第一章 世界樹の写し木 第十八話
ソラはさっきの自分もこんな情けない感じだったのか。と、場違いなことを考えながら声をかける。
「よおスカー。怪我無いか?」
「ソラ殿? よかった。合流できたのですね。」
そう言って顔を上げたスカーがベルを見る。
「この方は……?」
「はじめましてスカー。私はベル。突然だけどこのダンジョンから出してあげようか?」
なにもかもを見通すような金色の瞳に見つめられ、スカーは咄嗟に言葉を返すことができなかった。代わりにゴエティアが疑問の声を上げる。
「話遮って悪いが、あんたどうやってこっちの様子を把握してるんだ? 少なくとも監視の目は感じなかったぞ」
「それは私の術式だね。簡単に言うと私の術式は植物を操る術式なの。だから植物でできたこのダンジョンの内部へ干渉して、あなた達の状況を把握していたってわけ。ここまで来たのも同様ね。ダンジョンの構造自体を変えて、直接ここまで来たの。」
「ずいぶん反則的な術式だな。深緑の支配者の称号もそこから来てるわけか。」
「恥ずかしいからその二つ名はあまり言わないでほしいのだけれど……」
どこか困ったような反応をするベルは改めてスカーに問う。
「それで今言ったように、私の術式なら今すぐに貴方をダンジョンの外に開放できるけど、どうする? 当然周囲を囲む迷いの森の外まで繋げるから、その後の心配はしなくていいわ」
「ソラ殿、私は……」
「こっちは気にするなスカー。いきなりで困惑しているかもしれないが、こいつの能力は本物だ。それにこの先の階層でお前のことを守り切る自身はないし、お前自身の為にも一度ダンジョンから出た方がいいぞ。もし何か負い目を感じるのなら、外の世界で力をつけて、さっきのライラみたいに困ったときに俺たちを助けてくれ。」
ソラが気にするなと言ったように笑顔で告げる。ある意味で残酷な一言でもあったかもしれないが、それを受けたスカーは一巡した後に答えを返した。
「お二方、このご恩は必ずお返しします。ベル殿お願いできますでしょうか。」
頷いて返事を返したベルは右手に魔導書を召喚する。ベルが一言呟くと魔導書から緑色の光が溢れ、スカーの正面の地形が変化したかと思うと、螺旋状の下り坂が現れる。
「この道を進みな。数日はかかるだろうけど、迷いの森の外まで危険がないルートをつくっておいたから。」
「ありがとうございます……ソラ殿、ティア殿いつでも私の事をお呼びください。また会える日をお待ちしております。」
「ああ。スカーも達者でな」
「今度は自由を満喫して来いよ」
別れを告げると、スカーはベルの作った道を進み、あっという間にその姿は見えなくなった。
「私が言うのもなんだけど、淡白な別れだね。」
「会おうと思えばいつでも会えるしな。それよりもこの先に進むのも、あんたの術式を使っていくのか?」
「いや、調べたところ四階層以降は異界型のダンジョンで構成されているんだ。管理室がこの階にあるのもそれが理由。正直この階層がやっかいでね。ひとまず四階層の入り口まで行くからついてきてくれ。」
ダンジョンには異界型と言われる、一歩踏み込むと文字通り別の世界へと変わるものがある。その世界の大きさや特徴はダンジョンによって異なるが、単純に空間が見た目以上に広い場合もあれば、法則そのものが現実世界と異なっていることもある。
「異界型か。こんだけ巨大な木を用意しておいて、異界型も組み込むとは贅沢なダンジョンだな」
「それだけダンジョン主の術者の実力が高いってことだけどな。本当に大丈夫なのか?」
ティアが心配の声を上げる。
「そこは君と私の実力を信じるしかないね。さあ、ついたよ」
一行がたどり着いた先には、腕一本が通るのか疑問になるような小さな扉が鎮座していた。
「……これが入り口? どうやって入るんだ?」
「相棒……俺には察しがついたぞ。このダンジョンほんと曲者だ」
「ふふっ。一度休息をとったら行こうか。ようこそ、小人の国へ。」
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