仕様……。

 「なんて書いてある?」

 「ものを小さくする魔法スモーラー。けど、生物には効かないからこれは使えない……。」

 「まだなにか方法はあるはず。透明化魔法とかなら聞いたことがある。」

 「一時的かもしれないけどそれいいかも。」

 透明とうめいー、あれも違うコレも違う!これには書いてないんじゃ……。

 ファイアボール、ストーンウォール、マジックプロテクション、アイアンレジスタント、興味あるけどそういうのじゃなくてさ……あ。「ストップ。」

 これ、これならイケる!スモーラーよりも断然良い!


 グランドトランスミューテーション

 属性:無

 階級:帝級

 呪文:呪文が無いため、魔法陣、もしくは完全修得(マスター)による無詠唱での使用のみ可能。

 効果:特定の種類の生物に変身する。特定の生物に変身することはできない。初回仕様では成功せず、回数を重ねることで精度が上がる。変身後の能力は本人の能力に依存する。変身する種の毛や骨などの一部が必要。


 トランスディスペル

 属性:無

 階級:帝級

 呪文:真の姿に戻せ、トランス・ディスペル

 効果:グランド・トランスミューテーション、及びその下位の魔法の解除。

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