後藤竜健
天使の名前を間違えるという愚行を犯していました!
大変申し訳ありません!
「俺が作られた存在?」
フィーネは確かにそう言った。
今までの人生で自分が作られた存在だなんて思ったこともない。普通はそうだろう。
だから、そんな話は到底信じられないし、受け入れられるものでは無かった。
「お気持ちはわかります...。ですが事実なのです。どんなに否定しようとも、その事実は揺るがない物なのです。実際に貴方はホワイトを消滅させたでしょう?」
フィーネはどこか悲しそうに、しかし淡々と告げてきた。
ホワイト.....確かに突然消滅した。
「いや、あれは偶然だろ!そもそもどうやって俺が消滅させるんだよ?方法なんて知らないぞ!」
信じられないし、信じたくない。
俺のこれまでの人生が根底から覆される様な胃から泥を吐きそうな気持ち。
「偶然、ですか。偶然貴方のところにやってきて、偶然貴方が祈ると消滅した、と。」
「...... 」
黙るしかなかった。
都合がいい事は分かっている。現実はそんなに都合良く物事は進まない。それは分かってる。だけどこれはあんまりだろう!
なんとしても否定しなければ、今までの全てが嘘になってしまう。喜びも、悲しみも、怒りさえも。その全てが作り物という事になってしまう。
俺が黙っていると、
「逆です。全部。」
フィーネが不思議な事を言ってきた。
「....何がだ?」
何のことかわからない俺は聞き返すしかない。
「ですから、全てが逆なのです。貴方のところにホワイトが来たのではなく、ホワイトのところへ貴方が出向いた。自覚は無いでしょうけど。そして消滅に関しても、偶然消滅したのではなく、貴方が出向いた事による必然だったのです。」
「出向いた?俺が?そんなわけない。」
「貴方は無意識であのお店を選び、ホワイトに遭遇するように仕向けた。」
「俺のことを操っていたのか⁉︎」
「ですから、無意識の内に貴方自身が決めていたのです!貴方はそういう存在なのです!」
フィーネが多少声を荒げる。
「無意識の内にそんなことが出来てたまるか!機械じゃあるまいし!それじゃあまるで.....」
そこまで言いかけて、ある事に気がついた。
さっきフィーネはパソコンで例えたよな?
いやまさか、そんな....
「何となく察した様ですね。おそらく貴方の考えは当たっていますよ。」
やめてくれ…聞きたくない…
「貴方はこの世界の守りの要、迎撃システムなのです。パソコンで言うところの、対ウイルスソフトの様な物ですね。」
フィーネは非情な宣告をしてきた。