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2章の2
「しかし、なんというか……」
街を見回したリュウイチはゲーム中に見ていた町並みと比べて驚かざるを得なかった。ゲーム中のタストンの街はゲームだからだったかもしれないが、今リュウイチが見ているような荒れ方はしていなかったはずだ。最も、リュウイチも拠点を移してからのタストンの街の描写がどうなっていたかなど知る由はないのだが。
なんというか、街全体がひどく薄汚れているし、街の住民も妙に殺気立っている連中が多いように見える。
(ここまで殺伐とした街じゃなかった、はずなんだがなぁ)
そう思いながら街中を歩いていく。そこに
「おう、コイツはまた別嬪さんじゃねえか!」
「ホントホント。そこで俺らと遊んでかな~い?」
(いつの時代の台詞回しだ? このイベントテキスト書いたライターは誰だ?)
そう内心で突っ込まざるを得ない、もう使い古しどころかひょっとしたら1周回って斬新かもしれないような口を叩くNPC(とリュウイチは思っていた)男たちが一人の少女を囲んでいた。