1章1-3
「ふっふーん、私はあなたを導くべく遣わされたもの。名前をトスインといいます。コンゴトモヨロシク」
なぜか最後の挨拶だけ変に片言になりつつその妖精はリュウイチの混乱をよそに優雅(と本人は思ってるだろうが)一礼した。
「……はぁ?」
見た目はファンタジーでよくあるような妖精の見た目そのまんま。小さい体に虫の羽。シンプルな作りの布の服。短めにまとめた髪。そこはまだいい。問題は顔だ。このトスインと名乗った妖精、声はいわゆるキャピキャピ系なのに顔の作りがなぜかいわゆるゴブリンのそれだった。
(いやいや、こんなキャラBMWOにいなかっただろ? あれか、バグか何かなにかなのか?)
この自分の姿含め今いち自分の置かれた環境が掴みきれてない。そう思ったリュウイチはこの自称サポート役のゴブリン顔の妖精に聞いてみることにした。
「まず最初にここはどこなんだ? そして俺はなんでこの姿になってるんだ? 他にも聞きたいことは山ほどあるがまずはその2つだ」
するとトスインはやれやれといった風にわざとらしく両手を肩の上辺りまで持ち上げてみせた。
「よりにもよって一番最初の質問がソレですか。ちゃんと契約書読みました?」
「契約書?」
リュウイチが怪訝な顔をするとトスインは更にわざとらしいため息をついた。
「バトルマスターワールドオンラインの初回プレイの時に出てきたでしょう? アレ早くプレイしたいからって読み飛ばしましたね?」
「……ん? ってあの何書いてあるかわからんヤツか! あんなん出てきても演出かな?って思ってスキップするに決まってるだろ!」
「それは私じゃなくてこの世界の神様にでも言ってくださいよ。とにかく、あの契約書の内容に従う形であなたはこの世界に召喚されたんですから」
そう言って、トスインはなぜリュウイチがこの世界に喚ばれたのかの説明を始めたのだった。






