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時空間魔法で異世界旅行記  作者: 紙紙紙
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アジトから街へ

 ディメンションホームに避難したマモルとククリにベラは回復魔法を使い微量の毒素を浄化する。その後、マモルは床に座りベラは机の端に座り何故時空間魔法が使えるのかマモルに教える。ククリも耳を傾けた。


「あの檻の中では魔法は使えないのは確かです。

 けど、マモルさんの時空間魔法は別です」


「と言うと?」


 マモルは首を傾ける。


「この世界では魔力を消費して魔法を使うんですが、マモルさんの時空間魔法には魔力の消費がないんです」


「そうなの?」


「はい、神様から教えてもらいました」


 ベラは次に檻の仕組みを話す。


「あの檻は魔封じの檻って言う代物です。

 中にいる者の魔力を封じてしまうんです」


 ベラの説明でマモルは理解する。


「魔力を使わないから俺の時空間魔法が使えたって事?」


「正解です」


「なるほど……」


 話が一段落したとククリは思いマモルの肩に頭を乗せる。


「どうした?」


「クゥン」


 撫でて欲しそうな目で見てくるククリの頭をマモルは撫でる。


「マモルさんこれからどうします?」


 ベラは机からマモルの右肩移動した後尋ねる。マモルはうーんと言いながら頭を働かせ考える。


「そうだベラ、ディメンションホームって違う場所に扉を作ることって可能か?」


 違う所から出れれば戦わずに逃げれると思ったマモルはベラに聞く。


「マモルさんが一度訪れたことのある場所を鮮明に想像しながら唱えれば可能です」


「わかった、やってみる」


 マモルは今まで通ってきた道を思い出し、盗賊の頭イアと会った街道を想像する。


「ディメンションホーム!」


 キッチンを作った壁に向かってマモルが唱えると扉が現れる。


「ベラ、周りに盗賊とかいる?」


 ベラはワールドマップを確認する。


「はい、大丈夫です」


「わかった。気を付けて行こう」


「ワフ!」


 マモルたちは扉をそっと開け外の様子を見ながら出る。ベラのワールドマップで安全だとわかってるけどマモルは用心する。

 外に出ると夕焼けだった。空を行く名の知らない鳥の姿が漆黒の影に見えるほどの、濃厚な赤い空だった。見入ってしまっているマモルにベラが言う。


「マモルさん行きますよ」


「あ、ああ」


「マモルさん見える範囲を指定しクイックを使って一刻も早くここから離れましょう」


「了解、クイック」


 マモルは見える範囲を指定する。それから自分とベラ、ククリに魔法を掛ける。

 マモルたちは目に見えない速さで移動して、歩きなら結構かかる距離を一瞬でスーリンガの街に辿り着く。怪しまれないように一旦近くの林に隠れてから街道に合流する。

 マモルたちは街に入るために検問待ちの列に並ぶ。他の並んでいる人々がちらちらとククリを見てくる。ベラはフードに隠れる。


「やっぱククリの存在って珍しいんだね」


 フードに隠れているベラに小声で尋ねる。


「それもありますが、魔物は基本人に懐きませんから」


「そうなんだ」


 人々の視線を感じながら待っているとマモルたちの番が来たため衛兵に呼ばれる。そして衛兵の前に行くとククリに驚かれ、警戒される。そして、フードに隠れていたベラも顔を出す


「ブレードウルフに妖精だと?」


 衛兵の質問にマモルは素直に答える。


「はい、ここに向かう途中で傷ついたこいつらを見つけて治療したら懐かれまして……一緒に旅をすることにしたんですが、こいつらと一緒でも入れますか?」


 マモルは衛兵に一応確認する。


「あ、ああ。問題ないがこいつがお前のものだと分かる目印を体の何処かにつけておいてくれ」


「わかりました」


 マモルはズボンのポケットに仕舞っているポケットを広げククリの首に巻き付ける。ククリは尻尾を激しく振り喜んでいる。ベラには似合うアクセをあとで渡そうとマモルは思う。


「これでいいですか?」


「ああ、それで構わない。それじゃ身分証を提示してくれ」


「あの……俺身分証持っていないんですが、どうすればいいですか?」


 身一つで来たのだ当然マモルは身分証など持っていない。マモルの問いに衛兵は優しく答える。


「身分証が無ければ入場料を払ってもらうことになる。お金はあるか?」


「あ……」


 当然お金も持っていないマモルが困っているとベラが小声で話しかけてくる。


「マモルさんポケットにお金を入れときました」


 なんでベラがお金持ってるのってマモルは聞きたがった先送りにし、ポケットからお金を取り出し衛兵に渡す。


「確かに。

 そうだ身分証ないなら冒険者登録しておくといいぞ。この時間から行くのはおすすめはしないから翌日にするといい」


「分かりました」


「ようこそ、スーリンガの街へ」


 マモルたちは門を潜ると中世ヨーロッパの映画に出てくるような建物が目の前に広がる。ちょうど夕食時なのか外食している人々が溢れている。マモルはさっそく串焼きを売っている屋台に並ぶ。


「すいません、六本ください」


「はいよ、直ぐ食べるかい?」


 白髪交じりの屋台のおじさんが尋ねる。


「四本は持ち帰りで、二本すぐ食べます」


「今焼くから少し待っててくれ」


 肉がジュージューと焼かれる音を聞きながらマモルたちは焼きあがるのを待つ。


「はいよ、お待たせ! 熱いから気をつけろや


 マモルは串を受け取ると一本をククリに食べさせてからマモルも食べる。


「美味しい……おじさん、これ凄く美味しいです」


「おう、ありがとよ」


 屋台のおじさんは嬉しそうな表情で答える。

 屋台の邪魔にならないところに移動する。食べ終わるとマモルは屋台のおじさんに話しかける。


「おじさん、ごちそうさまでした」


「おう、また来てくれ」


「はい。では!」


 マモルは屋台を離れ宿屋を探すべく街を散策する。


「ベラ、宿屋が何処にあるのかわかるか?」


「はい、少し歩いたところにあります」


 ベラの案内で宿屋に着くと看板には「満室」の文字が書かれている張り紙が貼ってある。


「満室か……他の宿屋探すか」


「ここからだと……こっちですね」


 またしばらく歩くと宿屋が見えてくる。けど、同じく満室の張り紙が貼ってあった。その後も宿屋を巡るも全て同じ結果。マモルたちは広場にあるベンチに座り考える。


「なんで、どの宿屋も満室なんだよ……」


「何ででしょ……」


「クゥン……」


「もう、ディメンションホームに戻るかな……」


 せっかくの異世界の宿屋に泊まりたかったマモルだが諦めディメンションホームにするかと悩んでいると一人の男性が話しかけてくる。


「お? さっきの兄ちゃんじゃねか、どうしたこんなところで?」


「おじさん!」


 マモルは串焼き屋のおじさんに宿屋の事を尋ねる。


「ああ、それは近くに新しいダンジョンが出来たおかげで冒険者が宿屋を長期でとっているからだ」


「そうなんですか……」


 宿屋事情を聞いたマモルはディメンションホームにしようと思っているとおじさんが話しかける。


「泊まるところないなら狭いが家に来るかい?」


「え、いいんですか!」


 おじさんの提案にマモルは驚いて聞き返す。


「構わないぜ」


「ありがとうございます! えっと、俺マモルって言います。こいつがククリで」


「ワフ!」


 ククリが元気に返事する。


「こっちがベラです」


「ベラです、よろしくお願いします」


 フードに隠れていたベラがひょこっと顔を出し自己紹介する。


「妖精か初めて見たぜ……俺はパイウスだ、よろしく」


 軽く自己紹介を終わらせるとパイウスが屋台を引いているのをマモルは気づく。


「あ、お手伝いしますよ」


「そりゃ助かるぜ」


 パイウスが引き後ろからマモルが押してパイウスの家に向かうのだった。



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