その二・スキルの話とエルのノート
この話の時系列はあまり決まっていません。時系列などはあまり気にせずお楽しみください...
「気になってたんだが、スキルの名前とかって意味があるのか?」
ソファに腰掛けながら、ふとした疑問を口にする。スキル名は発現した時、なんとなくで頭のなかに流れてきて、いつの間にかギルドカードに記載されている
「威力を上げたりなど...」
「そういうことじゃなくて、スキルに使われている単語に意味はあるのかな?って」
「単語...ルクスのスキルだと、ファントムとかですか?」
「そうそう。『スキル名・○○』の〇〇の部分は世界共通語だから意味はわかるんだけど、ファントムとかってあんまり聞かないから分かんないんだよね」
「スキル名は属性を現しているのですよ。例えばさっき言っていたファントムとかは、闇属性を表す単語なのですよ。そして属性を表す単語が入っていないスキルが、無属性のスキルなのですよ。例えばミツキの円月斬とかですね」
ミルンの説明を聞いていると、覚えることが多すぎて頭が痛くなってくる。簡単にまとめると、スキルを使った時に武器が帯びる光みたいなものなのだろうか?
「ちなみにスキル名ってのは発現した時に決まるもんだが、自らスキル名を付ける物好きもいるみたいだぜ」
「その場合は威力は変わらないの?」
「変わらないらしい。魔術師が多いらしいが...エルはどうなんだ?」
全員が一斉にエルに注目する。しかしエルはその視線から逃げるように、リビングから出ていこうとしていた。まさか?と思っているとミルンが速度強化の魔法を自分に付与して、二階に向かって全速力で走っていった
「あ!ミルン待ってください!」
「もう遅いのですよ」
エルが二階に着く頃には、ミルンはすでに一階に戻ってきていた。そしてミルンは、エルの部屋から持ってきたであろう一冊のノートを読み始めた
「なるほど...エルもなかなか考えるのですね」
「へー、どれどれ?」
「俺にも見せてー」
横からノートを覗こうとすると、二階に上がっていったエルが杖とともに戻ってきていた
「まさかエル?こんなところで魔法は使わないよね?」
「火球よ敵を焼け!ファイ...」
「それは確か十二ページにあったのですよ」
ミルンがページ数を言った瞬間、エルは顔を真っ赤にして膝から崩れ落ちた
「もう止めてください...お願いします」
「そうですね。そろそろ止めておかないと、本当に魔法を撃たれそうなのですよ...例えばこの十六ページの」
「やめるっていったじゃないですかぁー!」