10.感動する兄そして・・・
今回もよろしくお願いします。
ベンジェフの視点進行します。
聖女様の下に遂にマリーがやってきた。
自信満々の顔でやってきた。
隣にいるエノール女官長は少しやつれている様に感じる。
マリーの女官訓練が始まって二日目に護衛騎士の部屋に乗り込んで来たと思ったら、実家の教育方針から俺自身の脳味噌の造りに至るまで数時間程の説教受けたが、その時と比べても明らかにやつれている。
「女官長殿・・・本っ当にうちのマリーがお世話になりました。」
「いえ、大丈夫ですよ・・・」
「ん?・・・?」
マリーよ何故一番お世話になっていたお前がよく分かりませんみたいな反応をしているのだ。
エノール女官長の方に顔向けると少し諦めたかのような表情で力無く首を横に振られた。
・・・マリーをここに連れて来たという事は問題無いのですよね?
不安は残るがせっかく指導して頂いたのだからマリーにも聖女様の為に働いてもらわなければならない。
マリーを紹介するため俺とエノール女官長、そしてマリーの三人で聖女様のお部屋に向かった。
そして入室前のやり取りを終え、聖女様の前でマリーを紹介した。
「聖女様、遅くなりましたが女官として働く者をまた一人連れてきました」
「聖女様、お初に御目に掛かります。マリー・カーライルと言います、本日より聖女様の身の回りのお世話をさせて頂きますの以後お見知りおきの程よろしくお願いします」
夢でも見ているのだろうか、あのマリーが完璧なカーテシーをしていた。
実家でカーテシーをやらせたら誰がどう見てもスクワットにしか見えなかったのに。
ちゃんとスカートの両を端摘まんでを片足を少し内側の後方に下げて反対の足は膝を少し曲げているじゃないか。
背筋が縦ではなく少し斜めにする事でちゃんと頭が下げられているじゃないか。
言葉遣いに関してはバイセ夫人と交流を持ってから改善されていたのは知っていたが、そうか、エノール女官長の御蔭でちゃんとした乙女になれたのだなマリー。
騎士団長になってからこれ程心を打った事等あっただろうか?
可能ならば五年前に逝ってしまわれた父にも見せたかったな・・・。
せめて今度の帰省の時に墓前に報告しよう、姉上や義兄殿にも教えたらきっと喜んでくれるだろうな。
本当にエノール女官長には何とお礼を言えばいいのか分からないな。
そう思い、謝意を示そうとエノール女官長の方に振り替えるとひどく遠い目をしていた。
何故なのだろうか?
「聖女様、一つお尋ねしたいのですがそのヘルムはもしや騎士団長が被せたものではありませんか?大丈夫です。私は人を見た目で判断するような事はありませんのでそんな息苦しいのは取っちゃいましょう」
ガシッ!
ギチチッ!
聖女様の方に振り向くと馬鹿が聖女様の顔面に手を掛けていた。
女官長&騎士団長「バカヤローっ!!」
多分こうですね。
今回も読んで頂きありがとうございます。
これから続きますのでよろしくお願いします。
次回、聖女キレる!・・・ウソです。