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4.兄の手紙、届く

 

-マッセブ伯爵邸・庭園-


 マッセブ伯爵邸の庭園は邸宅の中庭に位置する所にある。景観を損なわない様に木は低木のみ植えられており、更に一般的な身長のご令嬢でも木々に咲いている花とも触れ合えるようになっている。

 そしてこの庭園の目玉でもある百合畑は色とりどりの百合がガゼボ(東屋)を囲う様に咲き乱れていた。

 そのガゼボに六人の女性が庭園の百合にも負けない程の色とりどりのドレスを纏ってお互いの近況等を談笑し、周囲にいる給仕係の女性三人が、自分達が仕えているバイセ・マッセブ伯爵夫人の友人達を紅茶や茶菓子でもてなしていた。


 そこに伯爵家の家令らしき男性が手紙を持ってきた。


「ご歓談中のところ失礼いたします、バイセ奥様」


「あら?一体何事かしら、私はマリー様達とのお茶会を楽しんでいる最中なのだけど?」


 申し訳なさそうに来た家令に対して、先程まで笑顔で友人達と話していたバイセ伯爵夫人が表情はそのままに声と言葉遣いで遺憾の意を表明している。


「・・・はい、先程王都のベンジェフ様よりマリー様宛の文が届きまして、こちらになります」


「にぃっ、お兄様からですか?一体どのようなご用件なのでしょう?」


 自身が仕えているバイセからのプレッシャーに耐えつつ家令の男性は目的のご令嬢に手紙を渡したのだった。

 突然の自身の兄から手紙に戸惑ったものの、その手紙を受け取った赤毛に褐色肌で《筋骨隆々》な身体の女性であるマリー・カーライルが手紙を受け取った。


「バイセ様、お茶会中に申し訳ないのだけれど・・・」


「ええ、構いませんわ。何か重要なご用件かもしれませんし」


「ありがとうございます。では、少しの間失礼します」


 そう言ってマリーは席を立ち一人ガゼボの近くにあるベンチに腰掛け文の内容を確認し始めた。


「王都からの文という事は、先日召喚された聖女様の案件でしょうか?」


 マリーの方を心配そうに見つめながら発言したのはエルナ・サンドマンである。

 マリー達の中で一番小柄ではあるものの、その体を構成する筋肉は一般的な女性と比べてかなりの筋肉量を持ってるにも関わらず極限まで引き締められていた。

 

「かもしれないわねぇ。なんだかぁ、王都からぁ、帰ってきたぁ、お父様もぉ、落ち着きがなかったしねぇ?」


(あね )さまのおっしゃる通りです。何かご不幸ごとでも遭ったかの様でした」


 エルナに同意するように答えたのはヴァリロッサ・オールデン辺境伯第一夫人である。

 マリー達の中で二番目に背が高く、一番の年長者でもある。間延びした声とは裏腹に、その人並外れた上背とそれを支えるため以上の筋肉が見る者に与える心理的プレッシャーは筆舌に尽くしがたい。


 そして、そのヴァリロッサを姉と呼ぶ人物はヴァーバラ・オールデン辺境伯第二夫人である。

 エルナに次いで小柄で筋肉も同じように引き締められているのだが、足を中心に鍛えられているエルナとは逆に腕や背筋等上半身を中心にもっと言うと右腕を中心に鍛えられているようである。


「まったくっ!何処の家も男共は臆病なのが多いのよっ!どんな問題が起きようともドシンッと構えてなきゃ何も対応できないでしょうがっ!」


 一際野太い・・・何ならマッセブ伯爵家の家令よりも男らしい声で周囲の男性の惰弱さに苛立ちの声を上げるのはドリー・パッセこと、セドリック・パッセ侯爵である。

 そう、公爵である!つまり真っ赤なドレスを着た男性である!

 ヴァリロッサと比べても縦にも横にも一回り程大きく、全てが筋肉ともいえる頑強な肉体は騎士団長であるマリーの兄のベンジェフと比べても遜色ない体格である。


「どうか落ち着いて下さいドリー様、聖女様に関しては我が国のみならず世界の命運が掛かっている案件。及び腰になるのも分かりますし、まだ聖女様の案件だと決まった訳でもありませんわ。本日は久しぶりのお茶会です、もっと明るい話をしましょう」


 バイセは夫人としての爵位はこの中では決して優位という訳ではないが、それ以上にこの五人を纏められる人物として全員に評価されているのである。一癖も二癖もある友人達は一般的な貴族が開くイベントには行き辛く、どこか疎外感を受けてしまうのである。そんな友人たちが気楽に参加できる様にセッティングしてくれる、バイセに友人達は感謝しているのである。


 そんなバイセが明るい話をしようと言うのだから、文を読んでいるマリー以外の女性達はその提案を拒否する事も無く、談笑の続きをしながらマリーが元の席に着くのをまつのである。

・名前=マリー・カーライル

 職業=剣闘士

 年齢=29歳

 血縁=姉、兄

 髪型=赤毛。髪を後ろで三つ編みにして、肩甲骨辺りまで伸ばしている。

 外見=兄のベンジェフを全体的に一回り小さくして乳房を付けたイメージ。身長180㎝前半

 肌=褐色

 特技=家庭料理、戦槌による戦闘(対人、対獣に対応)

 悩み=最近姉がお見合い話を持ってくる事。(尚兄はその事を知らされていない模様)


・名前=バイセ・マッセブ

 職業=伯爵夫人

 年齢=28歳

 血縁=弟、父、母

 髪型=金髪。ストレートロング

 外見=友人達の筋肉量の中間程度の筋肉。身長180㎝前半

 肌=色白

 特技=格闘術(柔術や合気道の様なもの)

 悩み=旦那が最近王都にて書類仕事ばかりで、ちゃんと運動が出来ていない為に体を壊してはいないか心配している。


・名前=エルナ・サンドマン

 職業=薬師

 年齢=17歳

 血縁=なし

 髪型=金髪。ショートボブ

 外見=筋肉の付き方は陸上選手のボ〇トの様なイメージ。身長160㎝前半

 肌=色白

 特技=野戦、ナイフ術

 悩み=一部の薬草の値段が高騰し始めたこと。


・名前=ヴァリロッサ・オールデン

 職業=辺境伯第一夫人

 年齢=31歳

 血縁=妹、父、母

 髪型=茶髪、ロングウェーブ

 外見=マリーよりも筋肉が付いている。身長180後半

 肌=小麦色

 特技=フルプレート装備と両腕盾装備での敵陣突貫

 悩み=自慢のフルプレートにどうしても傷がつくのが悩み


・名前=ヴァーバラ・オールデン

 職業=辺境伯第二夫人

 年齢=25歳

 血縁=姉、父、母

 髪型=茶髪。ショートヘア

 外見=メガネ。上半身に(右腕中心に)筋肉が発達している。作中一のフルフラットな胸部。身長160前半

 肌=小麦色

 特技=弓術

 悩み=・・・胸・・・


・名前=セドリック・パッセ

 職業=次期侯爵

 年齢=30歳

 血縁=弟、父

 髪型=黒髪。サイドドリルヘアー

 外見=筋肉以外は騎士団長と同じくらい、筋肉だけは騎士団長に気持ち筋肉をつけた程度。身長200㎝後半

 肌=色白

 特技=バスターソードによる戦闘(対人、対獣に対応)

 悩み=結婚相手の次期侯爵夫人の男装がかっこよすぎて誰かに取られないか不安

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