序の2
近未来の日本。ここではゲームセンターで対戦ゲームをプレイすることが重犯罪とされていた。対戦プレイ中のプレイヤー同士のトラブルでの殺傷事件が激増し、折しも制定された「青少年への健康的な遊戯提案促進法案」の可決に伴い対戦ゲームは「暴力事件などの犯罪行為を誘発する」との理由で取り締まりの対象となった。特にゲームセンターでの対戦プレイは槍玉に上げられ、多くのゲームセンターで対戦ゲームの設置が取り止められ、そして設置ゲームの幅が狭くなったゲームセンターの多くは閉店や撤退を余儀なくされるようになった。
そんな世間の弾圧にくじけないゲームセンターも存在していたが、それらの多くはアングラゲーセンとして地下に潜らざるを得ない羽目になった。そしてゲームのプレイヤーもまた周りの目を盗みながらゲームセンターに通うのが日常のスタイルになっていったのである。
家庭用でのネットワークを通した対戦では満足できない。直接対面して、そして対戦をしたい。そう思うコアなゲーマーにとって今の環境は決して恵まれたものではない。しかし、だからこそ燃えるものがあるのもまた事実であった。
そんな中、ゲームセンターの中にひっそりと誰にも配信されたのがわからない格闘ゲームタイトルがあった。中世ファンタジーのような世界観を持ち、操作性自体はシンプルなものの、プレイヤーのひらめき一つで戦略性がガラリと変わってしまうゲーム。
そのゲームの名前こそが「バトルマスターワールドオンライン」であった。
一応予定では次で序章を終わらせるつもりです。