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時空間魔法で異世界旅行記  作者: 紙紙紙
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初めてのクエスト

 翌日、マモルたちは口座を受け取りに冒険者ギルドを訪れていた。

 ギルドマスターのヴァーナルにまた絡まれるのではないのかとマモルはびくびくしてのだが、ヴァーナルは午前中に王国中心の街――王都カンシャスに向かっていたため留守だった。この事を受け取った時にエレミレに聞かされたマモルは安堵した。とっても安堵した。


「マモルさん今日はクエスト受けられますか?」


 対応していたエレミレが尋ねてくる。


「はい、その予定です。初めてなんで採取クエストを受けようかなと」


「そうですね、なら……」


 エレミレは分厚いファイルを取り出し一枚の用紙をマモルに見せる。


「このクエストなんかどうですか?」


 エレミレが見せたのは回復ポーションの材料となる薬草を三束。さらに追加があれば報酬金が増えるという初心者向けの採取クエストだ。


「初心者向けのようですね。分かりました、それ受けます」


「ありがとうございます。では、気を付けて」


「はい、行ってきます」


 マモルたちはギルドの出入り口に向かうとアイラとすれ違う。


「あ、マモルだ。これからクエスト?」


「うん、薬草の採取だけどね」


「そっか、気を付けてねーベラとククリも気を付けてね」


「はいです!」


「ワフ!」


「じゃ行ってくるよ」


「いってらっしゃい」


 昨日の件でマモルとアイラの仲はぐっと近づいたのだった。

 アイラと別れマモルは外に出る門に向かう。そこには以前対応してくれた衛兵が槍を持って立っていた。


「お、この前の。無事に身分証作れたのか?」


「はい、おかげさまで。先日はありがとうございました」


 マモルは首にかけているギルドカードを衛兵に見せる。


「気にするな。あ、そうだ。少し待っててくれ」


 衛兵は詰め所に戻っていく。しばらくすると手に何かを持って戻って来た。


「ほれ、この前入る時に支払ったお金を返すのとこれからクエストだろ? 少ないが回復ポーションだ持っていけ」


 マモルは素直に受け取る。


「ありがとうございます。お金って戻ってくるんですね」


「ああ、念のために摂取しているだけだから。身元が保証されれば返す仕組みだ。教えてなかったか?」


 マモルは首を横に振る。


「伝え忘れていたか、すまん!」


「いえ、気にしないでください」


「そうか。戻る時はこっちの門からだからな。暗くなる前に戻って来いよ」


「分かりました」


 マモルたちは門を潜りスーリンガの街近くにある鬱蒼とした森に入る。


「ベラ、薬草が生えている場所ってわかる?」


 ベラはワールドマップを使い確かめる。


「こっちに薬草がいっぱい生えている場所がありますよ」


「分かった」


 ベラが先に行きマモルとククリが後から追う。


「ククリどうしたの?」


 ちらちら後ろ見るククリにマモルは尋ねる。


「ワフ!」


「なんか後ろにいるのか?」


「ワフ!」


 マモルは後ろ見るがそこには木々しかない。


「ベラ、なんかいる?」


 ワールドマップをみたバラだけど首を横に振る。


「何もいないはずなんですが……」


「そうか。とりあえず行くか」


「わかりました」


「行くよククリ」


「ワフ!」


 マモルは自身とベラとククリを纏めて範囲指定しつつ、いつでも魔法が使えるようにしながら向かう。

 しかし、何も起こらずマモルたちは無事に薬草が群生している場所に辿り着いた。


「沢山生えているな。よし採取するか」


「マモルさん、全部取っちゃうともう生えなくなっちゃうので採り過ぎ注意ですよ!」


「分かった」


 マモルとベラは薬草をどんどん集めあっという間に三束出来上がる。ディメンションボックスに集めた薬草入れている時突然ククリが何もない方に犬歯を剥き出し威嚇する。


「ククリ?」


「グウウ!」


 マモルが呼び掛けてもククリは威嚇を止めなかった。


 ククリの突然の行動にベラはワールドマップを見ると痕跡を確認する。


「マモルさん、どうやらシャドーウルフがいるみたいです」


「シャドーウルフ?」


「影を操る魔法を使う魔物です。影の中を自由に移動出来て厄介な魔物です。暗いところに住んでいるはずなんですがなんでこの場所にいるんだろう……」


「そうなんだ。シャドーウルフの場所分かる?」


 マモルが尋ねるがベラは首を横に振る。


「ごめんなさい。影の中にいるようで特定できないです……」


 マモルの力になれなくベラは落ち込む。そんなベラの頭をマモルは撫でる。


「とりあえずどう――」


「ガウガウ!」


 突然ククリが咆えだしその方向にマモルが目を向けると全てを呑み込む漆黒の毛皮を持った中型犬ぐらいの大きさのシャドーウルフが姿を現す。


「あれがシャドーウルフ……思っていたより小さいな」


「あのサイズはまだ子供に当たります。どうしますか?」


「どうするって、うーん攻撃してこなければこっちからはなんもしないけど……」


 マモルが考えているとククリはシャドーウルフに近づき「ガウガウ」「ワン」と会話をしだす。


「なに話してんだろうな」


「ですね」


 マモルとベラはククリに任せ見守る。そして、話が終わりククリが戻ってくるとマモル袖を引っ張る。


「ど、どうしたんだよククリ!」


「ガウ!」


 ククリはついてこいと言ったげに鳴く。

 マモルとベラはお互いに顔を見合わせる。


「ついて行けばいいのか?」


「ガウガウ!」


 ククリが鳴くと走り出す。シャドーウルフも一緒に走り出した。


「ククリ、待って!」


「待ってくださいマモルさん!」


 走り出すククリの後を追うマモル。ベラも飛んでいきマモルのフードの中に。

 マモルたちは太陽の日がほとんど射さないより暗い森の中を進むのだった。



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