第61話 国境
凄く、投稿が遅くてすいません
アドバイス等、本当にありがとうございます!
これからも、駄文ですが読んでくれる人の為に投稿します!
シエラは、静かに目を開けた。
簡易ベッドだが、少しだけ疲労が取れた。
「・・・」
薄暗い、天幕の天上をただ見詰めている。
今、シエラ達はオルテとクルビス帝国の国境で厳戒態勢を牽いている白狼騎士団の宿営地にいる。
ここまでの、経緯を思い出す。
静寂の森を抜け、ここまで来れたが全員が疲労により倒れる様に寝てしまった。
シエラだけは、国境を任されているハリルに今までの経緯を報告したが医師のカシュウの姿を見た後の記憶が無い。
多分、安心して倒れたのだろう。
「・・・タツミ・・・どうしちゃったの?」
シエラは、下を向き泣きそうな声で呟いた。
彼女はこの数日間、瀬川に会えなかったのだ。
最初は、ただ向こうとタイミングが合わなかったと思っていた。
だが、いくら夢で会おうとしても瀬川は出て来なかった。
まるで、繋がりが切れてしまった様な感覚に襲われた。
「やだ・・・嫌だよ。・・・タツミ!」
まだ、同僚の安否が解らずクルビス帝国の件で不安な気持ちで押し潰されそうだった。
その上、愛し人と会えないのだ。
瞳から、涙が出てくる。
シエラは、気がおかしくなりそうな自分を必死で抑える。
「シエラ・・・今、良いかい?」
その時、外からハリルの声がした。
「は、ハリル!?ち、ちょっと、待って!・・・良いよ」
涙を袖で拭き取り、心を落ち着かせハリルを招いた。
ハリルは、シエラの横に座って心配そうに見つめた。
「やぁ、疲れは取れたかい?」
「うん、ありがとう。ハリル、ロニキス君たちは・・・レイナは、大丈夫なの?」
シエラは、ハリルの腕を掴み訊ねた。
「ああ。大丈夫、心配いらないよ。エルフの子供達は、ちゃんと保護している。落ち着いたら、是非とも会うといい」
ハリルは、シエラの手を繋ぎ優しく言った。
「レイナは?」
レイナは、一時的にでは有るが意識を取り戻していたが依然と危険な状態だった。
「カーチス嬢も、カシュウ殿のお蔭で峠を越えられたよ。君らが、ローエンの毒を抑えてくれたからだと彼は言っていたけどね」
だから、安心して欲しいと付け加えた。
その表情から、真実だと解る。
シエラは、少し安心したがまだ不安が有った。
「帝国・・・金獅子騎士団は、どうなってるの?」
「ああ、やられたよ。偵察によれば、金獅子騎士団は森を抜け近くの村を焼き払いその場に陣を張っている。まさか、静寂の森が通れるとは」
ハリルは、憎らしげに言った。
「国境の帝国領は、未だに金鷹騎士団が活発に動いている」
最早、陽動と解りきっていた。
「ハリル!すぐに、オルテ王国に戻って事態を報告しないと‼」
「残念だが、それはできないんだ」
「どうして?このままじゃあ、王国が!」
シエラは、ハリルの肩を掴んだ。
王国には、大切な仲間や友人が居る。
「落ち着いて、シエラ。帝国まだ首都には、攻め込まない。よく、地形を考えてみてくれ」
「・・・そうか!」
森を抜けたとしても、都市を攻める程の戦力が無いのだ。
それは、森の木々が邪魔をして大量の物質や人員を送りるのに時間が掛かる。
伐採するにしても、同じ事だ。
森に居たのは、一個騎士団のみ多く見積もっても5000だろう。
首都を占領するのは、不可能だ。
「奴等の目的は、この国境なんだね!」
ハリルは、その言葉に対し静かに頷いた。
ここは、国境だけあって強固な外壁砦である。
長い歴史の中で、堕ちた事が無い。
ハリル達、白狼騎士団は現地の警備隊と合流し約1万で防衛している。
対する帝国領は、ここ数日で8000の兵を前方に配置していた。
難攻不落の砦を落とすには、失敗の可能性が高いのにハリルは疑問に思っていた。
が、シエラの報告を聞きそれが解けた。
砦の後方を、ビスト将軍率いる金獅子騎士団が現れたことによりこの場所は挟み撃ちにされたのだ。
「前に、8000。後ろに、5000か」
難攻不落、それはあくまで敵が前に居る話しだった。
「王都に、伝令を!」
「もう、送ったが増援が着くのは二週間は掛かる」
「そんな」
事実は、都市まで無事に行けたかのかさえ怪しいがハリルは心配を掛けたくないので黙った。
もし、仮に着けた場合だが増援に来るのは残りの白狼騎士団を率いるバルカス団長だろう。
もしかしたら、バルカスなら気が付いて来てくれるかもしれない。
(ふっ。ただの騎士長失格だな)
ハリルは、思わず自虐的に笑ってしまった。
こんな局面で、自らの団長を頼ってしまった自分が情けなく思ってしまった。
(必ず、団長は救援に来るだろ。・・・だが)
情けないが、頼るしかなかった。
バルカスの性格上、部下からの定時報告が無ければ彼は自分自身で確かめに行く癖が有る。
日頃は、団長がやるものでは無いと注意していたが今はありがたかった。
「シエラ、何としても援軍が来るまで持ちこたえてみせる」
「・・・ハリル」
安心させようと言ったが、無情にも持ちこたえられないと答えが出ていた。
ハリルは、持ち場に戻る為に天幕から出た。
皮肉に思えるほど、綺麗な夜空が広がっていた。
「・・・国境砦を、放棄するしか無い・・・か」
聳え立つ砦を、静かに見つめ撤退の可能性とその被害を考え歩きだした。
敵は、短期決戦を望んでいる筈である。
ならば、明後日いや明日には攻めて来るだろう。
その戦力は・・・
彼の前には、待ち望んだ匂いと光景が有った。
荒々しくも、まるで歓声にも聴こえる雄叫び。
金属同士が、ぶつかり合いその音を助長している。
生と死が、入り交じり合いはっきりとそれを決める。
これぞ、戦だった。
まだ、序章に過ぎないのも関わらず将軍ビストは興奮を隠しきれなかった。
砦を見渡せる丘に陣取り、座りながら指揮を出す。
「第8騎馬隊を東から、攻めさせろ。あんな、砦ぐらいに何を手間取っている」
攻め始めて、三日が経過していた。
なかなか、決め手が掴めないでいるのだ。
「はっ!しかし、それでは金鷹騎士団 将軍 ダース様と連携が」
「構わん。あんな、臆病な爺などとハナから連携など考えておらん」
ビストは、立ち上がると愛用の大槍を持ち馬を部下に引かせた。
金獅子騎士団は森を抜けた後、すぐに近くの村を襲撃し駐屯した。
そこで捕虜と助けた仲間を追撃させた。
だが、結果はまんまと逃げおおせられた。
どうやら、馬車の仲間の他に伏兵が潜んでいたらしい。
何処からか、追っていた騎馬隊が摩訶不思議な攻撃をされ捕虜達を逃がしたというものだ。
更に、森から2台の異様な形の馬車が有り得ない速度で走り去ったと報告を受けた。
最初は、半信半疑だったが殺された馬を見たときは信じられずにおけなかった。
馬の身体は、何かに貫通したのか小さい傷口かと思ったらその後ろは吹き飛んだかのように穴が開いていた。
原因を調べさせると、亡骸から鉛の様な鉄クズが出てきた。
(オルテの新たな魔法・・・いや、武器か?)
そんな情報は、聞いていないし疑問が出てきた。
何故、連中は人ではなく馬を狙ったのかだ。
「まぁ、良い。あの砦を落とせば、自ずと解る事だ。」
二大帝国騎士団に挟まれ、尚も新兵器に頼らず持ちこたえさせている指揮官にビストは感心していた。
是非とも、この手で討ち取りたい。
「この俺、自らが出る!行くぞ!」
ビストは、馬に跨がり駆け出した。
その後には、騎士団の精鋭500人の騎馬を率いていた。
中世の戦い方をどうやって、書いていいのか悩んでます
また、投稿するのが遅くなるのも悩みの一つです




