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第51話 悪夢

久しぶりの投稿です!


まだ、そんなに考えていないのですが一話だけ載せました!

そこは、蒼白い光が射し込み露骨な岩肌がある事から洞窟内だと解る。

中は一面に泉があり、かなり深さがある。


中心には、小さな足場があった。

そこに、岩を削り荒々しくもどこか玉座の様な大きな椅子が鎮座している。


その椅子に、一人の少年が座っていた。

呼吸は、浅く瞳を閉じ椅子にもたれ掛かって寝ている。


碧の法衣を着込み、前髪まで伸びた白髪。

顔は、まだ幼く12〜14歳位だろう。


「・・・」


乾いた足音が、少年に近づいて来た。


朱のマントを羽織り、特徴的な尖った耳。

バーガントだ。

周りが、青い場所なので彼は余計に目立つ。


それでも、バーガントは気にせず少年の前まで来た。


「・・・」


バーガントは、何気無く水中を覗いた。

泉は、透き通り中がよく見える。


水中には、かなりの水草が生えている様だ。


「・・・やぁ、バーガントさん。来てくれましたか」


すると、少年が起きたのかバーガントに声を掛けた。


「ご迷惑でしたか?マティル殿」


バーガントは、マティルと呼んだ少年に一礼した。


「とんでも無い。私の”半身”も、今”帰って来たところですよ」


マティルは、笑みを浮かべ頭を上げる様に言った。


「貴方が、言っていた通り王女アリエル レオ オルテが居ましたよ。彼女は、彼方で保護されていました」

「やはりですか。それで、王女は無事に手に入れたのですか?」


バーガントの質問に、マティルは残念な表情になった。


「小成功。・・・と、言った所でしょうね。王女は、此方の世界に連れて来れたのですが我々のリザードマンが全滅しました」


マティルは、説明しだした。

異世界の風景や、場所を守っていた自衛隊。


当初は、彼らの武器を侮っていた。

だが、近付くに連れ敵は本気を出した。


「まさに、一瞬でした。手塩を掛けて育てたリザードマンが、あっさりと死に絶えましたよ」


マティルは、興奮しながら言った。

まるで、その場に居たかの様だった。


「あんな、攻撃は生まれて初めてでした。彼方は、優秀な魔導士が多いいのでしょうね」


バーガントは、マティルの話しを真剣に聞いていた。


(なるほど、やはり向こうの文明は高いか)


バーガントは、腕を組み一人で納得した。


「ああ、王女も彼等の力も欲しい」


マティルは、満足したのか上を見つめる。

何故か幼さが消え、まるで長く生きた老人の様だった。


「マティル殿。そろそろ本題に入りたいのですが」


バーガントは、充分に情報を収集したので切り出した。


「そうでした。勿論、約束は守ります」


マティルは、思い出した表情になりバーガントを見た。


「王女の安否、異世界への道の情報を提供する代わりに私は、貴方に我々水竜教の秘術”転生の儀式”を教える」


その言葉に、バーガントは静かに頷いた。


「この秘術は、自分の魂を違う器に移し変える術です」


二人のもとに、碧のローブを纏った人が書物を抱えて来た。


顔は、フードで隠れ性別が解らない。


「それが、例え獣だろうが魔物だろうか使用は可能です」


マティルは、書物をバーガントに渡すよう命令した。


「マティル殿がしたのは、応用・・・と言ったところですか?」

「ええ、そうです。少しだけ魂をリザードマンに移し操っていました」


マティルは、年齢に応じた笑みを溢した。


「お陰で、向こうで興味が出た人物に出会えました」


マティルは、瀬川の顔を思い出した。


(この爺、また身体を移し変えるつもりか)


呆れたが、表情には出さない。

所詮、他人事だ。


目的は、達成したのだこんな場所に長いする理由は無い。


「それでは、マティル ”リヴアィア ドラグ”殿。私は、これで失礼します」

「おや。もう、お帰りになるのですか?どうです。これから、神聖な儀式があるのですが」

「いえ、お邪魔にならないように帰ります」


バーガントは、一礼し背を向け歩き出した。


水竜教 最高位である教皇マティル リヴアィア ドラグ。


彼は、残念そうにバーガントを見送った。


バーガントは、出口に向け歩いていると前から教団の信者達とすれ違った。


5〜6人の信者の中心に、若い女性が縛られ口枷をされ連行されている。


その眼は、絶望に染まっていた。


「・・・」


バーガントは、その女性と目が合った。

女性は、一瞬だけ助けを求めた。

だが、バーガントはそれを無視した。


同情はするが、助ける道理は無い。


後ろの信者を見ると、重りを着けた足枷を持っている。


この後、女性がどうなるかバーガントは理解した。


(また、”水草”を増やすのか)


バーガントは、信者の会釈も無視をしてその場を去った。

途中、奥から狂喜染みた声が聴こえ何かがあの泉に”落とされた”音が耳に入った。


それでも、彼には関係の無い事だった。





赤い。


ひたすら、赤い景色だ。


自分の前に、裸の男女がいる。

どちらも、真紅の台に縛られ身動きができない様だ。

二人は、必死に助けを求めて叫んでいる。


(助けなければ!)


そう考えるが、身体が動かない。

ならば、声を出し助けを呼ぼうと口を開く。


「我らが、神に今宵も捧げよう」

(何!?)


意思とは、関係無く信じられない言葉が出た。


周りを見ると、紅い仮面を着けた集団が祈りを捧げている。


(コイツら、赤竜教か!?)


「神の業火にて、不浄な魂を燃やし浄めたまえ」

「や、止めて・・・。い、いや」


女性が、男性を見ながら懇願した。

その言葉と同時に、信者の一人がハンドルを回す。

すると、男性の台が上がり床が開いた。


そこには、炎が立ち込めた空間が広がっていた。


「や、止めろーー!」


男性は、暴れ出した。


(よ、よせ、止めろ。貴様ら)


自分も必死に、儀式を止めようともがく。

だが、身体は意思とは逆の行動を起こす。


身体は、男性の台の縄を切ったのだ。


「ギャアアアアア!」


台は、燃え盛る炎に落ち男性は生きたまま包み込まれた。


「いやアああ!」


男性の断末魔を聴き、女性が悲鳴を上げる。


歓喜が、聞こえた。


(なんて、事を!)


次に、玉座に座った紅い法衣の老人に頭を下げた。


「”クルーズ”、良いできだ。さぁ、次に進みなさい」


老人は、優しい口調で自分を”クルーズ”と呼んだ。

自分は、信者に向き直り両手を広げた。


「皆よ、聞け!ここに、魂が浄化された!これに、祝し神 ”フレア ドラゴン”様の恵みの糧を口にするのだ」


自分は、そう言うと信者からナイフを受け取った。

そして、女性に歩みよる。


女性は恐怖で、声が出ない。


(止めろ。止めてくれ)

「万象の理、戦騎なる炎の精霊、汝に、願いを。灼熱たる汝の炎を刃に」


ナイフの刃が、熱で赤く染まる。


(止めろ、止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ)


願いが、届かない。

ナイフを持った両手が、女性の胸に。





「う、うああ!?」


ハリルは、飛び起きた。

そして、周りを見渡す。

そこは、宿営地の天幕の中だった。


そのまま、起きて簡易ベッドに座り項垂れた。


「はぁ、はぁ、はぁ」


右手で、顔を覆う。

悪夢だった。

たが、内容は覚えいない。


それでも、吐き気がするほどの悪夢なのは間違いない。


物心が着いた時から、毎日見ていた。


「何故だ?最近は、見なかったというのに」


ハリルは、正直寝るのが怖かった。

夜が来るのが、嫌だった。


たが、最近では悪夢を見なくなっていたのだ。

それどころか、安らぎさえ感じていた。


ハリルは、舞踏会の日に一人の女性と出会った。


「・・・シエラ」


そう、シエラだ。

彼は、あの日からシエラを想うと安らかな気持ちになる。


ハリルは、深呼吸をして落ち着きを取り戻す。


今、自分はオルテとクルビス帝国の国境にいる事を思い出す。

クルビス帝国が、オルテ王国に向け兵を進軍したと情報を受けたからだ。


白浪騎士団は、国境において厳戒態勢を引いている。


王国国境で目撃された帝国騎士たちの発見。

及びそれが事実だった場合の討伐だ。


「失礼します」


天幕の外から、少年の声がした。

入って来たのは、白浪騎士いや装備からして見習いだと解る。


「お水を取ってきました」


少年は、ハリルにコップを渡した。


「すまない」


ハリルは、コップの水を一気に飲み干した。


「オリベル隊長、大丈夫ですか?お顔が、悪いようですが」


少年は、心配そうに尋ねた。


「ああ、大丈夫だ。ありがとう」


実際、自分は青い顔をしているのだろう。

これ以上、心配されるのも困った事だ。


ハリルは、少年にコップを返しすぐに装備を着ける。


「私の仮眠中に、何か有ったか?」

「いいえ」

「失礼します!」


その時、一人の男性が慌てて入り方膝を着いた。


彼は、少年とは違いフルプレートアーマーを装備している。

肩には、狼の顔が模している。


その事から、彼が正規兵だと解る。


「報告します。先程、クラウス方面から我が国の旗が描かれた馬車が近付いて来ています」

「伝令か?」


ハリルは、すぐに鎧を着込み天幕を出る。


ハリルの鎧は、シルバーメイルで同じ肩当を装着している。


「いいえ。伝令にしては、あまりにも粗末な馬車ですし何より”攻撃を受けた”痕跡が確認されています」

「何?」


ハリルは、眼を細め確認した。

確かに、遠くからだが紋章がある。


それに、馬車には矢が所々刺さり痛々しい。


(いったい、誰が?)


ハリルは、手綱を持っている人物を見た。


(・・・女性か?銀髪・・・!?)


その女性は、よく知る人物。

いや、自分が恋心を抱く人だった。


「シエラ!?」






シエラは、手綱を握りしめ馬車の速度を上げていた。

その眼には、焦りが有った。


「レイナさん」


後ろから、子供達の心配そうな声が聞こえる。


「・・・大丈夫ですわ」


強がりは言うが、彼女の肩には矢傷が有った。

手当ては施しているが、顔色が悪い。


治癒の魔法を、ロニキスとアイリが掛けている。


「どう?ロニキス君」

「傷口は、僕とアイリでなんとかなりそうです」


シエラの問いに、ロニキスは汗を吹きながら答えた。


「ですが・・・」


ロニキスは、言葉を濁らせた。


「・・・”毒”までは、無理なんだね」


シエラは、歯痒かった。


「ごんなさい。お姉ちゃん」


アイリが、涙声になりながら言った。


この場で、治癒魔法を使えるのは二人だけだった。


だが、傷は癒せるが毒を解毒するのはできない。


「別に、気にする必要は無くてよ」


強がるが、呼吸は浅く額には大量の汗が浮かぶ。

明らかに、状態は悪い。


「はぁ、はぁ、わたくしの事より・・・」

「・・・”金獅子騎士団”だね」


シエラは、レイナに変わり言った。


今、シエラ達は白狼騎士団がいる国境を目指していた。

事態を、報告・対処する為に王国より白狼騎士団が近いからだ。


「止まれ!白狼騎士団第1隊である!名を名乗れ!」


騎士団が、見える距離まで馬車を走らせると二人の騎士が誰何した。


「1隊?良かった!ハリルが居るんだね」


騎士は、疑わしい眼でシエラを睨む。


「僕は、第4隊隊長騎士 シエラ・ローズ。急ぎ、白狼騎士団第1隊隊長騎士オリベル・ド・ハリル殿に報告をしたい」


シエラの言葉を聞き、騎士達は顔を見合わせた。

どうやら、信じて良いのか決めかねている様だ。


その時、陣営から馬に乗った騎士が三人シエラに近付いて来た。

その中の一人が、自分が知る人物だと確認し安堵した。


「シエラ!?どうして、ここに?」


ハリルは、馬車に着くと馬から降り駆け寄った。


「ハリル、お願い!猛毒を受けた者がいるんだ!早く、治療士を呼んで」


シエラは、ハリルの顔を見るなり叫んだ。



場面の移り変わりが、速いと自覚してます。


また、文章もダメダメですね苦笑


さて、このあとですがまだまだ時間が掛かりそうです。



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