6話
その日、悠真はいつものように学校に登校した。朝の空気はひんやりとしていて、爽やかな一日が始まる予感がした。
昨日の出来事が心に少し残ってはいたが、普通の一日が始まるだろうと気楽に構えていた。
しかし、学校に到着すると、何かが違うと感じた。教室に入ると、最初に目に入ったのは春花の顔だった。
彼女は、ただ黙って座っているだけなのに、その視線が異常に強く感じられた。
悠真の目が合った瞬間、春花ははっきりとした強い視線で悠真を睨みつけてきた。
その眼差しは冷たく、どこか怒りを含んでいるようで、悠真はその理由が全く分からなかった。
「何だ、どうして?」
悠真は心の中で呟いたが、口には出せなかった。なぜ自分がこんな目に遭っているのか、理由が見当たらなかった。
その後、授業中も何度か春花と視線が交差したが、彼女の目はずっと悠真を睨み続けていた。
昼食の時間になり、悠真が教室で友達と話しながら食事をしているときも、春花の冷たい視線が感じられた。
彼女が座っている場所から悠真をじっと見つめるその目が、まるで何かを訴えるようだった。
さらに昼食後、悠真がトイレに行こうとして教室を出るときにも、春花の視線が背中に刺さるように感じた。
足を速めて歩きながらも、なぜ自分がこんな目に遭っているのか、全く理解できなかった。
そして放課後、悠真が教室を出ようとしたとき、春花が突然声をかけてきた。
「あの…」春花の声はいつもよりも硬く、どこか引きつった様子だった。
その瞬間、悠真は思わず足早に教室を後にした。何かが怖くなって、彼女と関わりたくないという気持ちが先行してしまった。
春花がなぜこんなにも自分に対して怒っているのか、理解できないままでその場を離れることしかできなかった。
次の日もその状況は続いた。
昼休みのチャイムが鳴り、悠真がいつものように食事を取ろうとしていたその時、また春花が近づいてきた。
彼女は小さく折りたたまれた紙を悠真に手渡すと、何も言わずに去っていった。
悠真はその紙を広げ、そこに書かれていた内容を読んだ。
「屋上で待ってる」
その言葉に、悠真の胸は一瞬にしてざわついた。春花が自分に何を求めているのか、その意図が全くわからなかった。
何か自分がしたのだろうか。何も思い当たる節がないまま、悠真は迷ったが、結局その紙に従って屋上へと向かうことにした。
足音が響く中、悠真は屋上に向かって歩きながら心の中で何度も考えた。
頭の中でぐるぐると考えが巡るが、答えは出なかった。