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第33話 会議

アリエル王女が、失踪して五日が過ぎた。


この事件は、オルテ国に住む民には伏せていた。


王宮に、餓狩鬼が数匹も侵入しただけでも民衆の不安になる。


しかも、邪教の長が竜を蘇生しそうになり。


その上、アリエル王女の件だ。


国王 レオリオは、無用な混乱を与えないように箝口令を敷いた。


あの翌日、シエラはクロエ団長に呼ばれた。


内容は、白鳳凰騎士団第4隊隊長職への復帰だった。


「早速で悪いが、シエラ。お前には、王女捜索の任についてもらう。」


クロエは、シエラに小数で捜索するよう付け加えた。


現在、シエラ達は王国の南側に位置する古びた水車小屋にいた。


シエラはこの五日間ずっと捜索を行っている。


「隊長、だめです。痕跡すら見つかりません。」

「・・・そう。解った。取り合えず、宿舎に戻って捜索隊を再編しよう。」


シエラは、馬を4隊の宿舎に向けた。


1日ごとに、人員を変えてローテーションで捜していた。


しかし、シエラは部下を変えるだけで自分はずっと任務に着いている。


休みもせず、ほぼ徹夜でだ。


「隊長。少しは、休んで下さい。」


そんな、シエラを見かねた騎士の一人が心配そうに言った。


「大丈夫だよ。平気、平気。これでも、ちゃんと休息は取ってるんだよ?」


シエラは、笑顔を作って言った。


例え、休息を取っても責任で眠れ無いし何よりますます心配になる。


身体を動かす方が、良いのだ。


「ですが、隊長。最近、まともに食事も取られて無いご様子ですし・・・。」

「隊長に身に、何かあれば4隊は・・・。」


騎士達は、シエラに休むように説得した。


しかし、シエラは頑として大丈夫と言うだけだった。


「では、せめてまともに食事をしてください!丁度、夜が明けましたから黒猫亭で朝食を取りましょう!」


部下の必死な説得に、シエラは渋々と同意した。


馬を宿舎から、黒猫亭へと変えシエラ達は朝食を食べる為に向かった。


その間も、部下達は休んでくれと説得を試みていた。


やがて、一行は目的の黒猫亭に着いた。


「あら?シエラちゃん、じゃないかい?久しぶりだね!・・・って、どうしたのさ!その目の下の、クマは!?」


入った瞬間、黒猫亭の女主人 バラシテアが驚きの声を上げた。


「何でも無いよ、バラシテアおばさん。」


「何が、何でも無いよよ!ちょっと、顔色も悪いじゃない!」


バラシテアは、シエラの顔を両手で掴み観察して言った。


「あんた、ちょっと食べてる?寝れてるのかい?」


バラシテアも、部下と同様に心配そうな声で言った。


「ん〜ん。ちょっと、だけ・・・ね。」


シエラは、笑いながら誤魔化そうとした。


「あたしを、誤魔化そうなんて100年早いよ。ほら、入りな!すぐに、まともなもんを用意するよ!」


バラシテアは、シエラと騎士達を招き入れすぐに厨房に行った。


「ふぅー。バラおばさんには、敵わないな。」


シエラは、苦笑した。


部下達は、シエラがバラシテアに頭が上がらない事を知っていた。


少し、罪悪感を感じたが仕方が無かった。


「・・・それで、隊長。西の水車には、居なかったですがもうオルテに捜す所はもう・・・。」

「確かに、無いね。それだったら、捜索の範囲を広げるまでさ。」


シエラは、騎士達と小声で話した。


「いえ。それでしたら、絞り込んだ方がいいですね。」


一人の騎士が、考えながら言った。


「絞り込む?」

「ああ、王女を拐った奴はエルフだろ?」


同僚の騎士の問いに、答え話を続ける。


「だったら、怪しいのは"静寂の森"に住むエルフ共って事。」

「まぁ、確かに。」

「あいつらなら、王女の行方や犯人が解るか何か知ってるんじゃないか?もしかして、あの森の連中もグルかもな。」

「じゃあ、教えて下さい。って、言うの?あいつら、アタシ達人間種族の事を快く思って無いんだよ?」


その騎士の言葉に、シエラは頷いた。


「そうだよ。ルミネの言う通りさ。そもそも、静寂のエルフとは昔から無干渉の条約があるしね。」


シエラの言葉に、ルミネと呼ばれた騎士が首を縦に降った。


「隊長。そんな条約、100万年前の話ですよ?だいたい、話を聞くだけですし・・・。」


提案した騎士が、言い終わる前に厨房から美味しそうな香りがした。


「何、こそこそ話てんだい?」


バラシテアが、料理を持ってやって来た。


「な、何でも無いよ!」


シエラは、手を降り言った。


何か、隠してるのが解りやすいリアクションだろう。


騎士達は、そう思いながらわざとらしく咳払いをした。


「え〜と〜、そう!」

シエラは、手を叩き思い付いた。


「"しろあり"の調査だよ!」

「城あり?何だい、そりゃ?」

「え〜とね。最近、見付かったこのぐらいの蟲でね〜。」


シエラは、親指と人指し指を1センチ間を空けバラシテアに見せた。


どうやら、しろありとやらの全長らしい。


「こいつは、一杯いて木を食べちゃうんだ。」


シエラは、前に瀬川が実家にしろありがいたと愚痴て言った事を思い出した。


「それで、・・・そう!森に大量発生しちゃってて。」


シエラの話に、騎士達は頭を抱えた。


「いつ、市街地に来るか解らないじゃない?ほら、家の屋根骨って木でできてるからさ!」


シエラは、それで森や木製の建物を調べてあるっと言った。


((隊長・・・・バレバレです!))


騎士は、喉から言いそうになったが必死に押さえている。


「ふ〜ん。」


バラシテアの一つ一つの言動に、シエラ達の脈拍は速くなる。


そして、バラシテアが深い溜め息をついた。


「解った。解ったよ。そう、城ありね。これ以上は、訊かないよ。ほら、冷める前に食べな!」

「ありがとう。バラシテアおばさん。」


シエラは、目の前の料理を見た。


香ばしい匂いだ。


匂いに、刺激され口から涎が出そうになってしまう。


「・・・美味しい。」


シエラは、一口食べると感嘆の声を上げた。


騎士達は、ガツガツと食べはじめている。


シエラ達の腹が、満たされていく。


「ほら、あんたらガツかないの。」


バラシテアは、苦笑しながら言った。


「だって、美味しいんだもん!ねぇ、バラシテアおばさん。この料理、バラシテアおばさんが考えたの?」


シエラは、改めて料理を見た。


炒めた肉と、じゃがいもなどを一緒に煮込んだ物だ。


あまり、見ない料理である事は確かだ。


「ああ、こいつはね。カシュー先生に、教えてもらったのさね。」

「カシュー先生が?」


シエラは、意外な顔をした。


「驚きすぎだよ。」


バラシテアは、カシューにコレを作ってくれと頼まれた。


材料は、カシューが用意しさらに知らないソースや砂糖まで持ってきたらしい。


「なんでも、先生の故郷の料理なんだってさ。」

「へぇー。」


シエラは、カシューがあまり故郷の事を話さ無いのを知っている。


「おばさん、何て名前なの?」

「ん?あ〜、何だったけ・・・。確か・・・、肉ジガアだったけ?」


バラシテアは、少し考えて言った。


「肉ジガア?聞いたこと無いな?」

「まぁ、良いじゃないですか。美味しいんだし。」

「そうですよ。隊長。」


騎士達は、ガツきながら言った。


シエラは、確かにと思って食べ始めた。


3人共、すぐに空になった。


おかわりしたいが、捜索を再開しなければならない。


アリエル王女は、今ごろ何も食べていないかもしれない。


「おばさん!美味しいかったよ!ありがとう!」


シエラは、気合いを入れ直し立ち上がった。


騎士達も、席を立った。


「シエラちゃん、無理しちゃ駄目だよ!」


バラシテアの声にシエラは、笑顔で答えた。


そして、外に出ようとした。


「失礼します。ああ!隊長、やっぱりここに居たんですね!」


入って来たのは、レナだった。


「レナ?」

「シエラ隊長。城に、お戻り下さい。」

「え?どうして?」


レナは、バラシテアをチラチラと見た。


バラシテアは、片手を上げ厨房の中に行った。


そんな、バラシテアの気遣いにレナは頭を下げた。


バラシテアは、苦笑しながらいいってと言いながらその場を後にした。


「隊長、姫の件で極秘に議会が開かれます。その際、隊長も参加せよっとの事です。」

「ボクも、かい?」


シエラは、自分を指差した。


「はい。呼ばれているのは、小数の動ける騎士達です。捜索は、私に任せて下さい。」


そして、シエラは部下をレナに任せ城に急いだ。






レイナ カーチスは、議会場に歩いていた。


朝から、ムカムカしていた。


理由は、解らない。


いや、嘘だ。


理由は、簡単だ。


オルテ王国を、揺るがす事件。


未然に防いだらしいが、自分が関わっていない。


別に、目立ちたいと思っている訳では無い。


・・・筈である。


カーチス家の人間に産まれた者として、武功をたてなければならない。


「・・・ハァ〜。」


レイナは、自慢の赤毛を掻きむした。


「・・・本当は、悔しいだけですわ。」

「何が、悔しいんだい?」

「キャアア!?」


レイナは、一人だと思っていたので突然に声をかけられたので驚いた。


「び、ビックリしたなぁー。」

「わ、わたしの方が驚いたわよ!?アーク!」


レイナは、アークに文句を言った


「もう!」

「ご、ゴメン。ゴメン。」


アークは、何度も頭を下げた。


「アーク、男性がそんなに頭を下げ無い!」


レイナは、男なのに情けないと言った。


「フゥ。貴方も、呼ばれたの?」

「違うよ。僕は、任務の途中報告さ。」


アークは、話が変わった事に安心して言った。


「そう。それって、やっぱり王女捜索ですの?」

「いいや、違うよ。僕は、・・・・。」

「うー〜。レイナターン!」


二人の会話途中で、ルノーが走ってレイナに飛び付いた。


「ウワァ!?」

「ハァ〜。」


アークは、驚きレイナはウンザリした。


「ひさひさひさひさ、久しぶり〜!レイナタン、会いたかった!と言うより、こんな所で会えるなんて偶然だよね〜。いえ、運・命!まさに、むぐぐぅ。」


ルノーの大きな声に、レイナは耐え切れなり手で押さえた。


「う・る・さ・い!ですわ!」

「ムグググ〜。」

「レイナ、離してあげなよ。」


レイナは、アークに言われルノーを離した。


「ぷはぁ、・・・・・ありがとう。」

「ど、どうも。」


アークは、苦笑した。


(まだ、僕に慣れないんだ。)


「ルノー、貴女も途中報告ですの?」

「・・・・違うよ。」


アークが、居てくれて良かったですわ。


「じゃあ、貴女も呼ばれ」


ルノーは、頷いた。


「あれ?レイナ、アークにルノー。君らも、来てたんだ。」


そこに、シエラがやって来た。


「・・・・。」

「シエラちゃん!!あああ!隊長職に、復帰おめでとーーー!やっぱり、シエラちゃんがームグググ。」


再び、レイナに抑えられた。


「おめでとう。シエラ。」


アークは、右手をシエラに差し出した。


「ありがとう。アーク。それに、レイナとルノーも。」


シエラは、アークと握手しながら感謝した。


「・・・・。」


レイナは、そっぽを向いたままだ。


「もしかして、3人も議会に?」

「僕は、途中報告だけさ。たぶん、君らが同じ理由だと思う。」

「ムグググ〜。」

「・・・・・・。」


アークは、一緒に行こうと提案した。


四人は、雑談しながら会議場の前に来た。


この中に、王国の重鎮達がいると思うとさすがに緊張してきた。


「・・・・・無理。・・・やっぱり、無理無理無理無理無理!わたし、絶対に死ぬ!この中に、入ったら生きて出られない!てか、舜殺!」


ルノーが、青い顔になって言った。


只でさえ、極度の人見知りなのに会議場には面識が無い人達がいる。


その上、言わば雲の上の存在達だ。


ルノーにとっては、竜より恐い。


「落ち着いて、ルノー!レイナも、何か言ってよ!」

「・・・・。」


シエラが、慰めるがレイナは相変わらずそっぽを向いている。


「そろそろ、入るよ。ルノー、覚悟を決めろ。」


アークは、3人に言った。


そして、三回ノックした。


「白鳳凰騎士団第1隊隊長騎士 アーク クラウド。」


「・・・同じく、第2隊隊長騎士 ルノー バーキン。」

「同じく、第3隊隊長騎士 レイナ カーチス。」

「同じく、第4隊隊長騎士 シエラ ローズ。」

「・・・・入りたまえ。」


名乗った後、低い男性の声が聞こえてきた。


四人は、会議場に入り右手を左肩に当て敬礼した。


会議場にいたのは、レオリオ王を始め各大臣や団長達がいた。


「よく来た。まず、騎士 クラウドよ。2カ国の状況報告を。」


髭を生やした初老の男性が、アークに言った。


「はい、ナトオ外務大臣。クルビス帝国及びアラナ公国は、どちらも芳しくありません。帝国は、不況により失業者が増加。公国の方は、人口の増加により食料問題が浮き出てきました。」


アークの報告を、大臣達は真剣に聞く。


「どちらも、対処政策をしていますが上手くいっていません。ですが、・・・。」


アークは、少し躊躇した。


「何だ?言いたまえ。」

「は。最近、両国で気になる噂がありました。」

「噂だと?」


ナトオは、嫌な予感がした。


「はい。帝国と公国が、同盟を結びオルテ王国に対し"戦争"を起こすと言う噂です。」

「!?」

「まさか!」

「この時期にか!?」

「冗談では、無いか!」

「いや、まだ噂だろう?」

「しかし!?」


会議場内が、騒ぎだした。


「・・・・妙だ。」


騒然としている中、団長席に座っていたクロエが言った。


その声は、全員の耳に入った。


「クロエ騎士団長よ。それは、どういう意味だ?」


先程まで、黙って座っていたレオリオが言った。


彼の顔は、少し憔悴しているが王の責務を果たそうとしている。


本当は、娘を心配しているのは誰が見ても解った。


「・・・タイミングが、良すぎます。5日前のドラゴニードの件。そして、アリエル王女の失踪。」


クロエの言葉に、レオリオは片手で顔を抑えた。


「民には、隠していますが我が国は混乱しています。しかも、失踪にエルフが関わっているのですから。」


クロエの言う通り、王女を捜索している中で数人の遺体が発見された。


その全てが、八つ裂きにされた王国騎士達だった。


セナが、地竜復活の際に邪魔な騎士の人数を減らしたのだ。


その上、古き盟約があるエルフが関わっていたのだから。


オルテ王国は、これに対し十分な処置ができずにいる。


「そんな時期に、この噂。」

「では、クロエ騎士団長殿は誰かが裏で操っていると?ふん。馬鹿馬鹿しい。」


クロエの言葉に、小太りの男性が否定した。


「考え過ぎだな。エルフが関わっているなら、"静寂の森"に兵を送りエルフ共を尋問した方が早い。」


そうすれば、この件に関わったエルフを見付けられると言った。


「もしかしたら、奴等全てがグルかもしれんな。」

「パーカス殿!それは、軽率な考えです!もっと、慎重に行動するべきです!」


クロエの右隣に座っていた、バルカスが睨んだ。


「では、どうすると言うのだ?王女を誘拐したエルフは?何も、手掛かりが無いんだぞ!ならば、奴等を尋問し隷属させる方が賢い!」


パーカスは、机を叩いて怒鳴った。


「それに、上手くいけばエルフ共を戦力に加えられる!最前線に配置すれば、我らの兵の被害も減らせるのだぞ!」


バルカスは、吐き気がした。


この男は、自分達以外はただの使い捨ての駒としか思っていない。


バルカスの、最も嫌いな人間だった。


「ならば、パーカス卿!エルフは、どうなっても良いと言うのですか!彼らとは、"無干渉の盟約"がなされているのですよ!」


バルカスは、机を叩き立ち上がった。


「そんな物、大昔の話だ。それに、破ったのはあちらだ。」


パーカスは、くだらないと言う様に話を流した。


パーカスの言葉を聞きバルカスは、一気に怒りに達した。


「そんな物だっと!」

「待って下さい!」


バルカスを制する様に、シエラが発言した。


「し、シエラくん?」

「まだ、あのエルフが"静寂の森"のエルフとは決まってません!」


シエラは、もしかしたら別のエルフかもしれないと言った。


「・・・パーカス卿、騎士シエラ言う通りです。」


先程から、黙っていたナトオがパーカスを見て言った。


「本当に、"静寂の森"のエルフが絡んで無ければ今より彼らと深い溝ができてしまう。それに、兵を送り支配下に置けば帝国と公国にエルフ解放と言う大義名分がなりそれこそ戦争になりかねません。」


ナトオは、最悪の予想を言った。


確かに、そうなればオルテはクルビス帝国とアラナ公国さらに静寂のエルフ族。


この3勢力と、戦わなければならなくなる。


パーカスも、想像できたのかそれ以上は言わなかった。


「しかし、パーカス卿が発言した静寂のエルフ族の王女失踪の関与有無も確めなければなりません。」


ナトオは、眼鏡を上げて言った。


アリエル王女捜索こそが、優勢事項だからだ。


「ならば、"静寂の森"に騎士2名を派遣し確めれば良いでしょう。」


これに、クロエが提案した。


確かに2名ならば、エルフ族に対し戦闘の意思が無いのを伝わる筈である。


「バルカス騎士団長も、パーカス卿もそれで納得していただけますか?」


クロエは、二人を交互に見た。


「私は、貴殿の提案に賛成だ。」


バルカスは、すぐに答えた。


パーカスの方は、黙っていたがクロエは賛成だととらえた。


「では、誰を派遣するか・・・だ。下位の騎士では、務まらんだろう。」


バルカスは、手を顎に当て言った。


下手に、下位身分の者を派遣したらプライドが高いエルフが怒ってしまう。


だからと言って、高い身分ならばこちらが逆にナメられる。


しかも、エルフ達が関与していたならば腕に自信が無ければ危険だ。


そうなれば、派遣できる2名は限られて来る。


身分が、隊長クラスで剣の腕がたつ人物だ。


「・・・僕が、行きます。行かせて下さい!」


シエラが、身を乗り出した。


「・・・フム。騎士 ローズか・・・。」


ナトオは、値踏みする様に見た。


彼女なら、先程の条件にピッタリだった。


騎士団の隊長で、それに幾度も危険な任務を達成している。


さらに、二大貴族ローズ家の三女。


申し分無い人物だ。


「わたくしも、志願致しますわ。」


レイナだ。


レイナも、またシエラと同じ様な経歴の持ち主だ。


「ローズ家にカーチス家、適正ですな。騎士ルノーには、両名が戻るまで2・4隊の全指揮を任せましょう。」


クロエは、笑みを浮かべた。


「・・・。」

「では、騎士 シエラ ローズ。 騎士 レイナ カーチスよ。早急に、"静寂の森"へ行き事の有無を確めよ。・・・娘を・・・アリエルを頼む!!」


レオリオは、玉座から立ち上がって言った。


「はっ!」

「はっ!」


二人は、右手を左肩に当て敬礼した。


「・・・クロエ殿。最初から、このつもりでシエラ君達を?」


退出するシエラ達を見ながら、バルカスは小声で言った。


「まさか。たまたま・・・・、ですよ。バルカス殿。彼女達は、捜索の"経過報告"の為に呼んだだけですよ。。」


クロエは、そう言えばまだ報告を聞いてなかったと細く笑い言った。


「・・・・まったく。貴女という人は。」


思うと、目まぐるしい活躍をしているのは白鳳凰騎士団だ。


その全てに、騎士団長 クロエが裏から手を回している。


これも、クロエの筋書きだと思った。


バルカスは、彼女を敵に回したくないと心の底から思った。


「つくづく、恐ろしい女性だ。」

「恐ろしいとは、心外ですね。」


クロエは、わざとらしく言った。


バルカスは、それ以上何も言わなかった。




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