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第65話 会いたかった

今回、凄く遅れた事に深くお詫びします


待っていた人も、そうでない人もいるとは思いますがこれからも連載していきたいと考えてます

警備兵達は、勝利を確信した。


だが、降り下ろされた剣はビストの首を跳ねる直前に止まった。


「くっ!」


シエラが、苦悶の表情で右肩を押さえた。


その瞬間、ビストは立ち上がりシエラを殴り倒した。


「卑怯者!」


レイナが、怒り叫び斬りかかった。


「黙れ!」


ビストは、大槍を持ち直しレイピアを受け止めると同時に撥ね飛ばした。


「きゃあ!」

「レイナ!」


シエラは、上半身だけをお越しレイナを見た。

右肩には、矢が刺さっている。


「なめおって!」


ビストは、憤怒の表情でシエラを睨み付ける。

戦場において、ビストは負け知らずだった。

自慢の大槍を振るいどんな強敵にも、挑み勝ち続けていた。

自分こそが、最強なのだと自負し何より方膝さえ付かなかったのが誇りと思ってさえいる。


しかし、今回一対二だろうがそのプライドに傷が付いた。

しかも、普通の騎士ならともかくこんな年端もいかない女に・・・だ。


ビストは、周辺を見回すと厭らしく笑った。


その先には、何も無い様に見えるが時おり景色が歪む。


それは、水系による姿隠しの魔法だ。

水の膜により、周囲と溶け込むが完全には隠せない。


予想したとうり、決闘の最中に逃がす策だった。


ビストは、右手を上げ合図した。


それを、確認し一斉に金獅子騎士達が動き始めた。


「ビストーーーー!」


シエラが、叫ぶ。


ビストには、その叫びが讃美歌の様に聞こえた。


騎士団が、脱出組に接近する。

その距離は、100メートル。


ビストは、二人を見る。

弱者の表情を。


「お間抜けさん」


シエラの表情は、歪んではいなかった。

まるで、イタズラに成功したかの様にビストを小バカにしていた。


「なに!?」


困惑するビスト。

気が、狂ったのかと思った。

だが、理由はすぐに判明した。


振り向くと、けしかけた騎士達が茫然としている。

魔法が、解け居る筈の敵の姿が無かったのだ。

居たのは、数頭の馬だけだったのだ。


(砦に残って居るのか?)


砦を見たが、人の気配は感じられない。


(・・・まさか!?)


シエラ達は、あらかじめ馬に姿隠しを施し砦の囮に使った。

そして、残存兵を金獅子騎士団と金鷹騎士団の間の道を使い脱出させたのだ。


金鷹騎士団の方面に、全力で姿隠しを掛け金獅子騎士団の方向には最低限にしか魔力を使っていない。


金獅子騎士団の性格から、気を一点に集中させれば気づかないと考えたのだ。


賭けだったが、成功した。


彼らが、決闘に一人でも興味を示していなかったら失敗していただろう。


騎士団が、茫然としている隙に警備兵がすぐに離脱を開始した。

この距離ならば、追い付かれる事は無い。


「さあ、次はわたくし達が逃げる番ですわ」

「うん!うっ!」


シエラの元に駆け寄り、レイナは肩を担いだ。

鈍い痛みで、表情が曇る。


(やっはり、ローエンが塗られているみたいですわね)


シエラの額から、うっすらと汗が出ており息も激しい。

経験したからこそ、その苦しみがわかるが今は一刻でもこの場から離脱しなければならない。


だが、ビストはそんな二人を逃がす訳が無かった。


「逃がすか!」

「キャア!」

「うっ!」


ビストは、二人に近づくなりレイナを殴り付けシエラの髪を掴み持ち上げた。


「ア、アア」

「うぐ!」


シエラの表情が、苦痛に顔が歪む。

レイナは、剣に手を伸ばそうとするがビストが踏みつけ阻止された。


「すぐに、金鷹騎士団に矢を撃つ様に狼煙を上げろ!せめて、逃げている敵兵士だけでも仕留めさせろ!」

「し、しかし、それではこちらも損害が出てしまいます!」

「かまわん!やれ!」


睨み付けたビストは、有無を言わせなかった。

命の危険を感じた部下は、即座に行動に移る。


ゆっくりと煙が、上がる。


空が、黒く染まる。

無数の矢が、上空を埋め尽くしているのだ。


「くっ・・・、お前も死ぬぞ!」


シエラは、抵抗しながらいった。


「ふん、まさか。貴様等を盾にすれば、あんな矢雨などとるに足らんさ」


ビストは、レイナの胸ぐらを掴み上げた。

そして、二人を矢の前に付きだした。


「せめて、良い声で鳴け」


笑いながら、ビストは二人の死を確信した。


「最低・・・ですわ」


このままでは、弓矢で串刺しにされる。

だが、最早なすすべが無い。


(タ・・・ツミ)


シエラは、眼をつぶり愛しい人を思った。


突然、激しい風が巻き起こった。


「ヌゥ!」

「うわあ!」

「きゃあ!」


それと同時に、三人はバランスを崩し倒れた。


襲って来た矢は、空中で飛散した。


「な、なんだ?」


ビストは、上空を見上げた。

それは、巨大な゛影゛だった。


その影は、真っ直ぐ砦の向こうに消えて行った。

砦は、まるで砂の城が崩れるかの様に倒壊した。


「あ、あれは!?」


悲鳴が、聞こえるがすぐに止み゛それは゛倒壊した砦を台にしてゆっくりと顔を出した。


まるで、鯨の様な顔付きだがその口には鋭い牙が生え何か溢している。

それが何か、すぐに理解した。

人の部位だ。


口から、人だったものが落ちているのだ。


「ラーウィ・ドラゴンだ・・・・と?」


ビストが、呟いた名はこの世界の生きる天災が一つ風竜だった。


ラーウィ・ドラゴンは、次の餌を見て口を開いた。

砦が、一つ入る程の大きさだ。


(ヤバい!?)


シエラとレイナは、近くの岩にしがみついた。


次の瞬間、突風が吹き上がった。


二人の体が、宙に浮く。


「うわあー!」

「た、助けてーー!」


シエラの頭の上で、金獅子騎士達が砦の方に飛んでいく。


ラーウィ・ドラゴンが、吸い寄せているのだ。

全ての人や物が、風竜の口に牙に吸われ補食される。

このせいで、都市が丸ごと一つ消えている。


「うっ・・・」


歯を食い縛りながら、じっと耐える。


咀嚼するまで、耐えるしかないのだ。

やがて、風が止んだ。


「今ですわ!」


レイナが、シエラの腕を掴み走りだした。


風竜が、獲物を呑み込むまでの間に何とか補食範囲をでなければならない。


「はぁ、はぁ」


シエラは、ローエンが徐々に回って上手く走れない。


「中和薬ですわ!飲みなさい!」


レイナは、懐から薬筒を出しシエラに飲ませたが走りながらなので効いたか解らない。


「貴様ら、待て!」


ビストが、叫んだ。

彼は、大槍を地面に刺し難を逃れていた。


「くっ!し、しつこいな!早くしないと、補食されるぞ!」


シエラは、追いかけて来るビストに悪態をついた。


「黙れ!こうなれば、貴様らだけでも殺してやる!」


シエラは、呆れてしまった。

周りは、逃げるので必死なのにビストには二人しか見えていないようだ。

ビストの諦めの悪さは、最早称賛に値していた。


「あと、もう少しですわ。あの森にたどり着ければ生存率がましになりますわ」

「はぁ、はぁ、レイナ・・・ボクを置いて行って」

「バカにしなで!カーチス家の誇りに掛けて置いて行来ませんわ!」


二人が森の茂みに着いた時、ラーウィ・ドラゴンが吸い寄せを再開した。


すぐに、大木に掴まる。

ビストは、岩を掴んだ。


「ウッア!」

「くっ!」


また、身体が浮く。


(大丈夫!大丈夫!)


シエラは、レイナに抑えて貰いながら耐えていた。


「ヌウ!」


ビストの体が、浮いた。

掴まっていた岩が、限界を迎えたのだ。

彼の運命が決定した。


「せめて、せめて、貴様だけでも!」


ビストは、岩を蹴りシエラ達に掴み掛かった。


「うわあー!」


ビストの右手が、シエラの左足を掴んだ。


「アッ!」


レイナに、二人分の負担が掛かった。


「れ、レイナ!放して!」

「嫌よ!放すものですか!」

「バカ!このままじゃあ、二人とも竜に食べられる!」

「黙りなさい!貴女、セガワ・タツミに会えないまま死にたいの?」


レイナの口から、その名前が出るとは思わなかった。


「会いたいなら、泣き言とは言わないで!」

「・・・レイナ」


諦めたくないと思ったが、毒のせいで力が抜けていく。


「諦めろ!最早、お互い助かる道は無いぞ!」


ビストが、体を揺らす。


(も、もう、限界・・・ですわ)


大木を掴んでいる手が、離れそうになった時だった。


「ゴメン、レイナ」

「はっ!?ま、待ちなさい!」


シエラが、レイナの手を離した。


「し、シエラーー!」


レイナが、叫んだ。


シエラとビストは、真っ直ぐ風竜の元に飛んで行く。


(タ・・・ツミ)


シエラは、瀬川を思った。

会いたい人、会いたかった人を


その時だった。


シエラより早く、黒い物体が横切った。

そして、轟音と共に風が止みシエラは地面に落ちた。


「うわぁ!」


シエラは、数回転げ回った。


(な、何?)


状況が、解らない。

意識が、はっきりしない。

暫くして、聞き慣れない音が聞こえたと思うと誰かが自分を強く抱き締めた。


「だ・・・れ?」


シエラは、抱き締めた男性を見た。


「・・・嘘・・・!?た、タツ・・・ミ」


男性は、シエラを見ながら笑顔で口を開いた。


『やっと、会えたな。シエラ、会いたかった』


言葉が解らない。

だが、シエラは今度は自分から男性を抱き締めた。


ずっと、会いたかった男性・・・瀬川龍巳に








いよいよ、瀬川パートが始まります。

瀬川達は、どうやって竜と戦うのか

また、シエラと合流し展開する活躍や冒険?は!


頑張って行きます

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