第1話 電脳夢世界
電脳夢世界……夢を見ながら遊べるゲームだ。
脳波一体型アクションRPGゲームで、作られた夢の中を自由に動き探索できる夢のようなゲーム。
ただ、夢を見なければ遊べないこのゲームの仕様はゲームとしての欠陥が多すぎた。
発売停止となった電脳夢世界略してデンユメ。その存在はゲーマーの間では大昔にあった爆死したトンチキゲームの一つといった認識だ。だがそんなトンチキゲームにどハマりした変わりものも逆に居たという。
「じゃあ今から俺寝るんでテレビは消して静かにしててねメイさん?」
「お前の中を観るだけだ、こちらの準備はできているおやすみユキ」
─ ───────。
おおやっぱココだなーオレはァ!!
薄赤い空間が目に広がる。
「おひさーデンユメ!」
『幸くん聴こえているか?』
「きこえてっすよー」
「あれでもオレ今回は寝る前に耳栓してるよね?」
確認するかのようにユキは両耳をかっぽじる。
「あれれーどーなってんのこれーデンユメまじかー!」
『当たり前だろ……現実の君とデンユメの君は今、夢境状態なんだからな』
「巨乳渋滞?」
『そういうのは現実で済ませてきてくれユキくん』
『それに今日は少々ハイになっているぞ気をつけろ』
「はーい」
「まなんだかしらないけどさあデンユメすげーなー。ずっといたい」
『冗談でもそういう発言はやめたまえユキ』
「ごめんごめん」
「えっとデンユメ遭難者だっけ?」
「てかその子何歳? 今まできかされてなかったけど」
『遭難時の年齢が17歳だな』
「へーその人は生きてるの?」
『あぁ眠ったままでな』
「んでも遭難時に17歳ならこっちで13年過ごせばそれもう30じゃん」
『遭難者はなにも好きでデンユメに囚われた訳じゃないんだよユキくん』
「えーデンユメいいじゃん好きだわ~」
「ま今回もハズレだとおもっけどねー」
「オレはデンユメであそべてお金も貰えればそれでいいー」
『ユキ』
「捜索はちゃんとしますよ」
「でもどこにいるかなんて分からないのでオレ、デンユメをたのしむだけっすよ」
『はぁ……それでかまわん』
『遭難者を発見したら私に報告を最優先でたのむ。キミを雇っているのは私なんだからな』
「了解っス!メイさん」
『まずは新しく生成された君の夢からカケラを手に入れてもらう』
「いつものアレっすね。いいスけどいつも通り速攻で終わりますしオレの夢。その説明省いて良くない?」
『まったくキミは特殊すぎるよ』
「あのドアでしょ」
薄赤い空間にひとつあるドアにユキが近寄り手をかざす。
「ほら簡単」
ドアの向こう側にはがらんとした緑色の空間が見えてきた。
「さてさて今回はどんな玩具かねえ」
空間の真ん中にただ置かれた青色の欠片に手を伸ばすユキ。
カケラ:ショットガンを手に入れました。
「おおーよさげ」
『まったく……デンユメも君には呆れているだろうな』
「だってオレあの頃から何もない夢しか見れないし」
『自力で夢魔を殴り倒すなんて君だけだぞ?それに君の場合、明晰夢を勝手に探索しまわって空っぽすぎる』
「そーなんだよなー、もう俺の夢ってなんもない世界」
だからデンユメおまえはたのしませてくれよ?
キラキラの夢の続きなんて最高だ。そうだろ?