むせかえるレモングラス
都会の真ん中の一軒家、その庭に生まれた庭ガエルと庭のご主人様との往復書簡。
カエルはご主人様のいない昼間の奥様の行動をご主人様に報告している。
ある日その庭に得体の知れない男が登場、なぜか奥様ととても親密な関係。
庭で繰り広げられる情事にびっくりするカエル。
でもとても仲睦まじい夫婦のようなのに、この男とは誰なのか。
蒸せ返るレモングラス
庭のご主人様へ
初めてお便りをいたします。私生まれも育ちもこの庭の中、と言っても昨日始めて池から庭の草むらの中に飛び出てきた、今年新生の庭ガエルです。まずはこんな天国のようなお庭に生まれたことへ感謝を申し上げたいと思います。
何よりこの草むらちょこっとほじればそこここに出てくる太っちょミミズ、これ本当にお美味しい。その辺にいる干からび痩せこけミミズとは別物、丸々太くて脂がしっかり乗って、ご主人様の世界ではこれらの大きいのをうなぎといって珍重なさっているとか、やはり古今東西マルマル太っちょは美味しいですよ。
いきなり脱線していまいましたがいつもいつも腹一杯に食べられる、これほどの感謝はありません。この度晴れてこの地上の楽園にカエルデビューしたので、まずはご挨拶をと思ってこのお手紙を差し上げている次第です。
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朝のメールチェックをしていたら、とりわけ注意を引くための赤チェックのついたメールが入っていた、一体なんだろうかと訝しく思い、いきなりゴミ箱ではなく一応プリントアウトしておいた。
昼休みの時間にもう一度開いて眺めてみた。全く狐につままれたような、でも楽しい話だ。確かにこの1週間、庭のオタマがカエルになって池からたくさん上がってうようよしている、これは毎年の光景、さして気にとめるでもなく、昨日なんかはやや千鳥足だったので多分に幾つかは靴底になったかもしれない。
まあでもこの東京のど真ん中、東京ドームの歓声が聞こえるようなところで、庭のカエルなどというのもかなり変わった話題、そう品のない言い方でもないし、とりあえずはご返事しておこう。
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庭ガエルさんへ
初めまして お手紙ありがとうございます、楽しく読ませていただきました。都心の真ん中ですが、この庭にも毎年の風景が訪れます。まず梅が咲き、やがて桜になり、さらにはいくつもバラが順番に花を咲かせます。池の水もぬるみ鯉が活発に動き回るようになるとたくさんのオタマがカエルになって現れてくるのです。
こんな家での生活、二十年やっていますがカエルさんからのお手紙は初めて、確かにお隣どうし、お手紙いただけたのはとても幸い、これからもよろしくおつきあいのほどお願いいたします。
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こんな手紙は初めてだ。でも日常のいろいろな策謀とはちょっと種類の違う手紙、これはこれで結構楽しそう、この話乗ってみる価値ありそうだ。
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ご主人様へ
今日は一日快晴、レモンの花が満開です。お気にいりなのか、その上にたくさんの蜂がブンブン、わたしらには楽しい音楽。
もっとかしましいのがスズメ、今年は私たちと同じようにたくさん子供が生まれたようです。樫の木の中でかくれんぼをして遊んでいますが、これがどうしてどうしてとても油断のならない相手、私たちは格好の餌のようで、いつ何時空から降ってきてあの嘴にもっていかれるか、だから絶えず天空を見回して草むらの中に隠れるようにしています。
ここの草むらにはレモングラスというとてもいい匂いのする丈の高い草がたくさん生えていて、これは気をつけないと食べると下痢になるのですが、でもその匂いはうっとり、何か麻酔にかかったみたいに恍惚の状態です。
私の友人たちもこのレモングラスの中でうっとりついうたた寝、で気がつくとスズメの嘴の中という悲劇、甘い香りには気をつけましょうです。
私の住処の横に新しく羽ありが巣を作っています。無数の蟻が前を右往左往、これらは格好の昼食、ちょっとジャリジャリするけれど手当たり次第、なんともお手軽な環境です。
そして今日奥様は一日中レモングラスをかいでうっとりしながら池のお掃除をしておられました。私たちが池から上がったので十分ゴミさらいができるとかで。
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カエル目線で草むらの中のことまで手に取るようにわかる、会社の殺伐風景とは全く異なった空間、いつしか会社メールの中に紛れてくこの手紙を毎日期待して待っているようになった。
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拝復
毎日楽しく読ませていただいております、手紙からレモングラスのいい香りがプンプン、会社にいてもその香りに包まれているような気になります。また折に触れて楽しいお話を聞かせてください。そう言えばそろそろ隅のところで紫陽花の花が咲く頃、ここのは青というか紺に近いけれども、基本は空色というなんとも変わった花ですよ。
紫陽花の隅っこの岩の上は、その上に金木犀が被さっているおかげでいつも日陰になっています。暑さがしのげるきっとカエルさんには居心地のいい場所では。だからその横の赤い岩の上は毎年たくさんのカエルさんが集まっていますよ。
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ご主人様へ
紫陽花の花は明日には咲きそうです。そうそう、あの赤い岩は涼しくて湿っていてその上柔らかベッドになる苔がいっぱい、とても気持ちがいいのでいつもお昼寝に出かけています。たくさんのトモダチガエルも集まってお昼寝しながら色々のよも山話、あまりにかしましくてお昼寝にならないことも多いのですが。
ところで今日は暑い日中にもっと暑いことがありました。昼過ぎいつものようにレモングラスの中でうたた寝していると、門が開いて誰かが入ってきました。いつもの御用聞きかなと思っていたのですが、いつもと違うのはドアを閉めて鍵までかけたことでした。程なく家の中から奥様が出てきて、何か一言二言声を掛け合っていたのですが、次の瞬間四本の足はぴったりくっついていました。レモングラスの根がちぎれるほどに踏みしめられてくるっくる二回転、そこにはレモングラスの甘い香りを打ち消すがごとく極めて濃厚な重ったるい匂いが充満、それと同時にその場を支配するような荒い息。
私はもう本当にびっくり、確かにここは塀で囲まれた庭の中、鍵さえかけてしまえば、空だけが覆う明るいけれど誰からも邪魔されることのない密室開放空間。平和だった庭の中で突然繰り広げられたとんでも風景、一体何が起きているのか、下から見上げるのも怖い。
かれこれ十分は密着時間でした。ようやく四本の足は離れ、同時にあのなんとも言えない濃厚な匂いが薄れていきました。再びレモングラスの香りが漂い辺りにやっと平和が戻ってきて、頭上では何か小声でささやきのようなものが往き交っていました。密室空間で空から以外は覗かれることはないけれど、やはりお隣はいるので声を出しては聞かれてしまうのです。
その後四本の足は並んで紫陽花の花の元に行ったり、満開のレモンの花をかいだり、次にはじっと池のほとりでしばらく佇んでいました。かれこれ三十分はいたでしょうか、最後にまたぎゅっと密着、危うくあの濃厚な匂いが支配しそうになったところで離れて男は出ていきました。その後はなんとも緊張が解けた虚脱状態、奥様はゆっくり部屋の中に戻っていかれて、私もどっと疲れて深い眠りに落ちてしまいました。
あの男の人は誰なのでしょう。今までここにきたことのない人です。普段の出入りは私の住処からは丸見え、毎日が暇ですからいつも好奇心満々でみています。
クリーニングのイケメンお兄さん、宅急便のやや疲れた感じのおじさんなどなど、一番かっこいいのは酒屋のお兄さん、毎日の配達に元気一杯、彼が来ると庭の空気が一変に緊張します。庭の木々も我先に歓迎するようで、すっくとそのとき誰よりも高くなっていようとしています。
でもあの男の人は誰。ちょっと影のある感じで大股で歩いています。それよりも特異なのは奥様の方、いつもは庭の木々のところでそれらを眺め、愛で、いろいろな香りを嗅いでいらっしゃるのに、あの男が来たときだけは他の木々や私たちには全く目もくれないでまっすぐその人の元で密着、いきなり危険な匂いをばらまいたのでした。その勢いといったら周りの私たちはむせ返るほど、そばで群れていた蜂なんかとんでもないという感じでさあっと引き上げていきました。
さてさて今日は結構込み入ったお手紙になってしまいました。正直どうしようか迷ったのですが、でもやはりせっかくお知り合いになれたのに黙っているわけにもいかないと思いしたためた次第です。本当のところはよくわかりません。私は怖くて目をあげられなかったので、下の方で足が密着しているのしか見ていませんので。
この次きたらもう少し詳細にご報告いたします。池のほとりの岩の上に登れば庭全体が良く見渡せます。向こうはきっと私のことなど気にもかけないでしょうから、私の方はしっかり何にも気兼ねなく観察できるのです。
ただしあくまでもあなた様がお望みならばのことです。こんな快適な楽園を提供してくださっているご主人様のためになるのなら楽園の木々や虫たちなんでもします。
でも私たちはご主人様と同じくらいに、ときにはそれ以上に奥様のことも愛しております。奥様は常々私たちの動向を気にかけてくださり、いつも庭に出て雑草を取ったり池の泥を掃除したり、あちらこちら少しでも快適になるようにそれはそれは本当に色々尽くしていただけるのですから。
私たち本当に悩みが大きいのです、いったいどっちの立場に立てばいいのか。ご主人様に黙っているのは問題であろうとは思うけれど奥様の行動も合点がいかないので。
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この先どうしたらいいのか、今日は何にも手がつかない。いったいこれはなんなのか、まずは真偽のほどが全くわからない、果たしてこのカエルは誰。なぜ手紙をよこした。このことを知らせたわけは。何が目的なのか。私の取るべき対応方法は。このまま放置。それでは疑念が大きくなるばかり。でも無視はできない。次の手紙を待つのか。わからない、わからない。とりあえず次なる手紙を書いてみた。
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カエル様へ
詳細なお便りありがとうございます。正直私には何が何だかわかりません。毎日の家の中の生活も庭の雰囲気も、そして何より彼女の雰囲気も何もかわったことは見当たりません、と少なくても今は思っています。そんな目で見たこともないので。
私は今は何もしないことに決めました。なぜって実際私の生活や周りに何も変化はないのですから。あるのはただあなたの手紙だけです。だからもしそれが本当なら当然他のいろいろなことが変わってくるでしょう。それまで待つつもりです。
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ご主人様へ
あれから一週間が過ぎました。奥様は朝早くからほとんど一日中バラのお手入れ、バラゾウムシを一つ一つ丁寧にとっていました。根元の土を起こして柔らかく砕いたり、水はけをよくするための管をそばに埋めたり、本当にお好きなのでしょうね。いつまでもいつまでも疲れも全く見せずにおやりになっていました。
お昼過ぎ一度お部屋にお戻りになったのですが、しばらくして今度はこの前と同じ萌黄色のワンピースで出ていらっしゃいました。このワンピースとてもお若く見えます、楽しげにバラの中を行ったり来たり、そのあとには池の鯉をじっと眺めておいでになりました。しばらくそんな時間が過ぎたころまたまたあの男が来たのです。
あの男、本当は結構イケメンなのですが、不思議なことに門のカギを持っていますのか、いつも簡単にカギを開けて中に入っていきます。まっしぐらに奥様のほうへ、奥様も今日は一言も発せずにしっかりと抱き付いておられました。
その暑さと言ったら、本当に、そこそこ広いお庭で風も吹き渡るのですが、何か急に熱球の塊が下りてきたみたい、灼熱地獄です。そばで見ていたわたくしなど危うく燃え尽きてしまいそうになるくらいでした。今日は本当にとても大変、くっついて全く動かない、時間も止まってしまったようで、いったいどれだけの間そのままでいたのでしょうか。
気高かく咲き誇っていたカサブランカもあまりの暑さですっかりしおれてしまい、池の水も半分は蒸発してしまいました。鯉さんはとんでもないと池の奥底へ退散しています。二人のいたところを中心として半径三メートルぐらいの草花はみな暑さで焼け焦げです。
相当の時間がたってようやく二人は離れ、並んで池のほとりで佇んでいました。何かをお話しなさってたのでしょうがその声はとても小さく全く聞き取れません、ただ並んでじっと動かず二人の間には誰も入れない、そのあと紫陽花の横の赤い岩の上に並んで、それはそれは長ーい時間お二人だけでおられました。
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再びご主人様へ
今日またあの男が来ました。何やら立派な包みを大事そうに持っており、そこから取り出したのは、ハートの形に作られたダイヤが集まったショパールのネックレス。おもむろに奥様の首にかけてやるとまた二人はぎゅっと抱き合ったまましばらくそのまま。とてもうれしそうな奥様の笑顔、濡れた唇の下の細い首にかかったショパールが一杯の光を浴びて輝いている。
あれ、これは奥様が時々しているいつものショパールでは。奥様はいつも特別のお出かけの時にはショパールをして行く。なんでもそれは旦那様から結婚指輪の代わりにもらったものだとか、いつも大切にしている、まったく二人の愛の証しだから。
でも今日は同じ物を確か今この男が首に掛けてくれた。同じものをまたもらってうっとりしているのか、それは昔の自分を思い出してうっとりなのか、あるいはショパールにはいつもそんな力があるのか。あるいはまたまたショパールをくれた男に完全に魂を奪われているのか。
私には全く訳がわかりません。あんなに清楚でお綺麗な奥様とあの男の胸の中で悶えている奥様が同じ奥様だなんて、人間て解らないものですね、あるいは女というものが解らないのかもしれませんが、ちなみに私を雄ガエルです。
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カエルさんへ
お手紙ありがとうございます。先月までは突然出て来たこの男のことが頭から離れなかったのですが、最近は何故か自分がその昔結婚式の日に、式直前に会場を抜け出してサプライズのショパールをデパートに買いに行ったことを、まざまざと思い出しています。
不思議なこともあるものですね。あのとき会場を抜け出して式服のまま真夏の日、汗だくになってデパートまで行って特急で購入して来たのです。式のなんとか十分前に戻って無事花嫁の首に飾ることができました。
我々の結婚式ではいわゆる結婚指輪の交換というものはしなかったので、つまりその代わりにあなたの首は私のものの意味でショパールをかけたのです。あの頃は本当に一途、何の疑問もなかったしお互いとても幸せと思っていました。
それから月日は重なり、紆余曲折。時にはやはり昔のもっと愛が深くお互いが近かった頃を懐かしく思い出します。幸い仕事は順調で、さらに都心にこの家があるわけですから、生活上の心配はありません。でもその方がお互い、お互いにのみ目が行くのでぶつかってしまうのかもしれません。
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ご主人様へ
あれから何回か奥様はあの男に逢っています、それは短くても二〜三時間、昼間を挟んでふたりでゆっくり。
私ちょっと気がついたことがあります、二人は一緒に長くいるのですが、でもちっとも音が聞こえません、しゃべり声もキスの音も、そして交わる音も何も聞こえないのです、実際二人がそんなことをしているというのはその雰囲気、何よりも立ち込める濃厚な匂いでわかります。それは疑いようはありません。けれどなぜ音はしないのでしょうか。
カエルはいつもゲコゲコうるさいと言われますが、私たちもそれなりの礼儀はありますから、二人がきたら息を潜めてじっとしています。カエルでも一応都会育ちですので。
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カエルさんへ
そういえば最近そう彼女があの男からショパールのプレゼントをもらっと聞いたその頃から彼女はいつもショパールを首にしている。それは紛れもなく私が送ったショパールです。何故彼女はそれをいつもしているのだろうか?
さらにもう一つ不思議なのはその萌黄色のノースリーブ、それは結婚一周年の記念に二人で一緒に買ったティファニーのドレスです。ティファニーの人形が着ていたのを彼女が一目で気にいって買ってきたので、とてもとてもお気に入りで以前はしばしば出してきて着ていました。何故それを最近出してきたのかはわかりませんがこの十年は着ていなかったはずです。
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ご主人様へ
今日私はとても大変なことに気がつきました。昨日もその前の日もあの男は来ませんでした。だから今日は絶対来るだろうと思って、朝からずっと門のところまで出て行って監視していました。
案の定昼前に奥様は庭に例の萌黄色ノースリーブで現れました。私は絶対の確信を持ってあの男が現れるのを今か今かと門のところで待ちました。でも来ません、現れません。もう三時を過ぎたので、そうかハズレだったかと諦めて門から中にはいったら、何ということかあの男がしっかり奥様の横にいるのです。
二人はいつものように池のほとりに佇んでぴったり寄り添っています。この瞬間私は悟りました。そうあの男は門を通過していない、門のところから現れたが門の外からきたのではない、これはどういうことなのでしょうか。
私はしっかり門の横の大きなピエールドロンサ―ルの花の中に隠れていたのです。だってこのピエールはとりわけ奥様が力を入れてお育てになったもので門を包むようにアーケードをこしらえています。
モッコウ薔薇が塀一面を飾って塀をまっ黄色にした後、引き続いて門横のピエールのピンクの大輪が咲き誇る、さらにその間に隠れるようにルージュドピエールの何とも深遠な赤が咲いてくる。
ご主人様には全く見慣れた光景でしょうが、私たちには爽やか黄色のモッコウから炎のようなルージュドピーエルへのこの移り変わり、何だか世話をしている奥様の奥底の二面性を見せられているように思うのです。
女には、私は残念ながら男ですが、普通の顔の他に奥でメラメラと燃える炎があるのです。きっとご主人様は、そこまであまり女について考えたことはないかもしれませんが、女とは奥深いものです。普段は慎み深い奥様にもその奥にはとても深遠な炎があってその赤い炎がチラチラと燃えている。情念という言葉はこんなところで使うのでしょうか。
奥様はご主人様のことを本当に愛しく欲している、どれだけ自分のものにしてもまだ足りない、もっともっと食べてしまいたい、恐ろしいばかりと言えるほどの欲望です。それがいろいろの社会の縛りで結局表面には見えないようにしている。その抑えがときに効かなくなってくると情念が現れて走り出す、もう収拾がつかない。だから食べてしまいたいのだけれど些細なことで行き違うとそれが熱情が爆発して襲いかかる。欲しいが故に障害は絶対許されないということなのでしょうか。
一方ご主人様は常々の小さな諍いでかなり心を痛めてはおられるけれど、本音の本音では奥様のことをとても欲している。だから本音では昔のように愛らしい奥様との一時を切に切に願っていると思うのですが、これは外れてはいませんよね。
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カエル様
何と図星でしょう。長くこの人と思ってここまでやってきたのに少しの行き違いが積み重なって最近は殆どお一人様状態。結局何のために今までいろいろ努力をして生活を築きあげてきたのか全くわからない状態です。
本音は以前の彼女に戻って欲しい、以前と同じような関係を作りたいと思っており、一人でいつまでも昔の思い出に浸ってしまうこともままあります。そんな本音がいつの間にか昔の私になって彼女の前に現れたのでしょうか。
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ご主人様へ
お手紙を何回も読ませていただきました。わたくしよーくわかります。ご主人様も奥様も本音の本音ではお互いをとても欲していらっしゃるのです。そのお互いの思いがいつの間にか結晶して昔の二人の姿をもう一度顕させてきたのだと思います。
もう少しお互い自分に正直になりましょう。いろいろの行き違いはあっても必要なお二人なのですから。私結びカエルとしては、ご主人様の思いを奥様にお伝えします。奥様の思いはもう十分にご主人様に伝わったと思いますので。もう少しの勇気を持って向かい合ってください、昔のように絶対素晴らしい世界、このお庭のような素晴らしい花いっぱいの世界が広がるはずです。