表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/18

第一章 世界樹の写し木 第十二話

 毒。古来より生存競争において、身体の大小、肉体の強さに縛られない強力な殺傷能力である。

 第二階層においてハングリーアントの群れを見た時から、ソラは圧倒的な物量に対して、継続的に、そして広範囲に及ぶ高い殺傷能力をもつアスタロトの毒を使うことを決めていた。

 アスタロトのドラゴンの下半身から放たれる息吹は、アモンのような燃え盛る焔ではなく、その息吹に触れたものを死に至らせる毒の息吹である。

 

「ソラ殿。我々もこの緑の息吹に包まれておりますが、大丈夫なのでしょうか?」


 恐る恐るスカーがソラへと尋ねる。


「それに関しては大丈夫だ。毒といっても生物的な毒ではなくて、魔術的な毒だからな。俺たちに影響が生じないように考慮してくれている。……たぶん。」


「たぶんとは……心配になる一言ですな。」


「だってあいつ、一言も言わずにいきなり攻撃開始したからな。とはいえ今回は詠唱まできちんとしたから、その辺は問題ない。……たぶん。」


 魔道司書が魔導書から術式を発動する際に、魔導書に刻まれた文言を読み上げることを詠唱と呼ぶ。

 そもそも魔道司書が魔術を発動する際の手順としては、発動する魔導書のページを開く。魔力を込める。詠唱をする。以上3つの工程を踏む必要があるのだが、 熟練度の高い術者だと配架した状態のまま、術式の詠唱もせずに魔術を発動することができる。

 ただ工程を省略した分、出力、制御において100%の効力を発揮することが出来なくなる。そのため今回のアスタロトように無差別に影響を与える存在を顕現させるときは、自身を完全に影響範囲から外すために、工程を省力せずに術式を発動する。


「言ってなかったけど、スカーみたいな俺が新規で契約した存在を除くと、ティアの魔術で召喚できるのは悪魔だけだからな。一部の義侠心のある悪魔以外は顕現させた時に気を抜くと、普通にこっちを殺しにくるから危険なんだよ。」


 一階層で召喚したアモンは数少ない一部の悪魔であるため、詠唱を省略してもソラに危害を加えてくることはなかったのだが、アスタロトの場合そうはいかなかったようだ。


 こうしてソラとスカーが話している間も、アスタロトは下半身から緑の息吹を吐き続けている。その際に下の階から何かが雪崩れ込んでくるような音がソラの耳に聞こえてくるが、上まで上がってくるような気配なく、下の階に充満している毒の息吹により先に進めないでいることが想像できた。


 「とりあえずこれで二階層も攻略完了かな。」


 スカーから降りたソラが息吹の中をかき分けながら先に進み呟いた。


「そうですな。なんだかあっけないような気もしますが、あとは奥の間から上に登れば三階層です。」


「そうそう、これでスカーも自由だから外に出たら何がしたいか考えな?」


「外の世界ですか。知識としては知っておりますが、実際に身に行けるとなると何でしょうな。まずは広い場所で外の世界の空気を吸ってみたいですな。」


「たしかに一階層は良かったけど二階層の中は閉鎖的で空気も淀んでいるしな。」


 ふと、空気の話からソラはアスタロトがいつまでも息吹吐き続ける事に対して疑問を覚えた。


「もう十分息吹は行き渡っているはず。下の階に向けてならばまだしも、この階で息吹を吐き続けるのはおかしいな。」


 ソラの独り言を耳にしたアスタロトは上半身の人間部分を180度反転させ、ソラの方を振り向くと、美麗な顔を醜悪に歪める。その後、蛇の右手が食べ残した嬢王蟻の下腹部を左手で指さした。


 そこに残った下腹部をよく見ると、上半身が失われているにも関わらず、その存在を証明するかのように強く胎動し続けている。


 この光景を見た瞬間、本能的に恐怖と呼ばれる感情がソラの全身を駆け巡り、声を荒げる。


「アスタロトッ!」


 その声に応えるように一際大きい胎動が起きると、闇のように黒い一本の腕が、残された下腹部を突き破り、その存在の片鱗をこの世に顕現させた。


「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


と思ったら


下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。


面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!


ブックマークもいただけると本当にうれしいです。


よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ