16.聖女様のお勉強
本日もお越し頂き有難うございます。
今回もマリー様視点になります。
それと、こちらはサービスのマティーニになります。
シュッ!スー・・・ガシャン!
あっ(゜o゜;
聖女様に文字を教える提案を兄さんにした次の日、私は王宮の書物庫から文字盤を持って聖女様のお部屋に移動中です。
もちろん、エノール女官長と書物庫担当の司書さんの許可は貰っています。
文字盤を持ち出した理由は、やっぱり普段使ってる言葉から知って貰うほうが、直に使いやすいと思ったからです。
さぁ、そうこう考えている間に聖女様のお部屋に到着しました。
おや?聖女様のお部屋の入口で護衛をしている騎士さんがこっちを視ていますね。
なんだか若干不安そうな顔をしています。
そういえば、兄さんから私が聖女様に文字を教える先生になるという事は伝わっているんでしたね。
成程、私の恰好を見て何時もの女官服だからちゃんと先生がこなせるか不安なのですね?(※違います)
大丈夫です!今日はエノール女官長が読書の時にしている眼鏡の予備をお借りしてきました!
これなら何処からどう見ても先生でしょう!(スチャ※装着音)
・・・おや?更に不安そうな顔に成りました、何故でしょう?
っと、こんな事をしている場合じゃなかった!
頭を切り替えて、お部屋の扉にノックをして用件を伝えます。
コンッコンッコンッコンッ
「失礼します、女官のマリー・カーライルです。聖女様にこの国で使われている文字を学んで頂きたく、教材をお持ちしました」
そうして中にいた騎士団長(本日は聖女様を護衛する日)が扉を開いて、私を確認(武器等の所持を検査)すると中に通して、私がお部屋に入ったら扉を締めて私の後ろに位置取った。
その際に相方の女官のバイセの方に目を向けると
『遅かったですわね?』
と言いたげな目を返してきた。
ごめんなさい。と心の中で謝罪してから改めて聖女様の向かいに移動して、カーテシーでご挨拶をしてから文字を聖女様にお勉強して頂くことを伝えます。
「聖女様、本日は是非ラーゼント王国で使われている文字を聖女様に知って頂きたく、こちらをお持ちしました」
こう云う相手が面倒だな、と感じる用件は間髪入れずに相手を巻き込む方が話は早い。
剣闘士時代に教わった教訓が活きたわ!(※あくまで剣闘士間でのやり取りにおいてです。)
文字盤を聖女様の目の前にお出しして、どうよ!っとバイセの方に顔向けると・・・あら?
どうして青筋が見えるのかしら?
ふむ?
なにか間違えたのでしょうか?
ギチチッ、ギチッ。
私が疑問に感じた事を考えていると、聖女様が興味深そうに?文字盤を見てきました。
これは、行ける!っと感じたので早速私達が使っている言葉と文字盤を照らし合わせる形で聖女様に文字の教育を開始しました。
−二時間後−
聖女様に文字盤を使いながらお勉強をして頂いて暫く時間が過ぎました。
結論から言いますと・・・、何の問題も御座いませんでした。
正確に申しますと文字盤は開始十分足らずでお役御免になりました・・・。
なぜなら、文字盤では会話は難しいからとバイセが用意していた、紙と羽根ペンでのやり取りになったからです。
その時、バイセがヤレヤレといった目線で私を見てきました。
ヤメて!そんな眼で私を見ないで!
そんなやり取りは置いといて。
確認した処、聖女様は私達の言葉はちゃんと理解していた様です。
文字の方も形と使い方が解らなかっただけで、今は問題なく使えている様です。
聖女様から話を聴いて解った事・・・、いいえ、聖女様が知らなかった事が分かりました。
聖女様は御自身の名前を知りません。
聖女様は御自身に家族がいたかも知りません。
聖女様の住んでいた場所も知りません。
聖女様は・・・御自身が本当に人間だったのかすら知りません。
文字盤について
ラーゼント王国は日本語と同じ様な言語体系で、文字はローマ字と同じ様に『あいうえお』の母音とその前に『か行』『さ行』『た行』と言う子音を付けた文字になっている。(※作者が言語学者で無いため具体的にどんな文字と言われると苦笑いしか出ない。)
本日もここまで読んで頂き有難うございます。
いやぁ、文字教えてもあんまり進展しませんでしたね?
さぁ次回は・・・どうしようかな?
やりたい事はあっても話に結びつけるが難しい!でも頑張りますのでこれからも宜しくお願いします!では!