少女の正体
「いきなり地球の未来って言われてもな.....」
「唐突なのは自覚してますし、戸惑うのも理解はできますが、あまり時間がありません。」
「..........」
「信用出来ませんか?」
それはそうだろう。
しかし、今日経験した事は全てが非現実そのものだった。
「信用するしないというか、話についていけないっていうのが本音かな。だけど、事実なんだろ?今日起きた事は。」
「...意外と素直に信じてくれるんですね。
事実で間違いありません。貴方に関しては、記憶の操作は出来ないんです。」
「出来ない?俺にだけ?なんで?」
「貴方は他の人とは違って、ちょっと、いや、かなり特殊な存在なんです。」
生まれてから俺は自分の事を特殊だなんて思った事はない。そりゃ、ちょっと他の人とは違うところはあるかもしれないが、むしろ違うところが無い方がおかしいだろう。
「どう特殊なんだ?それを証明する事は出来るのか?」
「証拠になるかどうかはわかりませんが、
あなたには知る権利があります。
そして真実を知った上で、私達に協力して欲しいのです。」
私達?他にも誰かいるのか?
「今からあなたに私達の事、そして世界の真実をご説明します。」
明日香は淡々と、だけどどこか意を決したような表情をしていた。
「まず〔私が何者か〕という問いに対してですが.....」
そう。そこが一番気になっていたところだ。
あの声や、気を失う前に見たあの姿は天使だった。ただ、そんなものが実在して目の前に現れるとも思えない。
「私は、あなた方で言う所の〔天使〕と呼ばれる存在です。」
「ハァ?」
思わず素っ頓狂な声が出た。
そのままだった。そのまま過ぎて逆に驚いた。
俺が驚きを隠せないでいると、
「これが証拠です。」
明日香はそう言いながら、大きな翼を広げた。
それは、よく昔の絵画などに描かれているような神々しい翼。穢れなど一切感じさせないそれは、一目見ただけで本物と確信させるものだった。そして気を失う前に見た天使が持っていた翼と同じだった。
「私はフィーネ、天使族の一員であり、神の使いです。」
あまりの光景に絶句している俺に対し、
目の前の天使は丁寧に挨拶をしてきた。