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10 まさかのボス、そして脱出!?

 はい、あれから2時間くらい歩いていますが、ずっと一本道です。どんだけ長いんだ!

 その道中魔物に出会ったが、これまで戦ったような強さの魔物じゃなかったから、特に苦労はしなかった。

 途中魔法の練習をしようと思ったが、安全な場所を確保できていない上、魔力切れになると倒れてしまうから断念した。

 念話も使用中はずっと魔力を消費してしまうから、しばらく何も話せない時間が続いていた。


 そして、ようやく道に変化が現れた。だがそれが問題だった。

 「分かれ道かぁ…めんどいことになった。どっちに行くべきだと思う?」

 「(こんな道あった……?)多分右。」

 シラフィルがそう言ったので、その道を進んでいった。

 しかし、「あぁ~、行き止まりか。」外れの道だったようだ。

 僕らは引き返してもう一つの道を進んだ。

 すると、また行き止まり……ではなく崖で、登った先へ進めそうな場所だった。

 「よし!ようやく地上への目星が付いてきたぞ~!」

 「そうだね。(こんな場所来たことあった…?)」


 しかし、登ったは良いものの、天井の高さがさっきよりかなり低くなった。

 多分ニ階建ての一軒家くらいの高さしかない。

 それでも十分高いだろって?そりゃ普通の人間から見ればそうだろうね?でも今の僕はクソデカヘビなんだぞ。通常の体勢だったら多分その一軒家より高いんだよ。さっきまでの空間、5階建てマンションくらいの高さが丁度よかったんだけど。

 まぁ高さが低くなったデメリットは、やっぱり戦闘になった際の移動が制限されることだね。

 蛇行中は一番低い体勢になっているからいいけど、少し頭を上げただけで天井にゴツンしてしまう。

 ついこのあいだの大ゴブに遭遇したらまずいかもしれない。そうならないか、早く広い空間に戻ってほしいところだ……。


 もちろんその道中でも魔物には遭遇した。まぁグランドスライムの下位種、ただのゴブリン、デカトカゲもどき、狼っぽい魔物、逃げられてなにかがわからなかった魔物などなど。そして人間の死骸から発生したであろうスケルトン。それも含めて特別苦戦するような相手ではなかった。

 むしろ良いことがあった。狼っぽい魔物、”シルバーファングルフ”は焼くとこれが普通に食える。ついに来ましたマトモ枠の食材!牛肉や豚肉のような油が乗っているわけでも、鶏肉のようにいい感じに柔らかいわけでもなく、むしろ硬い。けど味は肉の味はする。獣臭さが若干あるものの、ゴブリンよりもかなり食べやすい。これで今までの食材が受け付けられない体になっていたら良くないけども……。

 まぁそれくらい良い食材に出会えた!調味料とか調味料とかがほしいところだ。岩塩とかならあるかもしれないけど、実際の岩塩がどんなものかは全く知らないから手を付けようがないけどね。


 それからまたしばらく進んでいると、違和感を感じた。これ、若干下り坂じゃないか?魔物と遭遇しなくなったことも気になる。そう思っていると、シラフィルが言った。

 「なにか嫌な予感が近づいてきている。いや、私達がそこに近づいて行っている。」

 シラフィルもなにか気づいたみたいだ。その嫌な予感というのは僕にはわからないが。

 そして奥に見えたのは広い空間だった。入るとそこはただただ広いだけの空間。奥に扉が見えるけども。

 そう思っていたが、後ろで「ガタンッ」という音がした。

 振り向くと、入口に扉が付いていたこと、それが今勝手に閉まったことに気づいた。ちゃんと全身を寄せておいてよかったぁ。残してたらそのままチョンパされるところだった……。それもそうだが、


 「えっ!?なんですか?シラフィルさんこりゃどういうことですか~!?」

 「これは……ダンジョンのボス部屋に入った。」

 「ボス!?じゃあ僕らは出口に向かっていたんじゃなくて、最深部に向かっていたじゃないか!!!」

 そうやって騒ぎ立てていると、突然奥で紫色の怪しい光が出た。……あれは魔法陣…?

 僕が普通に視認できているレベルの大きさ。ボス部屋っていうことは今からそのボスが出てくるんだろう。

 そうして魔法陣から「シャァアア!!!」という音と共にそいつは現れた。だがその姿には流石に驚いた。

 「あ、あれって……」

 「間違いない……。あれはあなたと同じ種類のヴァイパー!」

 ダークグレーを基調とした水色斑点模様が混ざったヘビ、僕そっくりの魔物が現れたのだった。


 なにィィィイイイイ!?僕のパクリが現れやがったぞ!!!いや…パクリとは言わないか。

 「もしもーし!僕にめちゃくちゃ似てるヘビさん。訳してめちゃ似さん。聞こえたら返事してくれ~!」

 「シャァアアア!!!」と舌を鳴らしながら勢いよくこっちに向かってきた。うん。返事はした。

 「ここは平和的に解決しましょうよ~!!!」

 当然それは無視してそのまま噛みつこうとしてきた。僕がそれを避けると、めちゃ似さんはそのまま壁に激突した。砂埃が起こるくらいの衝撃だった。

 「ヴァルシリィ、大丈夫?」

 「うん。平気だよ。この馬鹿がそのまま突っ込んだからさ。」

 僕は苦笑して言った。

 いやほんとに馬鹿ですか?まぁ敵対するならそのままくたばってくだされば……。そう願ったが、すぐに復帰してまた僕に噛みつこうとしてきた。その動きも巨体の割にかなり素早い。突進の威力も含めて、実力も僕に近いのかもしれない。テレパレーション、通称念話は自分の伝えたいことを相手にちゃんと伝えられているはずだから、それを無視されるということは交渉の余地なし。

 「こりゃ話をするのは無理だ。シラフィル、やるぞ。」

 「うん。”ファイアウォール”」

 その魔法は僕とシラフィル、めちゃ似さんを隔てるように炎の壁を作るものだった。危険を感じたのか、相手の動きが一瞬止まった。

 「今のうちにミッドサンダーを!」

 「あぁ、”我を仇なす者にその一撃を、ミッドサンダー”!!!」

 僕の放ったその魔法はファイアウォールを貫通してめちゃ似さんに直撃した。

 流石に効いただろ。かなり苦しそうな様子だった。

 と思ったが怯んでいたのほんの数秒で、ファイアウォールを無理やり通ってこっちに突っ込んできた。そのおかげで少しダメージがあったが。

 「シラフィル危ない!」

 狙われていたのはシラフィルだった。ミッドサンダーぐらいなら普通に耐えられる防御力あるのか……そもそも魔法の攻撃力が把握できていないが。

 僕はすかさずめちゃ似さんの首に噛みついた。牙は皮膚にしっかり食い込んでいい感じにダメージが入った。激しく動いて振り払おうとしてくるが、こっちも必死にそれを維持する。数秒経ったが、毒が効いたような様子は全くなかった。やっぱり毒耐性も持っているよな……。

 刻々と牙が食い込んでいくが、相手はまだ止まらない。シラフィルも魔法を打ってこない。きっと僕も巻き込まれてしまう可能性があるんだろう。なにか秘策は……あった!僕は気合を入れる。

 「”火の粉よ、顕現せよ、ローファイア”!!!!!」

 すると、めちゃ似さんが口から煙を吐いてもがき苦しんだ。

 そう、僕は魔力をできるかぎり多く注いだローファイアをめちゃ似さんの体内に放ってやったのだ!

 結果は大成功。僕も熱さで思わず首を離したが、すぐに反撃してこない。

 「じゃあトドメだ!」

 「”我を仇なす者にその一撃を、ミッドサンダー”!!!”我を仇なす者にその一撃を、ミッドサンダー”!!!”我を仇なす者にその一撃を、ミッドサンダー”!!!」「”ファイアボール"」

 僕はミッドサンダー三連、シラフィルは火球の雨。その連続攻撃は全弾命中。さすがのめちゃ似さんも耐えられず、息絶えた。


 「……ねぇシラフィル。君、普通に強くないか……?僕がゴブリンの群れと戦ったときは最後以外、魔法一切使ってなかったけど……。」

 「あれは……その、初対面でアナタに恐怖を感じていたから……。今はもちろん頼れる味方だと思っている!」

 さっきの火球はすごかった。まるで機関銃のように連続で何十発も放っていた。

 使い魔の魔物ってこんなに鍛えることできるのかすごいな!?


 すると、奥の扉が突然開いた。これってボス討伐完了というやつ?

 奥へ進むと、宝箱らしきものと、その奥に水色に光る魔法陣があった。ただしさっきよりかなり狭くて、勝手に閉まる扉のこともあったから、僕は体をギュウギュウ詰めにしている状態でちょっと苦しい……。

 「あれは転移魔法陣!?ここから出られる!それに宝箱がまだ開いてない……やっぱり未攻略のダンジョンだった……。」

 「ほ、ほんと!?ヨッシャー!!!間違えて奥に来たかいがあったー!!!宝箱も気になるからさっそくシラフィルよ、開けてくれたまえ!」

 そして、宝箱から出てきたもの……!……は、ただの皮切れでした。

 はぁああああああ!???自分にも当てはまることを言うが、あのクソデカヘビ倒してこれが報酬?挑戦者舐めとんのかこのダンジョンは!?

 「なにかの魔物の素材かもしれない。もしかしたら高く売れる。持っていこう。」

 「あ、そうなの?なら…まぁいいか……。使うことはないけどけど強そうな装備とか宝石とか期待してたんだけどなぁ……。」

 「アナタ、ダンジョンに何を期待してるの……?そんなものあるわけない。」

 「そうっすか……。」

 どうやら宝箱はあるけど、ゲームのようなお宝が入っているわけではなく、魔物や鉱石素材くらいで、完成品はないらしい。残念…。


 さて、そんな期待外れでしょんぼりしてるより、目の前にある喜びに浸ろうじゃないか!そう!一週間くらい掛かったが、ようやく地上に出ることができる!

 「それじゃあ行こう!シラフィル!」

 「うん!」

 そして、体を無理やり押し込んで魔法陣に全身がおおかた収まるようにすると、僕の体はその場から消えた。先に僕だけ行ったから少し不安になった。


 そして、気がついたときには全く別の場所に居た。

 目の前には生い茂る木々、おいしい空気、空を見上げると夜だから輝く星々と月……はなんか2つあるんだけど……。そして地面いっぱいに広がる緑!……なんか地面と近くね?僕かなり高いはずだよ?それになんか動きにくい…………いやこれ埋まってるじゃん。

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