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第72話 説得

結構、誤字が有りそうですね

瀬川は、今の状況にイマイチ頭がついていけないでいる。


「キャーー!!助けてー!!」

「さぁ!そこを退いてもらおう!おっと、下手な事はしない方が良い。オルテの姫の命が惜しいならばな!」


アリエルが、悲鳴?を上げながらその後ろで短剣を突き立てながらマルスが凄んでいる。


『・・・あっ!今、アリエルちゃん笑いましたよ』

『これ、どうなってんスッか?』


二人の後方で、瀬川・湯川・浅野が困惑しながら追従している。


「おのれ!?下朗ども!アリエル様を離すんだ!!」


シエラが、拳を握り睨み付けた。


(お前も、ノリノリだなぁ。オイ)


瀬川は、きっとシエラには役者は無理だと悟った。


(何で、こうなったんだ?)


事の始まりは、1時間前だった。



太陽が傾きかけた時、突然ざわつき始めた。


瀬川は、周囲の異変に檻から外の様子を見て感じ取った。

最初は、気付かなかったが妙に周りの動きが慌ただしいのでシエラが何かしたのかと思ったが違うらしい。


襲撃というわけでも、どうやら無い様だ。


『瀬川士長、どうしたんスッか?』


湯川は、この状況にやっと気付いき辺りを見回した。


『俺にも、解らん。今は、取り合えず』

「タツミ!!」


すると、そこに慌ててシエラが近付いて来た。


『シエラ?「ドウシタンダ?」』

「アリエル様が!アリエル様が!?」

「お、おちつけ」

「と、兎に角、来て!今は、説明してる時が無いんだ!」


シエラは、見張りの騎士に檻を開けるように命令した。


瀬川と湯川は、檻から出ると両手を縛られ腰にロープを巻かれた。

それをシエラは、歯痒く見ていたが今は優先する事がある。


そして、二人はシエラを先頭に囲まれながら前に進んで行く。


途中で気付いた事は、負傷者の数だ。

屈強な男達だとばかり思ったがどうやら半数以上が自力で歩けない人や女性と子達だった。


中でも、一瞬だが怪我人を面倒見ている金髪の子供が数人居た。


(あんな子達まで・・・)


それは、ロニキス達エルフだった。

そのロニキスの側に、男性が居た。


『・・・ん?』


瀬川は、二度見したが見えなかった。

見張りの騎士に、睨まれてしまった。


「タツミ?」

「なんでもない」

(気のせいかぁ?)


シエラが心配したが、瀬川は笑顔で答えた。

どちらにせよ、今の語学力で質問できない。

それに、゛アレ゛が居る筈が無い。


『何か、みんな戸惑った顔してるスッね』


湯川が、呑気に言った通り周囲の者達は明らかに困惑している。


「おー、やっと会えたな!セガワ殿」


マルスが爽やかな笑顔で、瀬川達に右手を振っている。

まるで、待ち合わせの友達がやっと来た様な感じで。

別に、それは良い何故ここに堂々と居るのかとかは気にしないマルスの後ろで半笑いの浅野も居るので無事を確認できた。


「きゃーー!!!」

『・・・・って、えええ!?』

『何やってんだ!!!??あの人!!』


ただ、左手のナイフをアリエルに向けてるのを除けばの話だ。





シエラは、目の前の少女を見て涙が出そうになった。

馬車で療養中のレイナの様子を見ていた時だった。

後方の見張り番が、慌ててアリエルと名乗る少女を人質した者が捕らえた二人を解放しろと要求していると告げられた。

慌てて、駆け付ければそこに居たのは本当にオルテ王国の姫だった。


(アリ・・エル様!)


オルテ城壁の外に落とされ、行方を瀬川に伝えられてもなお心配だった。

だが、今こうして健全な姿を見れて安心した。


「貴様!アリエル様を離すんだ!!」


シエラは、マルスに剣を向けた。


「おっと、あまり脅さないでくれ。手元が狂うじゃないか」

「きっ、貴様!」


シエラは、柄を握り締めた。


「お姉ちゃん、良いから言うことを聞いて」


すると、アリエルはシエラに対してウィンクしながら小さい声で言った。


「えっ?」

「そちらに捕まっている二人を連れて来るんだ」


シエラは、マルスの言葉を聞きアリエルを再度見た。

それは、いたずらしている子供の笑みだった。

何を考えいるのか解らないが、どうやら脅されているわけでは無いようだ。


「・・・・解った。そこで待っててくれ!」

「ああ、そうさせて貰おう」


こうして、シエラは瀬川と湯川を連れて来たのだ。


「縄を解いて、二人をこちらに」


マルスは、なおも短剣をチラッかせながら命令した。


「・・・タツミ」

「シエラ、ダイショウブ」

「・・・うん」


シエラは、瀬川を見つめその縄を解いた。

そして、瀬川はそのまま湯川の縄もすぐに外した。


マルスは、確認するとアリエルと共に三人に近付く。


「ふぅー、悪いね。けど、安心して欲しい。絶対に、姫には怪我をさせないし悪い様にはしない」

「・・・・」


シエラは、マルスを睨むだけだ。

正体不明の人物に、瀬川とアリエルを任せるのだ。

不安になってしまう。


「お姉ちゃん、信じて!」


アリエルが、シエラを手を握った。

その眼差しは、かつて城の中で見た時よりも強くなっていた。


「ハァー、解りました。信じます」


シエラは、優しくアリエルに呟きマルスを見た。


「いい?ボクは、アリエル様を信じて君に預けるんだよ。もし、アリエル様とタツミとその仲間を傷つけたら」

「それ相応の覚悟を持とう。では、お願いしたい事は・・・・」


その言葉に頷き、シエラは後ずさった。


「マルスさん、コレは?」


瀬川は、説明を求めた。


「ああ、今からこの騎士団の指揮官に会って交渉するのさ」


マルスは、当たり前の様に言った。


「さあ!騎士長に、会わせて貰おう‼」


再び、マルスは大声で要求した。


シエラは、騎士達に動かない様に号令を出しマルス達を先導する。






ハリルは、目の前の事態を冷静に考えた。

いつ金鷹騎士団の追撃が有ってもおかしくない状況で彼は判断を下さなければならない。


今、騎士達に囲まれている一行を見ながらハリルは考えていた。

どうやら、あの人質の少女はアリエル姫で間違いはない。

奇妙な服装だが、お顔は幾度か拝見していたので一目見て解った。


「貴殿の名を聞きたい」

「私の名は、マルス・ジ・クルビス。クルビス帝国第4皇子だ。貴官の名は?」


ハリルの質問に、マルスは余裕の表情で答えた。


「これは、皇子でしたか失礼しました。オリベル・ド・ハリル侯爵。白狼騎士団第1隊騎士隊長をしています」

「ああ、貴官があの゛武狼゛の牙か」


マルスが言った武狼とは、シエラの義兄である白狼騎士団の団長バルカス・シン・ローズの二つ名である。


「早速だが、要求を聞きましょう」


ハリルは、警戒心を解かずマルスを見た。


「まず、私はオルテ王国に亡命を希望する。土産は、このオルテの姫君だ」

「一国の皇子である貴方が?オルテ王国と貴国の状況を理解しての、発言ですか?」


マルスは、当然と答えた。


「ハリル、受け入れよう!」


シエラは、一刻でも速くアリエルを保護したいのだ。

それは、ハリル自身も同じ気持ちだ。

だが。


「ここで、受け入れたとして貴方の国の騎士団の脅威がある」


そう、金鷹騎士団がいつ襲いかかってくるか解らない。


「その件に着いては、任せて貰えないだろうか?私が説得すれば、引き上げ・・・いやその騎士団を投降させる」


それならば、悪い話では無いむしろ願ってもかい機会だ。

上手くすれば、無事にエターロに着ける。


「良いでしょう。貴方を、受け入れましょう」


ハリルは、右腕を挙げた。

その合図で、騎士達は武器を下げた。

マルスは、その光景に満足げに観察する。


「イイカゲンニ、はなせ!」


瀬川は、マルスの短剣を奪った。

演技とはいえ、いつまでもアリエルに剣先を向けているのが嫌だったのだ。


「まったく、セガワ殿。誰のお陰で話しをまとめられたと思ってるんだ?」


マルスは、ウンザリしながら言った


『わかってる。けど、』必要ないダロウ?」


瀬川は、アリエルを引き離すとシエラの元に歩み寄った。


「シエラ、待たせタ」

「・・・タツミ、ありがとう」


シエラは、瀬川からアリエルを受け取った。


(まぁ、何か連れて来たのはマルスさんになってるけどな)


これが、マルスの狙いでも有ったのだ。

あくまでも、アリエルを届けたのは自分だと言うことが重要だがこれはまた別の話しである。


「ただし、受け入れるのはマルス・ジ・クルビス殿。貴方、一人だけだ」

『なっ!?』


ハリルは、素早く剣を抜くと剣先を瀬川の喉元に向けた。


「!?」

「タツミ!?」

『や、やべ!?』

『瀬川士長!?』


すると、回りに居た騎士達は槍を湯川と浅野に向けた。


「ハリル!?やめて!何するんだ!?」


シエラは、大声を出し静止した。


「駄目だ。マルス殿なら兎も角、まだこの二人いや三人か?この三人の素性が不明だ」

「私の連れ或いは、部下だとしても?」

「苦しいですね。会話がおぼつかない部下ですか?では、君は何者だ?クルビス帝国の人間?それも、違う。言葉からして、大陸の外の人間か?目的は?」


ハリルは、瀬川を睨んだ。

質問の内容も、わざと早口で言っている。

理解しているならば、わかる筈だからだ。


「ハリル殿!それは・・」

「残念だが、貴方ではなく君に聞いているのだよ」


マルスの言葉を遮り、瀬川に言った。


『てめー、いい加減にしろよ!』


瀬川も、ハリルを睨む。


「理解は、してないようだ。一体、何者なんんだ?君は?」

「ハリル!やめて!」

「お兄ちゃん!」


シエラとアリエルが、叫ぶがハリルは止める気配が無い。


『くっ!』


ハリルの剣先が、喉に少し刺さり血が出た。


『やっっべ!!!』

『何でこんな展開になるんだ?』


湯川と浅野に向けられた槍の間隔が、狭まっていく。


「ハリル!!お願い!やめて!タツミ達は、・・・タツミ達は!!」

『し、シエラ!』


シエラが、叫ぶ様に言おうとした瞬間だった。


「彼等は、自衛官だ!」


突然、後方から男性の大声が聞こえて来た。


その場に居る全員が、振り向いた。


「貴方は?」

「・・・カシュー・・・先生?」


そこに居たのは、負傷者を手当てしていたカシューだった。


治療士のカシューがそこに居るのが、驚いていたが三人は別の意味で驚いていた。


『ま、マジかよ!』

『あれって・・・OD?』

『゛旧戦闘服゛』


陸上自衛隊は、今でこそ迷彩服だが昔はOD色の戦闘服だった。


その服を纏い、カシューは瀬川とハリルに近付いて行く。


そして、瀬川の真横に立つと肩を掴んだ。


『陸士長、安心してくれ。私が、彼を説得しよう』


カシューは、゛日本語゛で瀬川に言った。

彼の右胸のネームには、゛河州゛と明記されていた。








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