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今日も町が平和でありますように

タイトル回収はちょい先です。


空からは綺麗な光が射していて、今日も一日が始まった事を告げていた。


「もう、こんな時間になったのか」


時刻は午前七時を示している。そろそろ準備して朝食の準備をしなければならない。前のように遅刻して増田先生に説教くらうのも面倒だし、それに妹も起こして小学校に連れていかないと。


「さて、美結(みゆ)が起きてるといいのだけども」


俺は目が覚めたばかりでまだ重い体を妹の部屋に向け動かす。

部屋に着き、軽くノックするが反応はない。


寝てるのかぁ。仕方ないからわざと音を立ててドアを開ける。


「すやぁ、タコライスさん美味しです」


・・・・・・


「おい」

「これが私のエデンですぅ」

「起きろ、七時だぞ」

「ふふ、タコライスさん皇国皇帝になる日が遂に」


「起きろ!!!」


「わっひゃああ!タコライスさんが全て(にい)にに食われたぁ!?やっぱ兄には鬼畜だったんだ!」

「誰が鬼畜だ誰が」


やっと起きたらこれか。というかどんな夢見てんだよ。


「ん?兄に?」

「ああ、兄にだよ」


今日は比較的早いな、目が覚めるの。


「んぅー、おはよう兄にぃ」


にぱ~、とでも聴こえてきそうな明るい笑顔の挨拶だ。これだけで一日の活力が補えるに違いない。


「おはよう美結。とりあえず、着替え用意して軽く風呂入ってきな。兄にはその間に朝ごはん用意しておくから」

「わかりましたぁ。あ、朝ごはんはタコライスさんで宜しくお願いします」


寝起きからタコライスって・・・。


「タコライスは却下だ」

「えー」

「今日の朝ごはんは、卵焼き、鮭の塩焼き、サラダ、味噌汁、白飯だ」

「それ、磯野家の朝ごはんじゃないですかー」

「いやいや、そこ限定じゃないからな。ほら風呂行ってこい」

「はーい」


そう返事してようやく風呂に行った。しかし、あいつ可愛いのになんでパジャマのセンスがあんな残念なのだろうか。


妹は亜麻色のショートで、少し目がキツめなのを除けばかなり美人になりそうな娘だ。それなのに、着ているパジャマは控えめに言っても、酷い。胸元に大きい紫色の菱形が描かれていてそれが連なって下端まで続く。そして、腕袖と、体のラインに沿ってデフォルメされた目玉がギョロギョロ並んでいる。誰だよ、あんなデザインで子供向けとか言ってるやつ。


「てか、選ぶあいつもあいつだよなぁ」


そんな事考えてたら、気がつけばもう時刻は七時十分を過ぎようとしていた。やば、さっさと朝ごはん用意しよ。




それから、更に十分が過ぎ、七時二十分。


「ぷふー。スッキリしました」

「そりゃ良かった。朝ごはん出来てるぞ」


丁度朝食ができたのと妹が風呂からでて、ここに来たタイミングが一緒だった。さて、俺もご飯食べるか。


「わー、美味しそうなのですー」

「棒読みかよ」

「磯野家ですー」

「だからそこ限定すんなって。ほら、食べるぞ」

「いただきまーす」

「いただきます」


俺も妹も手を合わせ挨拶をして食べ始める。そういや、テレビ電源入れてないな。天気とニュースは毎日確認しなきゃな。


「あー、煉獄のなっちゃん観たいです!」

「録画しとくから帰ってきてからな。朝は兄にが天気とニュース確認するから」

「ちぇー」


少し拗ねてるけども、まぁ、何時もの事だ。


『次のニュースです。午前四時頃、夜顔町月光区のコンビニで強盗殺人が発生しました。犯人は警官隊により射殺され---』


天気見たいな。この時間だったらこのチャンネルじゃないか。リモコンをとって、チャンネルを変える。


『煉獄なっちゃん、来週も廻るわよ。』


「煉獄なっちゃん終わったのですぅ」

「録画してるから帰ったら観る事できるぞ」


『さて、本日の天気です。夜顔町は今日も晴模様、最近は雨が降らないので外回りの方には嬉しいですね。では、続いては占いコーナーです!』


「兄に、ごちそうさま!」

「お粗末さまでした。っと、俺もごちそうさま」

「おそまつさまでした!」

「いや、それは違う気がする」

「えー」


二人共食べ終わったから片付ける。これ終わったら俺もサッと自分の準備するか。


「食べ終わったなら学校の準備しろよ?終わったらテレビ好きなチャンネル観てていいから」

「脱兎のごとく終わらして来ます!」

「難しい言葉知ってんなぁ」



『今日の最下位さんは、天秤座のあなた!忘れ物がないか要チェックが大事ですよ!ラッキーアイテムは文庫本!では、今日も張り切って一日を過ごしましょう!!』


皿を洗っているとそんな声がテレビから聞こえた。マジか、俺最下位なのか。忘れ物は念の為に出る前にチェックしよ。




「兄に~、早く行きますよー」

「あー、待て、今忘れ物ないか確認してるから」

「時間忘れてそう」

「ちゃんと見てるわ!」


一応確認したら、今日の授業で使う体育着を入れ忘れていた。昨日寝る前に鞄に入れてたと思ってたんだが。あの占い当たるのか。


「忘れ物無いよな?」

「うん、さっき確認した」

「宜しい」


「それじゃあ、行ってきます」

「行ってきます!」


玄関の鍵を閉めて、学校へ向かう。まずは妹を学校に送らないとな。四年生とは言えども、女の子だし、なにより可愛いから変態に誘拐されないか不安だ。だから小学生の内は送り迎えを続ける事にしている。妹は中学生になっても続けてと言うが、中学生にもなれば友達と登校とかあるだろうに。


「兄に」

「なんだ?」

「今日は何時に来ますか?」

「そうだな、五時半位には校門前で待っとくよ」

「今日は遅いのです?」

「図書委員の活動とかあってな」



『おい!爺金出せ!なきゃ殺すぞ!』

『ひぃぃ!誰か来い!強盗だ!!!』



「大変そうだな」

「大変そうですね」

「そういや、美結は何も委員会とかは入ってないのか?」

「委員会より友達と遊ぶ方が楽しいです!」

「そりゃあそうだろうけど」

「それに委員会入ったら、兄にと遊ぶ時間も減るかもしれないのです。そうなったら一大事です!」



『あれ、奥の方煙上がってね?』

『ああ、あれ飲酒運転の車が事故ったんだってよ。それで炎上して、今消防が消火活動してんだと』

『こんな時間から飲酒運転とかやばいなそいつ』

『ほんとそうだよな』



「兄にとしては嬉しいけど、委員会とかもいい経験になるぞ?中学なった時の予行とか」

「中学と小学は違うので、それはその時なったら頑張ります」

「なるほど。それは一理、あるか?」

「一理あるのです」

「ムムム」



『田中さん、さっき速報観た?』

『あら、何かあったの星元さん?』

『2丁目の八代の爺さんの家強盗に入られてるらしいわよ。今警察が包囲してるって』

『八代ってあの闇金爺の家よね?自業自得じゃない』

『ええ、ほんとあの人いつ後ろから首切られても可笑しくなかったものね。それで見にいかない?』

『そうね暇だから行くわ!あの強欲爺の反応もみたいし』



「わー、ヤジの馬ですー?」

「野次馬だ。声を似せるなタラちゃんに」

「暇なんですかね?こんな時間なのに」

「暇なんだろ。こんな時間なのに」


そうこう話している内に妹の小学校に着いた。


「ほら、着いたぞ」

「あ、では行ってきますです!」

「おう、行ってらっしゃい」


妹は校内に向けて走り去って行った。

さて、俺も高校行かないとなぁ。今日は那由多(なゆた)が何もやらかしてないといいけど。

那由多は俺のクラスメイトで、高校に進学して一番最初に喋った女子だ。少し変わってはいるけど、いい奴だと思う。


妹の学校から高校まで大体徒歩二十分。現在の時刻が八時二十三分と、遅刻ギリギリだな。少し急ごう。
















「今日も町が一日平和でありますように」


日常というのはその言葉を言った誰かの視点でしかない


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