境界空間管理局特異点観測室のとある一日(3)
ここが、お姫様囚われの城ってことでいいかな?
廃工場とはまた、お約束というかベタというか。
とりあえず中の様子を見てみるか。
妹忍者ちょっと見てきてよ。
え、メンドクサイって忍者の仕事じゃないか、そこは。
あーはいはい。わかりましたよ。
もっと便利な奴等がいるでしょってことね。
サモニング!闇の眷属!
サモニング!風の眷属!
よーしよし、シャドーは建物の中、ストライクイーグルは建物の周辺を偵察だ。
人の数と場所を教えてくれ、行け!
ちょいと待ちかな。
基本的には学生勇者君に正面から入ってもらって、妹忍者はお姫様の救出だな。
私は、親玉に興味があるのでそちらに行かせてもらうよ。
なにしろ、この魔素の薄い地球での魔法使いらしいからね。
え?さっきの砂漠の魔法の威力?
あぁ、だから魔素が十分な世界よりは各段に威力が落ちてるよ。
おぃ、妹忍者、人を化け物みたいに言うんじゃない。
ほら、学生勇者君が変な方向で納得してしまっているじゃないか。
建物の中には人質を含めて十六人だな。外にはいない。
人質は地下室で見張りは二人だ。これは妹忍者。
地下への階段は入ってすぐ右側だ。
一階の十人は学生勇者君に任せる。
親玉はどうやら二階らしいから、直接乗り込むよ。
くれぐれも殺さないようにね。
じゃ、行こうか。
シャドー入り口を開けろ。
ストライクイーグルは引き続き建物へ近づく者を警戒。
OK、まだ敵は気づいてない。
妹忍者、潜入開始。
シャドーごくろうさん。
送還!闇の眷属!
学生勇者君は、盛大に扉を開けて名乗りを上げてね。
陽動って分かるかい。君の役どころはそれだから。
じゃ、頼んだよ。
あの窓でいいかな。
レビテート!
あははははは。
学生勇者君噛み噛みじゃないか。
せいぜい派手に頼むよ。
ウインドプレス!
ここは、部屋の中央にゆっくりと降りるって感じだろ。演出的に。
レビテート解除!
こんにちは。お三方。
お初にお目にかかる。
ああっ、しまった。この台詞は浮いたままの方がよかったか。
いえ、こっちの話です。お気になさらず。
で、魔法が使える方はどなた。
といっても魔力量からすると、お三方とも使えそうだけど。
おや、問答無用ですか。
ウインドカッターね。
認識しづらい風系を初手に選んだところは褒めますが、第一階位では私の障壁は抜けませんよ。
二重起動、ウィンドプレス!
ウィンドプレス自体に殺傷能力はありませんがね、吹き飛ばされた先にあるのは物体ですから。
おや、お二人とも、もう聞こえてませんか。
残る貴方が親玉ってことでよろしいか?
ああ、教祖様でしたか。それは失礼しました。
では、一手お付き合いをお願いします。
おお、火精召喚ですか!
ウォーターシールド!
ふむ、なかなか使いますね。
火精を召喚して、直接攻撃をさせて牽制しつつ、炎系第二階位のフレイムアローの効果を底上げする。魔法戦闘の基礎ができています。
サモニング!ペス!
ペス、火精を食べていいです。
どうです。私のペットのペスです。
カッコイイでしょう?
おや、ヘルハウンドの存在をご存知とは、貴方、帰還者だったりしますか?
え?ヘルハウンドが精霊を食ったらおかしいですか?
さすがに上位精霊は無理ですが、火の精霊はこいつの好物のひとつでしてね。
それはもちろん。私のペットですからね。普通の育て方はしてませんよ。
さて、どうしますか。
徹底抗戦もよし。降るもよし。
賢明ですね。
では、人質の女の子は、こちらで家に送らせていただきます。
貴方には、少々伺いたいことがありますので、後日、連絡をください。
あ、名詞をお渡ししておきます。
必ず連絡してくださいね。
では、失礼します。
お騒がせしました。
送還!ペス!
送還!風の眷属!
終わりましたよー。
学生勇者君も、お疲れ様でした。
怪我などはありませんか?
一階だけなら、装備も要らなかったかな。
では、装備を回収させてもらいますよ。
妹忍者もお疲れ様。
あ、はじめまして。
学生勇者君の友人のクローノといいます。
クロノでいいですよ。
とりあえず、ゲート出すんで、事務所に戻りましょう。
あとで、お話を伺いたいので、ケータイ番号とか教えていただけますか。
ありがとうございます。では、後日改めてご連絡いたします。
あ、学生勇者君も教えといてくれる?
え?何?学生勇者という呼び名がおかしい?
じゃあ、違うの考えときますかね。
ケータイには学生勇者で登録しましたよ。
え? あなたは鎧娘で登録しましたよ。
あははは。まあ、いいじゃないですか。
学生勇者君、鎧娘さんをお家まで送ってくださいね。
じゃあ、解散ってことで。
ん?どした?妹忍者
今回のは、お手軽だったでしょ?
これで次回分は払い込み完了なんだからお得だったじゃない。
なんなら、その次の分も半分も上乗せしてもいいよ。
なにしろ、上客を紹介してくれたからね。
いや、ホントに。
知りたい?金貨が625枚だった。
装備のレンタル代って事にしたから、ほぼ丸儲けだよね。
結構ちゃんとした金貨でさ。こっちの五百円玉ぐらいあんの。
あっちの世界って、金自体の価値が相対的に低いのかもしれないね。
理由はいろいろと考えられるよ。
採掘用の魔法が発達したり、金自体の埋蔵量が多かったりすればさ、自然と価値は下がるだろうし。
いくら儲かったかって?
えーと、五百円玉が銅とニッケルで七グラムぐらいだっけ。
金の比重が倍として一枚十四グラム。
金の含有量が七割として十グラムで625枚だから約六キロでしょ。
金の単価って一グラム五千円ぐらいだから……
ざっくり三千万円ぐらいかな。
いや、売らないけどね。
冶金したりするの面倒じゃない。
どっかで使えれば使うし。
あっちの世界にいく任務が来るかもしれないじゃない。
そうだね、金貨のまま死蔵コースだね。
そう、私のアイテムボックスは特別製だからね。
これにて一話終了です。
実験的に、主人公のセリフのみでお届けしました。
場面の転換とか、伝わってるんでしょうか?
第二話も同様かどうかは未定です。




