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会敵

 《こちらスカイドルフィン。レーダーにアンノウンをキャッチした。速度は200~300キロ。小型機のようだな、座標を送る》

 

 正規空母『翔鶴』所属E-2Cホークアイ早期警戒機が2機の機影をキャッチした。針路は艦隊に接近しているため、念の為に艦載機2機を発艦させた。

 

 《了解。すぐに向かう》

 

 艦載機はF-14Ⅱスーパートムキャット(以下F14)とF/A18E/Fスーパーホーネット(以下F/A18)である。

 F14は1度は退役の危機があったものの、F/A18を攻撃機寄りにしたことで空戦能力が低下。その結果新興大陸国家の航空機による波状攻撃に対応しきれず、損害が増加。急遽モスボール状態にあった雄猫を叩き起し、アビオニクスを最新の物に取り換えて戦場へ復帰した。スパホは空戦能力はそのままにしつつ、対艦攻撃や対地攻撃に特化していく。

 

 数分後、艦載機から驚くべき情報が入った。

 

 《エスパルス1からスカイドルフィンへ。目標を肉眼で確認。鳥か……?いや、人がいるぞ!》

 

 《これって、ドラゴンか!?》

 

 《こちらスカイドルフィン。エスパルス隊、何を言っているんだ?》

 

 《本当だ!人が乗っている、騎士みたいだ!》

 

 《エスパルス2、アンノウンとすれ違うぞ》

 

 この嘘か真かの報告は一応旗艦に伝えられ、最終的に皇帝の耳元まで届くのだった。

 

 首相官邸 危機管理センター

 

 国交相が机を叩く。

 

「アンノウン機はドラゴンだった?何を言っているんだ!この非常時に!」

 

「まさかだとは思いますが、未知の伝染病によって見せられた幻覚……?」

 

「おいおい待て待て。落ち着くんだ」

 

 優秀が故の信じられない勘違いだ。異世界、タイミングを測ったかのように現れるドラゴン、ここまで分かりやすい伏線はないだろうに。

 

「多分ドラゴンかワイバーンだろうな」

 

 周りの人間全員がポカンとした顔をしている。立場を考えないんだったらこっちがポカンとするわ。

 

「えっと、皇帝陛下、なぜお分かりになられるのですか?」

 

 おいおい、かつて3カ国から同時宣戦布告されて、電撃戦を喰らった時でも落ち着いていたのになんでそんなに困惑しているんだよ。

 

 取り敢えずこういう時の対処法、所謂テンプレを用いて説明することになったのだ。

 

 

 

 ヘルツゴビナ帝国

 

「ワイバーンからの魔電です。転移は成功の模様です」

 

 石畳のホールがどっと湧き上がる。失われかけていたプライドと栄光が帰ってくるかもしれないのだ。

 

「古の大魔法、移転魔法を数世紀ぶりに我が国のみで行うことが出来たのは大きいぞ」

 

 一際高く、他の席よりも派手な椅子に座るのは現皇帝であるアルナ大帝である。彼は保守派であり、帝国の復権を目論んでいる。

 

 ヘルツゴビナ帝国は数世紀前まではこの世界の列強の一角を占めていた。当時剣や槍、弓矢などの時代の時に圧倒的な優位を誇っていた魔法により栄華を極めていた。しかしながら他国が科学技術を推し進め、発展していくと魔法はどんどん過去の遺物となっていき、今では魔法に対する科学の優位性は絶対的なものとなり、残ったのは退廃的な制度と過去にしがみつき、現実を受け入れない故の愚かなプライドと、なんの価値もない東方の領土のみである。

 人口は今も尚、世界最大規模だ。だが実態は今の列強諸国の廉価な労働者を生み出すだけの張りぼて以下の数だ。

 

 そのような中、憂国の貴族たちがとある皇太子を持ち上げた。それが今のアルナ大帝である。彼もまた、国を憂慮していたが、既に外国の利権に飲まれていた貴族や有力な聖教者が当時の大帝を操っており、彼らの利権を守るために僻地に飛ばされていた。

情報戦では比較的中央にいる貴族が買ってでて、資金調達は中西地域一帯を領土に置いていた、現大統領のグルコス伯爵がバックアップした。

そして数年後、遂にクーデターが成功し、ポピュリズム体制が出来上がり、禁じられていた魔法の軍用化を推し進めたのだ。


そして今回列強諸国の露骨な圧力や嫌がらせで失いつつあった転移魔法を成功させた。そしてそこを領土にして、行く行くは遷都する計画なのだ。


「舞台は整った。極東征軍に出撃命令を出せ。無条件降伏するまでは攻撃するのだ。一切手を緩めるな」


『応ッ!!』


こうしてプライドをかけた討伐命令が発せられた。

 


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