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僕が死んだ後

予想以上の駄作ができました!

気が付いたら僕は学校の図書館にいました。

そこにあった時計は午前十時を指してします。

はて?僕はさっきまで病院のベッドにいた気がするのですが。


僕は二ヶ月前まで新月高校の三年A組生徒でした。でも、教室での授業中に急に倒れて病院に運ばれたんです。それから起きたらベッドの上で、隣にお医者様と両親がいました。お医者様の話によるとどうやら僕の身体は新種の感染力は弱いけど生存力の高いウィルスに侵されていたらしく、手術しても手遅れでもう長くない。との事でした。余命は長くて半年、短ければ二ヶ月程だそうで・・・・。


「あ」




もしかして僕死にました?


あーあ、まだ処理してないゲーム三本程残ってたのに。それに読んでない小説も10冊以上あったし、来月最終巻が出る予定だった作品もあったし、それに。


「あいつらに別れも言えなかったなぁ」


僕からしたら気が付いたら死んでた。そんな感じです。本当に急に死んでしまったようです。まさか最低余命で死ぬなんて運の悪い人生でした。運が悪過ぎるって思いが強いせいで泣こうとすら思えないですね、これはひどいです。神様にお祈りした事は特に無いですけど、かと言って罰当たりな事もした覚えもありません。一体僕が何をしたって言うんでしょうか神様。


「ところで何で図書館いるんですかね?」


こういうのって死んだ所に化けてでるってのが世間一般の定番かと思ってたのですけど、まさか初っ端から学校の図書館に化けてでる羽目になるとは。僕がここが学校の図書館だと気付いたのは図書館の司書さんが目の前に居たからです。そう、目の前にです。

しかし、どうやら図書館の司書さんには僕が見えてはいないみたいなのです。


「おーい、こんにちはー、三Aの新村(にいむら)です!」


やはり、気付かれていないですね。目の前に居るのに認識されないって、これ結構くるモノありますね。まぁ、幽霊だから仕方ないのですけども。というかほんとに何で学校の図書館?別に学校の図書館に思い入れなんて無いのですが。


「はぁ、本でも読もうかなぁ。やる事無いし」


という訳で本を読む事にしました。最初の一冊目、うっかり司書さんの目の前で取ったのですが、何故か司書さんは気付くこと無く、僕の後ろの本棚を整理しに行きました。不思議な事に本を取った棚を見てみると本は抜かれて無く、しかし、自身の手元には本がある謎現象を経験しました。なるほど、死者はこうやって紙媒体を読むのか。どうせなら死ぬ前に知りたかったです。


それから十二時間程本を読み続けていると、流石に飽きてきました。気がつけば外は夜になっていて、でも本の文字は解るのだから幽霊とは便利なものですね。しかし、暫く本を読む行為を繰り返してて分かったのですが、どうやらこの体触ろうと思えば物体にも触れるようなのです。ほんと最初の1冊目で触れなくて良かったです。あの司書さんもういい歳ですからね。いきなり目の前で本が浮かび上がったりしたら倒れたりしそうですし。物に触れる事に気付いたので僕は少し面白い事をすることにしました。最後に読んでた本に手紙を挟んで、誰かに読んでもらおう。そう考えるたのです。まぁ、下手したら朝会で騒がれるかもしれないけど、最期の悪戯と思えば罪悪感はそこまで生まれなかったし、それにメッセージは僕の親友達に向けようと思ってますから。


「もっと学びたかった、もっと遊びたかった、もっと生きたかったとかそんな恨み言書いても仕方ないし、やっぱ学校にいるならあいつらへの言葉は遺したいからね。僕もあいつらと遊んでて楽しかったからそれは伝えたいし」


別にあいつらが読む事を期待してる訳でもないですけど、あいつらに向けとけばこれを読んだ誰かがあいつらに渡してくれる筈ですから。たぶん。



さて、とりあえず図書館から出てみるとします。自分の感覚的には別に地縛霊とかでもないっぽいですし、どうせなら自分の住んでた夜顔町を廻りたいですから。そう思ってドアの取っ手に手を掛けると普通に掴めて普通に開きました。時計を見たら時刻は午後十時を過ぎていたので少し急ぎ目に図書館を後にします。




「うわぁ、ほんとに二ヶ月ぶりだなぁ。ここ」


今は自分の教室にいます。二ヶ月ぶりの教室はいなくなる前とは変わりなく僕の机もちゃんと置かれていました。しかし、今日は日曜。明日明後日にはこの机の上には花瓶が置かれて、あー、あの子死んじゃったんだー、って皆に言われて少ししたら机も不吉だからと片付けられ、少しずつ忘れられていく。そう思うと自分が死んでしまったという事実が鈍く重くのしかかってきて、これが『死ぬ』という事だとやっと理解できた気がします。


「出るか」


ここに居ても仕方ないと思い教室から出ます。後はとりあえず前に行った事ある教室を回って学校を出ました。途中に寄ろうとした音楽教室が何故か黄色のテープと清めの塩の所為で入れなかったのですが何かあったのでしょうか。




学校から出る頃にはもう十二時になっていて、日を跨いでいました。ここから自分の家とよく4人で集まってた公園にでも行きますかね。まぁ、最終目的地だけは何故か自分の中で決まってるのでそこに向かう序で寄るだけですが。


僕の家は学校から五分ほどの距離にあります。お陰様で高校生になってからは遅刻はないです。まぁ、今となっては欠席はおろかその遅刻もする事は出来ないんですけどね。

自分の家の中に入ればなんか感慨深い何かでもあるかと思ったのですが、そんな事は無かったです。結局自分の家には十分もいませんでした。特に思い入れも無かったですから。


次は4人で集まって遊んだりしてた公園に来ました。正直家よりもこの公園の方が思い出は多いですね。この公園は高校であいつらと会う前から来てましたし、あいつらとここで色々話しましたからね。ほんっとにくだらない話ばかりしてました。


「かぐや姫はどうしたら月に行かなくて住んだのか。桃太郎は本当に何故家臣を動物にしたのか。日本の酒の名前コードネームにして一番かっこいい奴が勝ち。とか色々話してたか」


僕のコードネームは響でした。自信はあったんですけど惜しくも鬼殺しに敗れました。度数は勝ってたのに。個人的には幻舞が一位だと思ってたんですが、一人は贔屓強めで一人は『安直だがそれがいい!』とか言って鬼殺し支持しちゃったので選ばれなかったんですよね。正直鬼殺しよりは響か霧島が良かったと思うんですけど。しかし、こんな事考えると何時間経っても此処から離れられなくなりそうです。流石に公園の地縛霊はなぁ。


一時間半程ブランコに座って思い出を振り返ってたんですが、あまり長くいて本当に地縛霊になっても嫌なので公園から出ました。きっともうこの公園には来ないですね。いや来れないの方が正しいのかも。さっきから感覚的にお前の時間はそんな長くないぞって、何故か解るんですよね。さて、最後の目的地行くとしますか。正直そんな行きたい場所でもないのですが。





そこに着く頃には時刻は午前二時頃でした。いや、時というものは本当に早いものです。さて、ここがとりあえず最後に来るべき目的地の『夜顔町立朝顔病院』です。思えばここに来るまで一度も同類に会ってないですけど此処には居ますよね?


夜の病院はやっぱり不気味でした。別に歩き慣れてないって訳じゃないです。入院してからは眠れなかった時とかトイレ行きつつ散歩したりもしてたので。それでもやっぱり雰囲気は不気味だと思ってしまうのです。今となっては自分の存在が一番不気味な気がしますが。だって、今の僕幽霊ですからね。さっき見廻りの看護婦さんとすれ違ったけど気付かれなかったですし、そもそも病院に入る時もドア貫通して来ましたから。本当に便利だなこの身体。目的の部屋はもう少し先の大きめの一人部屋です。感染力は弱いとはいえ、感染しないという訳ではないので特例で死ぬまで一人部屋を貸してくれました。まぁ、この広さを活かせたのは最初の一ヶ月だけですけどね。何せその辺りから脚が動かなくなってしまったので。腕だけはしっかり動いてくれてたんですけど、正直ゲームしてただけですから、どちらかならまだ脚の方が動いて欲しかったですね。今更言っても仕方ないか。



部屋に付くとこんな時間。それも僕が死んで多分十六時間程になるのに両親がいました。


「あいつ、やっと死んでくれたなぁ。これでようやく普通に仕事に専念できるわ」

「そうねぇ。あの子が死んだからこれ以上病院に無駄金払う事もないし、葬式にはあの子の友達の親御さんの中に地主さんがおったから香典も期待できるし最高やねぇ」

「本当に最後の最後までなんも取り柄もない愚図が面倒かけおって、世間体無かったら先に殴り殺してかもなぁ」

「何やらしても大した成果もだせん子だったからね。正直私は子どもの取り違えでも起きたかと思ったわ。見た目もなんかパッとしないもの」

「ほんとに俺らの子供があれって神様も意地悪だわ」

「まあまあ、私たちもまだ四十はなってないし遅くないわよ。次の子に期待しましょ」



「うわぁ」


いや、まぁ、正直どうせそんな事思ってんだろうなぁというのは分かってたんですけどね。父親は倒れた日以来一度も見舞いには来なかったし、母親も僕が家から持ってきて欲しい物頼むと時々舌打ちしてましたから。案外僕が死んだのは何かしたからとかじゃなくて、何もしなかったからかもしれませんね。僕神様にも嫌われてるんですか。本当にろくでもない人生だった事で。


「産んでくれた事と僕みたいな屑に金出して育ててくれた事だけは感謝するよ」


それ以外は感謝なんて無いですけど。殺さないでいてくれてありがとうとでも言えと?冗談じゃないです。


それからは二人が病室のベッドで寝始めたのでそこを出ました。最後の目的地が一番ダメージ高いとか、ゲームで魔王城のラスボスにでも挑んだ気分です。


さて、そんな僕なんですがお迎えが来るまではまだ時間があるみたいです。早く来いよって気分なんですがね。今は病院の中庭のベンチで座ってます。正直自分の死体の近くに来たかっただけで後は特に目的が無いんですよね。暫くここでボーッとしときますか。それ以外やる事無いですし。






ずっとボーッとして考えてたら朝になりました。現在の時刻は九時半です。幽霊になって時間の感覚がおかしくなった気がします。まさか七時間近く此処にいるとは。


さて、もう時間も迫っているみたいなので僕は自分の死体の所に行きます。場所は感覚で分かっています。では行きますか。


死体は霊安室の中に保存されてました。僕の遺体は医療関係の研究所に安くで売るそうです。死体売るんですか両親よ。

という事は僕の墓は骨壺に骨入ってないんですね。マジですか、ちょっとショックです。




さて、これが最後の時間でしょうか。気がつけば足の先が消えてガチな幽霊みたくなって来ました。これは手遅れっぽいですね。

今は霊柩車って奴の上で自分の死体が運ばれてくのをリアルで観てるんですけど、あまり変わり映えなく面白み無いですね。でも、唯一観れて良かったという出来事はありました。霊柩車の上でボーっと座っていたら僕の親友二人が仲良く手を繋いで歩いていた事です。あの二人やっとくっついたんですね!いやー、良かった良かった死んだ後に目出度い事を知るのも乙ですね。


あらら?なんか胴体も無くなってるじゃないですか。もう終わりかー。あーあ、もう終わりですか。あれですかね、やっぱりいまいち未練ってやつが無いからこんなに短いんですかね。二十四時間とか少な過ぎですよ。















まぁ、いいか。


ところで、もしあの世ってやつがあったとしてさ。

僕は天国と地獄どちらに行く羽目になるんだろうね。

個人的にはゆったりした天国希望なのだけど。いや、屑な僕は刺激的な地獄もありかな?

希望言って叶うものじゃあ無いだろうけどさ。それでも『希望を言う』って行為は無駄じゃあないかも知れない。


だから














「願わくば、いつかあいつら三人と同じ所で逢えますように」

地獄に落ちるも天国へ昇るもどうであれ、死んだ事に変わりはない。

願わくば幸福な死を

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