二刻 夢の在処
何だったの?あの夢は…私は、物部さんに手を引かれて燃える屋敷の中を逃げまどい、脱出しようとしてる!これは一体なんなの?
「燐!早く!こっちだ!」
「ハク!こっちはダメだ!」
「クロ!クソ!彼奴ら!散々燐に世話に成っていながらこの仕打ちはなんだ!」
「ハク…ここは、俺が活路を開く!だから!燐様を頼む!」
「クロ、何を言ってるの?私は、そんな事望んで等…」
「ごめん!」
「うっ!クロ…なっにお…」
「行けハク!」
「分かった…死ぬなよ?クロ!」
「死ぬかよ!俺は、燐様側近!右のクロ様だぜ!お前こそ!燐様を死なせるなよ!」
「クロ…ふん!俺を誰だと思ってるんだ!左のハク様だぞ!そんな事ありえんさ!」
「ああ!行け!兄弟!」
「ああ!」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
何だったの?あの夢は…ハクってハクさんの事?それに…クロって…あんな武器を持った人達に追われて…何だったの?まさか…前世の夢…だったりして?
「ありえないわね!」
「何がですか?燐様!」
「物部さん!」
「パンがぽろぽろ落ちてますよ!しっかりして下さい!」
本当だ!テーブルにパンくずがいっぱい落ちてる!
「ほら、こっち向いて下さい!顔を拭きますから!」
「自分で出来ますー!」
私は、物部さんからティッシュを貰い口の周りを拭いた!不覚だわ!でも…物部さんの料理凄く美味し!昨日の晩御飯の鶏もも肉のソテーもバターの効いたホワイトソースがスッゴく合ってお代わりしちゃった!今日は、お弁当も作ってくれるって言うのでメッチャ楽しみなの!
「それより、燐様もうそろそろお出に成った方が宜しいかと…」
「えっ!ヤバイ!もうこんな時間!行って来まーす」
「はい、行ってらっしゃいませ!燐様!」
あーーヤバイよー!今朝の夢のせいて遅刻しそー!本当は、ぼーとしてて遅れたのだけど!急がないと本鈴がなっちゃうー!
「あっ、燐さん!」
「可憐!」
「もう!遅いですよ!明日は、もっと早く来て下さいよ?」
「う…ごめん…家が…ちょっとね…」
「えっ…まさか…そんな…本当に…幽霊屋敷だったのですか!」
「えっ?何々?燐ちゃんの新しい家幽霊屋敷なの?」
「嵯峨生徒会長さん!」
「綾華で良いわよ!それで?燐ちゃんの家幽霊屋敷なの?」
「ちっ、違います!外見がそう見えるだけです!」
「この辺りで…幽霊屋敷って言ったら…もしかして、綾子さんの屋敷?」
「会長…燐さんの家知ってるのですか?」
「あー…うん…何度か遊びに行った事あるよ!」
嵯峨生徒会長…もしかして物部さんの事知ってる?まさかね…
「それより!早く教室に行かないと、遅刻になるわよ!」
「あっ!失礼しまーす!可憐!また、お昼にねぇー!」
「…良かった…少し元気に成って…」
「そうね…それより、私達も急ぎましょう!」
「はい!」
もー、やだ!変な夢のせいで遅刻しそうだった!本当!いい加減にして欲しい!