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1章の1-2

「なんで? どーなってんのさコレぇ?」

 慌てふためくリュウイチの眼前に突如ポン、と聞き慣れた音ともにウインドウが浮かび上がってきた。それはバトルマスターワールドオンラインでキャラのステータスを確認するために出てくる画面と全く同じであった。

「うーん、コレはあれか? なんか色々あってゲームの中の世界に入り込んでしまったとかそういう感じのアレなのか?」

 普段使い慣れている画面が出てきたことでリュウイチは少し冷静になれた。そのままステータス画面を眺める。そこに出てきたステータスはついさっきまでプレイしていたデータと寸分変わらないものだった。

「このステータスがまんまだってんなら、俺大分強いような気がするけど、どうなんだろう?」

 ためしにチュートリアルよろしくパンチとキックを出してみる。が、その軌道はリュウイチが普段見慣れていたそれとは全く違う、なんともへにょへにょとしたモノだった。

「? おかしいな、ゲームで出してるやつはもっとこうシュッ、ってパンチ出せてたんだけど」

 何度か小技を繰り出してみるもののやはりそれはゲームの動きとは全く違う素人同然の動きだった。

「……まぁ確かに俺はリアルの格闘技とかちっとも齧ってないけど」

 ゲームキャラの姿形になってるのだから当然動きもトレースされるだろう、そう思っていたリュウイチはがっくりと肩を落として落胆を隠さなかった。

「ゲームの技も出せないとなると……、この世界で生きていくの結構キツクなるんじゃないかこれ?」

(あら、流石に適正があっても説明がないとダメなんですねぇ)

 ふと、リュウイチの頭の中に声が響いた。

「んな?」

 驚いたリュウイチは辺りを見回す。だが、人影すら確認できなかった。

(ああ、今あなたの心に直接話しかけてます、って一度言ってみたかったんですよねぇ。いやぁ、そういう風に驚いてくれるのホントいいですねぇ)

「あーもう次から次へと一体何なんだ!」

(ふっふっふ、混乱してますね?してますね?ここでナビゲートしてくれる妖精とかそういうの欲しいなー、とか思っちゃいましたね?いいでしょう! 僭越ながらこの私があなたのサポートをしてあげましょう! 感謝してくれてもいいんですよ?)

 リュウイチの頭の中で一方的にソレはまくしたてた。

(では、それっ!)

 リュウイチの目の前でポンと言う音ともに小さい煙が舞う。煙が晴れた眼前に確かに妖精と言えるような姿かたちをしたいかにもイタズラが好きそうな顔をした小人サイズの人物が現れた。


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