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『あかし』の裏話

ごちゃごちゃしているかもですが、暖かい目で見守ってください。

やほやほ、紬です。


今回はぁ、『あかし』のぉ、裏話をぉ、話したいと思います!!!

(『あかし』という私が書いた短編についてです。未読の方は読んでから来てください。はぁと)


思えば、『あかし』は雰囲気にフォーカスした短編を書こうと意識して書いた2番目の小説だったな〜って思ってます。

最初の小説はこちらには投稿していません。なので実質、私がなろうで初めて投稿した内面重視の小説です!!!


えらい!私!きちんと投稿できてえらい!



それでですね、『あかし』ですが、実はこのタイトル自体が少女の名前です。

なので以降、少女のことはあかしちゃんって呼びます! 男はおじさんって呼びます!


まず、あかしちゃんとおじさんの関係なのですが、単刀直入にいうと彼らは『家族』です。さらに詳しくいうと、おじさんはあかしちゃんのおじさんです。


色々説明が下手なので、分かりにくかったらごめんよ。できる限りわかりやすく説明できるように心がけますね。


えーっとね、物語開始以前、あかしちゃんたちが住んでいた村というか場所は火災で焼け焦げています。

あんま詳しく考えてなかったけど、まあなんかあったんでしょうね。人間関係のいざこざが。


それで、焼けてしまった村は閉鎖空間というか、なんか閉鎖的な村です。外部の人は受け入れない〜みたいな雰囲気バリバリの。

だから村に住むすべての人は『家族』なのです。例外はありますが。


その例外というのが、あかしちゃんです。

この子は村の人たちから家族として受け入れてもらっていません。生まれてから物語が終わるまで、彼女は家族と思われてなかったのです。

理由はあんま深く考えてません。

・母親がよそ者

・生まれてくる前に悪いことが立て続けに起こった

・何か禁忌とされている行為をしてしまった(幼い頃、生まれたてで)

などが理由として考えられると思います。


あかしちゃんとしては、家族だって思ってもらえないことは悲しかったんでしょうね。写真には自分が家族だと思っている人と思っていない人を分けるための印をつけています。

あれですよ。別にすべての村人があかしちゃんに冷たかったわけではないのです。他の村人の変な圧力がない場では、それなりに優しくしてくれる人はいました。そんな人たちは、あかしちゃんにとって家族と思ってもいい人たちがったのです。


写真に、

・家族だと思っている人に「まる」印をつけていたのか

・家族だと思わない人に「まる」印をつけていたのか

については読者の方々の想像にお任せします。


ただ、まる印の場合はあかしちゃんにとって家族以外はどうでもいいからルート、ばつ印の場合はお前らまじ恨んでるからな自業自得だろルートになるのではないかと思っています。


写真はどうやって入手したか、そういえば考えていませんでしたね。

この場でパパッと設定を書きます。

あかしちゃんの行動範囲は基本的にとある家のくらみたいなところ(地下かも)だと思います。日に焼けたことのない真っ白な肌なので。写真はきっと、

・村にあかしちゃんに同情する人があかしちゃんにお願いされて持ってきた

・村にあかしちゃんの力(迫害された原因)を信じていて、なおかつ村に恨みを持つ人があかしちゃんに呪ってもらおうと思ってこっそり入れた

的な感じだと思います。


そのあとに火災が起こったのは

・あかしちゃんが本当に何らかの力を持っていたのか

・閉鎖的な環境で疑心暗鬼&血が濃くなりすぎて狂っていた村人が燃やした

が考えられますね。


村が焼けるほどの火災になってしまったことから、事故という線は薄いですね。

油でも撒いてあったんでしょうね



おじさんとの関係です。

おじさんはあかしちゃんの父親のお兄さんです。ちなみに村のまとめ役の家系なので、村長みたいな感じです。

おじさんの立場を妬んだ村人によって、まだ幼かったあかしちゃんは濡れ衣を着せられて幽閉ということも考えられますね。


おじさんには妻と息子、娘がいます。理想の家庭という感じです。

こちらが狙われなかったのは、まあ色々あって放って置かれていたあかしちゃんよりも人の目があって手を出しにくかったということもあり得るのかなぁと。


おじさんの弟、あかしちゃんのお父さんですが、

・よそ者だったお母さんとの間に子供を作った

・村でもともと迫害されていたお母さんとの間に子供を作った

・普通の人

のどれでもいい気がしますけどまあ、何というか難しいですね色々考えられて。


うーん、このままでは色々不完全燃焼になったしまうと思いますので、最後に結論として物語冒頭につながる道筋を提示したいと思います。



最終結論(時系列)


あかし父、あかし母との間に子供を作る。

あかし生まれる。あかし母は死亡。悪いことが立て続けに起きる。

中規模の火災が決定打となり、あかし幽閉される。(それまでは夜限定である程度自由に動けていた)

あかし父、失踪。おじさんは村長としての立場と、あかしたちのおじとしての立場の板挟みになる。葛藤。

年月が経つ。

村の閉鎖的な性質と人間関係による恨みを持つものがあかしに写真を差し入れる。呪いを願う。

大火災が起きる。

あかしは地下にいたため、無事だった。

おじさんはすべてを失った。写真に印をつけるあかしの元へ突撃。

物語に至る。


って感じですね。




ここからは、物語の最初から途中までについても作者としての道筋を提示したいと思います。


物語冒頭、あかしちゃんは家族だと思っている人に丸をつけています。火災については何が起こっているのか、叫び声でわかっていましたが何とも思っていません。

まっさらになったことでこれから築けるかもしれない、新しい自分の家族について思いを馳せているのでしょう。


あかしちゃんのいる部屋の扉が開きます。おじさん登場。

おじさんは火事を消そうと必死でしたが、その甲斐虚しく村は燃え尽きてしまいます。おじさんの服は泥や煤にまみれていますよね。おじさんなりに、閉塞的な村を、自分がすべてをコントロールしている村を愛していたのです。

しかし、その村は今もうない。家族も火事で不完全になってしまいました。


だから自分に唯一残ったあかしちゃんの元へやってきたのです。自分の精神安定のため、これからのために主導権を握ろうとしたのでしょうね。この時点で錯乱しています。

この錯乱は、あかしちゃんが手に持つ写真を見たことで激しくなり、臆面もなく取り乱します。


あかしちゃんは逃げにくいようにと与えられた、真っ赤で目立つ着物と歩きにくい下駄を器用に扱って、写真を奪おうとするおじさんの手から逃れます。

そう、家族ではないあかしちゃんは写真を持つ資格はないのです。さらにいうならば、見る資格もないと言ってもいい。


「ふふふ、そりゃあ決まってるでしょ。これはね、証なの。印なの。あなたと私、そして皆様。私たちを結ぶ印。血より深く、血より濃い繋がりなんてない。血縁者って、特別でしょう。だからあなたも私を見逃してる。」


この言葉は、あかしちゃんの許しと恨みを表しています。

あかしちゃんだって、血縁上は村のみんなと家族と言えるのです。血は繋がっているのですから。

そしてあかしちゃんは知っています。結局のところ、血よりも強いつながりなんてない。もし血が繋がってなかったら、あかしちゃんは悪いことが起きたその時点で殺されていたと悟っています。

それを庇ってくれたのは、村長であるおじさん。そして仮にも血が繋がっているという事実に無意識に縛られていた村人たち。家族ではなくても血縁ということで、家族よりも強い血縁という事実で彼女は今まで生かされていたのです。


だから、たとえ今までひどい扱いを受けていたとしても、あなたたちが自分を見逃したように、自分もあなたたちの罪を見逃す。そういったことをあかしちゃんは言っていたのです。


「血縁だから、あなたは私を罰せない」


まさにこれですよね。血縁だから、悪いことを引き起こすあかしちゃんに死という罰を与えられない。


この言動から、おじさんは今までの自分の行動は、村長としての決心は結局のところ中途半端だったということに。自分の行動があかしちゃんの暴走の果ての大火災という結果につながったということに気がついてしまいます。自分がこの魔女を生かしておいたから......。たかが血縁。されど血縁。村長の顔色は蒼白になります。

その様子を見て、あかしちゃんはおじさんに笑いかけました。


家族になって、くれるわよね。


ということです。


あかしちゃんは写真を持って、未来の家族候補であるみんなの写真を持って、おじさんに近づきます。

写真が載せられた手のひらを村長に向けて、です。


血縁だから、このこともきっと乗り越えられるわよ。村なんて、また築けばいいの。だって私たち血が繋がっているのよ。大丈夫、火事だって事故って言い張れるわ。

幽閉されて育ったが故に無垢で純粋なあかしちゃんは、血の繋がりしか考えていません。人間の関係性には、血の繋がり以外にも色々な感情が関わってくるのですが......


写真を載せた手のひらをおじさんに向けるも、おじさんは一向に動く気配はありません。

この反応に業を煮やしたあかしちゃんは、写真を床に落とします。少女特有の、わがままってやつなのかもですね。自分の思い通りにならない展開に、イラっときて極端の行動に出る。大人びたあかしちゃんにも、少女的な一面はあったのです。


床に落ちる写真を見たおじさんは、床に這いつくばって写真を集めます。

おじさんにとって、村人が写った写真は過去の栄光や愛情が込められた大事な思い出です。たとえその全てがエゴと錯覚によって、偽善を交えて行われていたものだとしても、おじさんにとっては幸せだった日々のかけらなのです。


かき集めた写真に移る、村人たちの幸せそうな顔。今はなき家族の存在。写真を通して事実を突きつけられたおじさんは、ついに発狂します。


このおじさんの変化を全身で如実に感じ取ったあかしちゃんは、最後に触れることでおじさんから得られる感覚すべてを理解しようとします。


「 乱れた髪から覗くつむじをみて、少女の口元は薄く開く。男の鳴き声が聞こえる。

  小さな口からのぞいた舌が場の空気を味わう。その小鼻は男の煤にまみれた欲望を感じ取った。

  あとは、男に触れるだけ。」


お気づきかもしれませんが、この描写では目、耳、鼻、口、手という五感すべてを表現しております。あかしちゃんは自分の全て、全身全霊をかけておじさんを家族にしようとしたのです。



しかしここで、あかしちゃんにとって予想外のことが起こります。

いえ、むしろ想定内。あえて無視していた展開かもしれませんが。


おじさんは、発狂を通り越して自暴自棄となりました。

そんなものはないと知りながらも、魔女として恐れていたあかしちゃんに初めて手を挙げたのです。


おじさんはあかしちゃんの首を鷲掴みにします。徐々にその指に力を込め、あかしちゃんを、すべての元凶を彼の世界から葬ってしまおうと思ったのです。


『男の左目に写った自分は傍観を是としていて、右目に写った自分は喜色が悲嘆に塗り変わったかのような顔をして涙を流している』


これが先ほど述べた、あかしちゃんの想定外と想定内についてです。

あかしちゃんは、自分とおじさんの結末は

・おじさんによって自分が殺されて終わり

・おじさんが自分を受け入れて家族にしてくれる

という2パターンを想像していました。しかし、あかしちゃんはあえて、前者の自分が殺されるルートを見ないふりしていたのです。


左目の傍観している自分は、見ないふりをしていたけどやっぱりこうなってしまうのね。という感情。

右目の喜色が悲嘆に塗り変わった自分は、家族にしてくれると思ってたのにひどいよ。という感情。


という、あかしちゃんの心に同時に存在する2つの感情の表れです。

言うなれば、左目はあかしちゃんの理性で脳、右目はあかしちゃんの感情で心、といったところでしょうか。


この2つの思いに心をかき乱されたあかしちゃんは、左目の思いである理性に気がついてしまいます。


「こんな自分は知らない。こう思いたかった。だがしかし、それこそが彼女の本質なのだ。」


殺されるほど嫌われている自分。知りたくなかった、と思う。だけど、この自分自身に、隠そうと必死だった自分の状況に気がついてしまう自分自身こそが、彼女の本質、彼女の聡いところなのである。

そう、これこそが彼女のあるべき姿。予想していた結末だったのだ。


意識が朦朧としながらもこの事実に気がついたあかしちゃんは、唐突に様々なことに納得します。

おそらく自分自身をありのままで受け入れることができたからでしょうね。


そしてあかしちゃんは、最後に、口を動かします。

強く閉められた喉で声が出なかったとしても、その言葉なら男にも伝わると思ったのです。


 「あかし」


あかしちゃんは、最後に自分の名前を言いました。

おじさんに呼ばれたことはない。誰にも呼ばれたことがない、この名前。

今までは自分でも怖くて口に出せませんでした。


しかし、最後の最後、自分自身を受け入れた瞬間。あかしちゃんは自分の名前を、自分の存在をこの世に伝えることができたのです。


おじさんは、この口の動きを正しく読み取りました。

きっと頭の中はあかしちゃんでいっぱいだったのでしょう。あかしちゃんの首に手を添えているこの瞬間。この瞬間だけは、おじさんも自分が犯した罪と村の惨状、これからについての不安について忘れることができたのです。だから余計に、この行為におじさんはのめり込みました。

けれども、「あかし」という口の動きによって次第に我に帰り始めます。


自分は何をやっているのだ。村は焼けてしまった。これからどうすればいいんだ。


思いはつもります。この思いを振り払うべく、忘れるべくおじさんはさらに手の力を強めます。


そして、あかしちゃんは動かなくなりました。


おじさんは、指の力を抜こうとしますが、今まで痛いくらいに力が込められていた身体はいうことを聞きません。

図らずも、あかしちゃんが写真を差し出したときと同じ動作で、おじさんは首から指を話します。


「親指。人差し指。中指。薬指。小指。」


糸につられているように、指を開いたのです。



そして、すべてが終わりました。

おじさんは改めて、様々なことに気がついてしまいます。

自分が犯した罪。あかしちゃんについて。これからへの絶望。


まあ、もっとも多く占める感情は今までの人生の長い期間、自分が犯し続けていた罪についての後悔と虚無感でしょうが。


おじさんが犯した罪。それは誰しもが起こしうるものです。

それを言葉にするには、私の文才では到底表現できないです。

あえて言葉にするのなら、なんていうのでしょうか。その場に加担していた。無意識ながらも、他人を迫害していた。守っていると思っていても、その実守ってなどいなかった。

結局は自分のエゴだった。偽善だった。という虚無感につながるものですね。



そして、おじさんは最後に気がつきます。あかしちゃんは、ずっと自分を認めて欲しかったのだと。

ああ、これは自分と同じだ。自分もあかしちゃんと同様に、誰かに、みんなに認めてもらいたかっただけなのに。

自分を認めてもらうために、あかしちゃんを認めなかった。これでは、これでは一体......。


あかしちゃんの気持ちが痛いほどにわかったおじさんは、最後にあかしちゃんの名前を口にします。

あかしちゃんの存在が示される。しかし、すべては手遅れでした。その言葉は誰に聞かれることもなく、宙を漂います。


彼はあかしちゃんのことを想ったのです。


おわり。




うーん、なんかなんか、自分が思っていた以上に深くなってしまいました。

色々難しいですね.....


おじさんも、きっと色々なことを思って行動していたのでしょう。

少しでもこの幸せが長く続くように。そういう思いはあったと思います。

けど、その思いは裏を返せば、自分のエゴにつながる。というか、エゴでしかなった。


こんな感情、読者の皆さんは抱いたことありませんか?

私はあります。誰かに優しくする自分を思い返す。そんな時、結局は自分が頭がいいと見せつけたいだけ、自分が優位だと思わせたいだけ、優しい自分を演出したいだけの偽善だったのではないか。そんな感覚に襲われるのです。


そんなこと言ったら、この世の優しさすべてが偽善になる。やらない偽善よりやる偽善。

このような意見があるのはわかっています。けれども、感情というのは不思議なもので、私にとって偽善はとても残酷なことにも思えてしまうのです。なぜでしょうね。心はわかってくれないみたいです。

頭では偽善も善であると理解しているのですが......。



あまり湿っぽく文章を終わらせたくないので、少し明るい話をします。


たぶん、あかしちゃんはおじさんに家族だって思ってもらえて物語は終わったのだと思います。

おじさんにとって、あかしちゃんも家族だった。本当はあかしちゃんも、自分が守りたかった家族なのだ。結局は傷つけてしまったが、少なくともすべての始まりは善意から、あかしちゃんを守りたかったからだった。

この事実におじさんは気がついたと私は信じています。


だから一概にも、バッドエンドだとは言えないのです。

ハッピーエンドとも言えないかもしれませんが。


結構グダグダな文章をここまで読んでくださった皆さん、ありがとうございました。

あかしちゃんについて、おじさんについて。なにか思うところがあれば、そうでなくともぜひ感想をくださると嬉しいです。

私が私の小説を読むと、どうしても主観に邪魔されて客観的に見ることができなくなってしまいます。

そう言った意味でも、感想は第三者からの意見を知ることができるとても貴重なソースなのです。


『毒のキス、蝶の足跡』の解説もいつか書きます!!!

がんばれ自分! できるぞ私! 文才降ってこい!!!

書いているうちに自分でもわからなくなったような、納得したような。不思議な感じでした笑笑

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― 新着の感想 ―
[一言]  背景設定を知ると、初見の時とは違った後味。繋がりに救われ、縛られ。アカシちゃんもおじさんも互いにもう少し話す場が火災前にあれば、違った結末があったのかな……と読後とりとめなく思いふけりまし…
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