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落ちた日~再会の日

ある日突然異世界に大勢で落ちちゃったらどうなるかな?

その世界に合わせて生活しつつも、好き放題するアホな家族を書いてみた!

会話は多分・リアルに我が家!!


きゃぁぁぁぁ------------------------------------!!


突如都市を襲った大地震の前に、人間は非力だった。

日本より耐震性に優れた住宅を作る民族はいないであろうという前提のもとに考えると

この地震は人間には対応不可能な大規模なものだといえよう。

東京は一夜にして壊滅状態になった。


**********************************************


娘たちと重なり合った体から力が抜け、自分の体から血と熱がどんどん逃げていく事に気が付いた。

もう、長くはもたないだろう。


“だれか・・・・たすけて・・・・・・”


侑里ゆうり)は泣きつかれて意識を失った。

真鈴まりん)は侑里をかばうように抱え諦めたような表情で壊れた家の隙間から星を見ていた。





その時、大きく空が光った。


*****************************************





「なんだ?今日はずいぶんと落ちてくるなぁ?なんかあったのか?」




********************************



白の森を抜けた所に小さな泉がある。

泉の周りには薬草が多くあり、地元では“知る人ぞ知る“薬草ポイントだ。

ペットのポチに乗りのんびりと泉への道を進んでいた。

今日は天気が良い。


私は薬師をしている。

薬師といっても専門の知識は口伝程度のなんちゃって薬師で実際はほぼ農家と同じだ。

しかし、北の辺境の地には王都で専門の勉強をしたようなきちんとした医者や薬師はいない。

ほとんどの家庭で自分たちで薬草を採取して薬代わりにしている。

しかし、それでは間に合わないような症状が出た病気やひどい怪我のためのポーションなどもある。

辺境の地にも初級の薬師の本があったため、簡単なポーションを作れるようになっただけの

”自称薬師”である。


販売は基本的にはしていない。


生活は物々交換で成り立っているので他の食材などとの交換が主だ。

たまに来る商人に販売することもあるが、商品と交換することのほうが多い。

春に種をまき夏から秋にかけて収穫。1年分の食料を育てる。


テイムした動物や魔物を育て、秋から冬の初めに狩りをする。

雪が深くなると家にこもり色々なものを作る。

そんな1年だ。とにかくのんびりとしたスローライフである。






私は一人で生活している。



あの大崩落から3年、各地に落ちてきた人々はそれぞれに生活をしている。

それなりに進んだ文明からの崩落のためこの世界は急速に発達している、らしい。

なぜ、らしいなのかというと文明の発達していないこの世界では商人や冒険者たちからの

情報しか別の町には伝わらない。


落人はほとんどが王都へ向かいそこで生活しているという噂をきいた。

そのうちに手紙や新聞なども生まれるだろう。

とても楽しみだ。


私は大崩落の時に負った怪我がもとでうまく歩くことができない。

初めの一年はほぼ寝たきりの生活だった。


私も娘を探しに王都に向かいたかった。

が、片足を引きずって歩くのがやっとの私は村から出られなかった。


落ちた所にいた親切な村人たちに助けられどうにか生活を始めた。

その時の老夫婦が亡くなった娘と同世代というよしみで私の面倒を見てくれていた。

いつか娘を探しに旅に出たいという気持ちは焦るが今の私の体ではどうしようもない。

この世界には科学のないいわゆる魔法と剣の世界だ。魔物もいる。

私が一人で旅に出ればあっという間に魔物のご飯になる。

人間には優しくない世界だ。


老夫婦の家に住ませてもらっていたが私がテイムで動物や魔物を使役できることが分かり、

その力を使いこなせるようになりようやく一人暮らしを認められた。

魔法の才能は土魔法と光・水魔法が少し、と戦闘には全く向かない。生活が精一杯だ。

なので、当面出切ることとして、とりあえずは住みやすい環境を作ろうと思った。


移動範囲が狭ければ今の私でも色々と可能だ。


そして、いつか娘たちと再会できる日が来ることを願うしかなかった。





******************************************************





泉に着くと何やらいつもと気配が違う。

魔物だったら逃げなきゃなぁ~と考えポチの腕の中から様子を伺う。


「ママ半年前にバルさんに預けた伝言、分かり難かったよ!!」


突如頭上から懐かしい声がした。


「すっごく探したんだからね!!」


臨戦態勢に入ったポチを面白そうに眺めながら、冒険者風の装備をした真鈴がいた。


“昔から猿のようにすばしっこかったな。“と懐かしく思いながらまりんをみる。


元気そうだ。


私は泣きそうだ。





がさがさと茂みから出てきたのは少し逞しくなった侑里だ。


こちらは魔法使い風の装備だ。


「なんでママ、クマに抱っこされてるの?」


「森の中は上手く歩けないからママの足の代わりになってくれているの。ペットのポチ君(魔熊)です。」


「相変わらずネーミングセンス皆無だね。」


「ほんと、ヒドイ」


みんな泣き笑いで顔がぐちゃぐちゃだ。3年と2か月ぶりに心から笑った。



******************************************************



「ここがママのお家です(^^♪」


真鈴:「へえ。ちっちゃいけど住みやすそうだね。」


侑里:「庭もあんまり大きくないねぇ~。畑とか作ってるかと思ったんだけど」


「まあ、とりあえず中に入ってみて(^^)/」





「「・・・・・・・・・・・|д゜)!!!」」





侑里:「ママ・・・・物理的に何かおかしい・・・・・」


真鈴:「うん・・・・・なんで中がこんなに広いの?なんで家の中に畑があるの?

    家畜がのんきに草食べてんの?なんで川が流れてるの?」



   「「ママ!!!!!!!!!!!」」





   「てへぺろ♪」





*******************************************


ここは北の辺境伯が治める領地のさらに北のほうにある小さな村アマルだ。

住民は老人がほとんど。若い者は年ごろになると南や王都に出て行き帰って来るものは少ない。

魔物も少なくはない危険地帯だ。

が、この地にはここでしか育たない薬草などが多くあり、村を無人にするわけにはいかない。

そのため、王都より2年交代で魔物討伐軍が派遣される。ここよりも南に。

つまり雪深い冬には、家から出ることも難しくなり人の往来はなくなる。





ママ:「と、いうわけで、地下都市作っちゃいました(^_-)-☆」


真鈴:「これ、ママが作ったんだ・・・。」


侑里:「やりそう・・・。だってママだし・・・」



ママ:「冬でもそれなりにあったかいし、作物も家畜もよく育つし、何より薬草もここで育つの!」


真鈴:「そっかぁ・・・・・。」


侑里:「育つんだ・・・・・・。」



ママ:「作っちゃった後だけど、ちゃんと領主様にもオッケー貰ったし!」


真鈴:「あと???」


侑里:「それって、事後承諾ってことだよね!?」



ママ:「冬には村中がここに移動してくるんだよ!」


   「「村ぐるみかよ!!!!」」



ママ:「たまに領主一家も遊びに来てくれるんだよね!」


   「「まさかの領地ぐるみ!!!!」」



ママ:「ポーションも作ったりしてるから、病人や妊婦さんの施設もあるの!」


真鈴:「保養所か???」


侑里:「温泉ありそう・・・。」



ママ:「もちろんあるよ!!若い人の雇用もバッチリ!!」


真鈴:「あんのか!!!!」


侑里:「ですよねぇ・・・・。」



ママ:「あ!ちゃんと侑里と真鈴のお家もあるよ!ペット付きで!」


   「「ペット♪♪♪」」



ママ:「うん。昔ほしがってたやつ。侑里にはホーンラビット。真鈴にはタイーガーオウル♪」


   「「それ、ペットじゃなくて危険度Bの魔獣~~~~~!!」」


侑里:「欲しかったのは、可愛いウサギ!!!」


真鈴:「欲しいのは、可愛い白フクロウ!!!」



ママ:「我儘言わないの!すっごく可愛いよ!!護衛にもなるし!!」


侑里:「我儘じゃないと思う・・・」


真鈴:「目つきの鋭いペットは嫌だ・・・」





ママ:「でも、ポチくんはママのペットだし・・・」


真鈴:「クマもいらん!!」


侑里:「欲しがってないし!!」





   「・・・・・・・・・・・。」


   「・・・・・・・・・・・。」


   「・・・・・・・・・・・。」









「「ぜんっぜん変わってねぇ-----!!!!!!!!!!!!!!!」」


いや、変な能力手に入れた分悪化してるだろう、と思ったが侑里は口に出さなかった。



とりあえず親子三人、再会が叶った。


北の辺境で半引きこもりのダラダラ生活を謳歌することになる。かもしれない。

最後まで読んで頂きありがとうございます♪

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