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第42話 死人の村1

"静寂の森"、一見普通の森に見える。


だが、実際は違う。


森に入り奥へと進んだ筈が、必ず元の入って来た場所に戻ってしまう。


それは、森に住むエルフが長い年月をかけて造り出した結界が有るからだ。


他種族を嫌う、エルフらしい結界だ。


そうやって、数百年も国交を絶ってきた。


今、その森に一台の馬車が近付いている。


手綱を引いているのは、シエラだ。


「やっと、見えてきた。」


シエラは、近付いて来る森を見て言った。


「ホントですか!」


すると、馬車の中からエルフの少年 ロニキスが顔を出した。


「うん。ほら、あそこだよ!」


シエラは、森を指差した。


ちなみに、レイナはと言うと馬車の中で仮眠している。


二人は、遅れを取り戻そうと昼夜問わず交代しながら馬車を引いていた。


「シエラさん、レイナさん、ありがとうございます!」


ロニキスは、頭を下げた。


すると、他のエルフも顔を出し始めはしゃぎだした。


「もう!何ですの?うるさくて、眠れないですわ!」


レイナが、起きて文句を言った。


「す、すいません!」


ロニキスが、申し訳なさそうに謝った。


--15日前---


ロニキス達、エルフを解放したあとシエラ達は近くの村に寄っていた。


そこで、先ずロニキス達の誤解を解く事になった。


当初は、疑って警戒されていた。


「で・す・か・ら!わたくし達は、あの連中とは無関係!」

「・・・信用・・できません。」


自分達の村を襲われ、目の前で親を殺されたのだ。


人間を信用できないのは、仕方がない事だった。


いつ、この二人の人間が手のひらを返し自分達を虐待・奴隷にするか解らない。


その時は、全力で幼い子供達を守るつもりだ。


例え、ロニキス自身が殺されようと。


(一人くらい、道連れにしてやる!)


ロニキスは、シエラ達を睨んだ。


「どう?レイナ。誤解は、解けそう?」


シエラが、宿の手配を済ませ戻って来た。


「ぜんぜん、ダメですわ。」


レイナは、溜め息をつきながら言った。


「ねぇ、ロニキス君。僕たちは、君達に手荒なマネや奴隷にする気は無いんだ。」


シエラは、ロニキスの前に来て方膝を付き視線を合わせた。


「・・・信用しろと?」


ロニキスの後ろには、五人のエルフの子供が心配そうに見ている。


「そう、信じて欲しい。"静寂の森"まで、君達を送っていくよ。元々、僕らは君達エルフに用件が有ったからね。」


(やっぱり!この人間種族は、村を襲う気だ!)


ロニキスは、子供達を庇うように身構えた。


「残念ですが、あの"裏切り者のエルフ"の様に村に案内なんかしません。それに・・・。」


例え戻っても、皆が生き残っている保証はない。


「もう、諦めましょう。」


レイナは、額に手を当てて言った。


シエラは、真っ直ぐにロニキス達エルフを見た。


「確かに、君達を襲ったのは人間種族だ。」


そして、両手両膝を地面に付けた。


「同じ人間種族として、謝るよ。」

「・・・!?何をしてるんですか!?」


シエラは、頭を地面に付けた。


「・・・・。」


シエラは、黙って頭を下げ続ける。


「・・・ロニキスお兄ちゃん。」


ロニキスの後ろにいるエルフの少女が、見詰めた。


すると、他のエルフ達もロニキスを見た。


「・・・・解りました。あの賊徒達とは、関係無いのは信じます。」


ロニキスは、バツが悪そうに言った。


「村の入口までなら、案内します。」

「本当に?」


シエラは、頭をゆっくり上げた。


「ですが、まだ貴女達を信用するわけではありません。」

「解ってる。今は、それだけで十分だよ。」


シエラは、笑った。


そして、ロニキス達を手配した宿に案内した。


「・・・ほんと、貴女はおかしな行動ばっかりするのね。何でしたの?みっともない、あれは?」


宿に行く途中、レイナが呆れながら言った。


「ん?ああ、あれはね。」


シエラは、額についた土を落としながら少し笑いながら言った。


「"ニホンのドゲザ"って、言って自分の気持ちを相手に伝える方法だよ。」


前に、瀬川と剣の稽古に付き合う約束していた。


だが、瀬川は夢の中に来なかった。


約束を、破ったのだ。


次の日の夢に、瀬川は慌ててシエラに会いに来た。


が、シエラの機嫌はすこぶる悪かった。


シエラは、文句の一つでも言ってやろうと口を開こうとした。


「マジで、悪い!!この通り!土下座するから、許して!」


その時に、瀬川が地面に頭を突っ込む様な勢いで土下座をした。


「た、タツミ!?何してるの!?」

「言い訳は、しない!最大級の気持ちを表す日本の土下座だ!!」

「許すから、頭を上げてよ!」


シエラは、慌てながら瀬川を許した。


シエラは、この時の事を覚えていたのだ。


余談だが、瀬川は約束の日。


中隊の忘年会のあとに、二次会・三次会とオールをしていた。


そのあげく、朝方道路で寝ていた所を交番に保護されていた。


そんな出来事をレイナは、知るよしもない。


「"ニホン"?」

「国の名前だよ。」


レイナの知るなかで、そんな国の名前は聞いたことがない。


よっぽど、田舎か秘境の類いですわね。


レイナは、呆れて溜め息をついた。


「貴女、本当に変ですわね。」


レイナは、その言葉を残し自分の部屋に行った。


「変は、余計だよ。」


シエラは、夜空を見た。


(今頃、タツミは何してるのか?)


シエラは、自分の胸元にあるペンダントを握った。


自分と最愛の人を繋ぐ、唯一の証。


大切な、お守りだ。


翌朝、シエラ達は朝食を済ませ村を出た。


荷馬車の手綱を引いているのは、レイナだ。


シエラは、荷馬車の中で鉄格子を外す作業をしている。


さすがに、ロニキス達を檻の中で移動させるのは気分が悪いからだ。


だが、これがなかなか外れない。


粗末な作りとはいえ、丈夫である。


「んん〜。ほっ。あっ!ああ〜、欠けちゃったか〜。」


シエラは、村で購入した剣を見た。


見事に、刃先がボロボロになっている。


「何を、やってるの。いい加減諦めになったら?」


レイナは、冷たく言った。


「嫌だね。外すね。ロニキス達も、無い方が良いでしょ?」


シエラは、馬車の隅っこで固まっているエルフ達を見た。


「・・・。」

「・・・。」

「・・・。」


エルフ達は、朝からずっと黙っている。


正直、賊に会った事は予想外だったが嬉しい誤算だった。


おかげで、馬車が手に入り腰が痛くならずに済むし疲労も少ない。


だが、ずっと黙って睨んで来るエルフ。


オドオドしているエルフ。


ビクビクしながら、震えるエルフ。


それに対し、イライラするレイナだった。


「ああ!もう!なんなんですのよ!」


「落ち着いて、レイナ。」


シエラが、レイナの心情を察したのかいつの間に話し掛けてきた。


「あの子達は、村が襲われた上に目の前で親が殺されたんだ。仕方がないよ。」


レイナは、深い溜め息をついた。


そんな事は、言われなくてもわかる。


早く、"静寂の森"に着いてこの空気から解放されたい。


「だいたい、こういう仕事はルノーが一番適任ですわね。」


そう、あの二重人格娘ならこういう時は黙って馬車を引くに違いない。


「う〜ん。たぶん、ルノーには無理だよ。」


シエラは、苦笑いした。


「あら、何故そう思うの?」

「だって、すぐに慣れて任務そっちのけで仲良くなろうとして・・・。」


挙げ句に、空回りして終わりである。


レイナは、簡単に想像できた。


最近、ついていない。


無駄に戦い、剣を無くすわ助けたのにこの態度だ。


こんなの、第3隊隊長騎士である自分のやる仕事じゃない。


「・・・・ちょっと、え〜とロニキス・・・と言ったわね。」

「・・・何です?」


ロニキスは、睨みながら言った。


「訊きたい事が、有りますの。」


レイナは、一人言の様に言った。


「賊に、貴方達の村を案内したエルフ・・・。その情報を訊きたいの。」


この質問に、ロニキスは少し考え口を開いた。


「・・・見たことが・・・無いエルフでした。・・・少なくとも、僕たちには。」


ロニキスが言うには、村では見掛けないエルフということだった。


「・・・ただ、大人達は知っている様でした。名前を、言ってました。たぶん、僕が生まれる前に村を出ていたんでしょう。」


それ以外は、知らないと答えた。


「どんな、名前だったの?」


シエラは、身を乗り出した。


「確か・・・、バーガント・・・と言われてました。」

「・・・バーガント。」


シエラは、呟いた。


「・・・まだ、犯人と確証はできませんわよ。」


レイナが、先走るなと言った。


「解ってるよ。でも・・・。」

「ええ、今のところは可能性は高いですわ。」

「・・・。」


シエラは、道の先を見た。


たぶん、エルフの村を襲った賊はあれだけでは無い筈。


実力的に、エルフの方が強いからだ。


エルフを圧倒する人数がいた筈である。


あの賊の同業者、または・・・。


「・・・"赤竜教"・・・。」


シエラは、呟いた。


今回の裏には、赤竜教が居るだろうか?


"紅い"マントを羽織ったエルフ、バーガント。


紅は、赤竜の象徴である。


しかし、やはりそれだけではまだ確証が無い。


王女誘拐に、エルフの村襲撃。


関連が解らない事が、一杯だ。


ただ、これだけは言える。


どちらも、バーガント・・・つまり同一人物だ。


そして、赤竜教も絡んでいる。


確証は、無いが自分の"勘"がそう告げていた。


「・・・今、考えても仕方がないですわよ。」


レイナが、シエラの考えを見透かした様に言った。


「・・・レイナ。」

「ほら、さっさと作業に戻ったら?」


シエラは、レイナの言った通り鉄格子を外す作業に集中した。






そこは、廃墟と化した場所だった。


荒廃した建物が数件ある事から、そこが村だったのが解る。


バーガントは、周りを見回した。


周囲には、おびたたしい人骨がある。


人骨には、痛々しい傷痕があった。


「・・・盗賊。いや、戦争・・・か。」


見た感じ、相当古い。


子供の骨もある。


バーガントは、気の毒にと思った他とくに感じなかった。


所詮は、種族同士の戦争である。


それが、古かろうと新しかろうとバーガントには関係無い。


ただ、この土地が使えるだけだ。


「さて、もうすぐ客が着く頃だ。始めるか。」


バーガントは、後ろを振り返った。


そこには、三人のエルフの女性。


その左には、横たわった餓狩鬼がいた。


餓狩鬼は、息をしているが動かない。


女性達の瞳は、虚ろだった。


バーガントは、腰から剣を抜いて真ん中の女性に渡した。


「さあ、"実験"を始めるぞ。・・・殺れ。」


剣を渡された女性は、餓狩鬼に近付いた。


そして、剣を振り上げた。


「・・・・。」


女性は、無表情で剣を振るった。


餓狩鬼の首が飛び、辺りにおびたたしい血が流れる。


同時に、地面が光った。


「・・・始まったか。」


バーガントは、周辺を見回した。


すると、人骨が一体一体ゆっくりと動き出した。


やがて、人骨に血管や肉片が着きだした。


「あ・あ・ああああ。」


人骨は、低く不気味な声を発した。


それは、理性の欠片もない。


徐々にその数は、増えていく。


「・・・。」

「・・・。」

「・・・。」


その光景を見ても、三人の女性は無表情だった。


人骨だった者達は、這いずりながら三人の女性に近付いていく。


バーガントは、この後に起こることを理解している。


だが、同情や罪悪感と言う感情は湧かなかった。


"目的の為"。


そう、全ては"目的の為"に必要な事だ。


バーガントは、眼を閉じた。


(・・・きっと、"君"はこの行為を許せないだろう。)


バーガントの耳に、血肉を咀嚼する音が聞こえてきた。


(・・・だが、それでも私は"君"を生き返す。)


自分が、間違った事をしているのは解る。


バーガントは、ゆっくりと眼を開けた。


「さて、来客を迎える為の準備をするか。」


バーガントは、目の前にいる"それら"を見て言った。


日は傾き、辺りは闇に包まれだしていく。


ただ、人骨だった者達の瞳だけが紅く光っていた。


「竜伐の聖女に、最高のもてなしをしなければな。」


バーガントは、次の段階に取り掛かった。


馬車は、足場の悪い道を進んでいた。


おかげで、動くだけで荷台が上下に揺れる。


「ん〜。何とかなんないかなぁ?」


手綱を引いているシエラは、愚痴をこぼした。


この道では、スピードも出せない。


お陰で、予定の時刻を大幅に遅れていた。


「ちょっと、もう少し上手く進めませんの!?・・・うっ!」


荷馬車から、レイナが文句を言った。


その顔は、青い。


「そんな事、言われてもなぁ〜。これが、限界だよ。」


シエラは、精一杯やってつもりだ。


なるべく、揺れが出ないように道を選んでいる。


「ほら、レイナ。戻って横になっててよ。」


シエラは、レイナを心配した。


ちなみに、荷台の鉄格子はなんとか取ることができた。


その代わり、買ったばっかりの剣がボロボロになってしまった。


レイナから、小言を言われてしまった始末だ。


「・・・ん?雨だ。」


シエラは、空を見上げた。


雲いきが、怪しく時折ポッポツと降りだしてきた。


これは、すぐに本格的にどしゃ降りになると直感した。


「どうしょう?困ったな。」

「・・・そうですわね。まずいですわ。」


二人は、辺りを見回した。


ここで、降れば視界が更に悪くなる上に先に進めないかもしれない。


最悪、停車し野宿だ。


こんな場所で、野宿すればいつ魔物が襲ってくるかわからない。


その時は、エルフの子供達を守りながら戦わないといけない。


この、ボロボロになってしまった剣で・・・だ。


「う〜ん。不利だなぁ〜。」


早く、安全な村に到着しなければいけない。


それには、レイナも同意した。


「どこか、集落か何かあれば・・・。」

「こんな、場所に有るわけ無いですわ。」

「そうだけど、・・・ん?」


シエラは、遠くの方で複数の光る物を見つけた。


「ねぇ、レイナ。あれは・・・。」


シエラは、光を指差した。


「・・・・民家・・・みたいですわね。」


レイナは、眼を細めて言った。


そう、近づくにつれそれは村だと解ってきた。


「あれ?こんな所に、村なんてあったけ?」


シエラは、首を傾げた。


「地図には載ってませんが、どちらにしても助かったですわ。」


レイナは、安堵のため息をついた。


やっと、この気持ち悪くなる揺れから解放される。


「いや、でもおかしいよ。」

「おかしくても、野宿よりもマシですわ!ほら、貴方達もいいですわね?」


レイナは、荷台にいるロニキス達エルフに言った。


「・・・別に、構いません。」


ロニキスは、素っ気なく答えた。


相変わらず、エルフ達はシエラとレイナに距離を置いていた。


最初は、その態度にイライラしていたレイナだがもう慣れた。


「ほら、あの子達もこう言ってますわ!」


シエラは、渋々と馬を村に向けた。


村に着くと、雨はどしゃ降りになっていた。


村は、どんよりとした空気に包まれていた。


シエラは、馬車を入口に停めた。


「じゃあ、宿をとってくるよ。」


シエラは、雨の中を走って宿を探した。


村は、まるで人気が無い様だった。


(・・・なんだ?誰も居ないのか?)


民家の窓を覗いたら、人影が動いているのが解る。


(・・・気にしすぎ・・・かな?)


そう思ったが、何故か嫌な予感がする。


一刻でも早く、この村から出ていった方がいい。


シエラの中で、警告に似た胸騒ぎがした。


「・・・大丈夫。大丈夫。」


シエラは、呟いて深呼吸をした。


一度、頭を切り換えて不安を振り払った。


「フゥー。さぁ、宿を探そう。」


シエラは、村の奥に進んだ。


宿は、すぐに見付かった。


「すいません!」


シエラは、ドアを叩いて宿に入った。


カウンターには、宿の主人と思われる男性が座っていた。


「旅の者ですが、七人で泊まりたいです。部屋を2つ、できれば1つは広い所で。」


シエラは、ロニキス達の事を考えて言った。


自分達は、別に狭くても良い。


主人は、愛想無く紙を差し出した。


シエラは、紙に自分の名前を書いた。


主人は、その紙を取ると二つの鍵を渡した。


(あれ?随分、古い鍵だな?)


鍵は、錆びていて型も大分古い。


シエラは、鍵を受け取り主人を見た。


何故か、主人に違和感を感じてしまった。


先程から、一言も喋らずただ一点しか見ていない。


まるで、死人の様だった。


(・・・なんだ?)


シエラは、取り合えずレイナ達の元に向かった。


荷馬車は、村の中央に止まっていた。


「あら?もう、宿を取ったの?」

「う、うん。」


シエラは、浮かない返事をした。


「じゃあ、早く行きましょう。」

「レイナ。」

「何ですの?」

「この村、なんかおかしいよ。素通りしたほうが、良いかも。」


シエラは、小さい声で言った。


後ろにいる子供達に、不安を与えないようにしたいからだった。


「何て言うか・・・・。そう、まるで廃村みたいなんだ。」

「まったく、何を言うと思えば。」


レイナは、額を押さえて呆れた。


「確かに、不気味な村ですけど考えすぎですわ。それとも、ローズ家の人間は臆病者なのかしら?」


これには、シエラはカチンとなった。


「まさか!そんなはずは、無いよ!」

「さぁ?どうかしら?」


レイナは、シエラを横目で見た。


「少なくとも、カーチス家より勇敢だもん!」

「な・ん・で・すっ・て〜!」

「・・・・。」


そんな、二人の会話をロニキスは見ていた。


二人の声は、あまり聞き取れなかった。


(やっぱり、僕たちを売るつもりなのか?)


ロニキスは、二人が自分達を奴隷市に売る相談をしていると思った。


(・・・・この人達から、逃げるのは今夜が良さそうだ。)


ロニキスは、今まで案内をする振りをしていた。


わざと近道と言って、遠回りの道を教えていたのだ。


そうすれば、森に着くまでに逃走する機会があるからだ。


上手くすれば、この馬車を奪って子供達と帰れる。


ロニキスは、その機会が今夜回って来たと確信した。


「・・・あの。」


ロニキスは、シエラに話し掛けた。


「ん?どうしたの、ロニキス君。」


シエラは、ロニキスを見た。


「ぼ、僕は、この村に泊まるのに賛成と思います。」


ロニキスは、子供達が疲れている事やこの先の道を説明した。


「・・・・解った。案内するよ。」


シエラは、エルフの子供達を見て言った。


確かに、あまり顔色がよろしくない。


シエラは、馬車の手綱を引いて先程の宿に向かった。


この村に、一抹の不安を感じながら。

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