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第16話 アドバイス

また、朝がやって来た。


瀬川は、仮眠を終えた。


あれから、捜索しその傍ら警戒を行った。


が、行方不明の浅野どころか未確認生物すら発見できない。


誰もが、浅野の生存を絶望視していた。


今、瀬川は数回目の警戒に着いている。


「・・・・・。」

「・・・・・。」


最早、木元と話をする気力さえ無い。


それに、昨日から違和感を感じている。


『第1歩哨、第1歩哨、送れ。』


突然、木元の無線機から通信が入った。


「こちら、第1歩哨、送れ。」


木元は、受信機を押して答えた。


『1400時に、駐屯地に帰隊する。繰り返す。』


「!?」


無線機から、流れて来た指示は無情だった。


捜索を断念し、帰隊。


「第1歩哨・・・、了解。」


木元は、命令を受託した。


「ちょっと!待ってください!まだ、浅野が見付かっていないんですよ!」


瀬川は、木元の肩を掴み言った。


「瀬川、気持ちは解る。だが、浅野の生存は。」


木元は、言葉を最後まで言わなかった。


「でも、そうと決まった訳じゃあ・・・。」

「俺達は、自衛官なんだ。上からの命令は、服従するしかない。」


瀬川は、納得がいかない表情をした。


「瀬川。撤収準備に移るぞ。」

「了解・・・しました。」


すぐに、自分の武器装具を点検する。


(弾納良し、救急品袋良し、防護マスク良し。)


装備を手で確認していく。


(薬室良し、アクア、引き金良し、小銃の部品も異常無し。)


「木元3曹、武器装具異常無しです。」


返事が、返ってこない。


瀬川が振り返ったと同時に、木元が倒れた。


「木元3曹!?」


瀬川が慌てて、木元に近寄った。


そして、息を確認すると寝息が聞こえる。


(寝てる!?あの木元3曹が!?)


瀬川は、驚いた。


今まで、一緒に訓練や演習に行ったがどんなに厳しい状況でも居眠りすらしなかった。


「どうしたんですか!?」


木元を数回揺するが、起きない。


「しっかりしてください!木元3曹!」


木元は、寝息を立てて目覚める気配がない。


(なんだ?まるで、誰かに眠らせられたのか?)


「その、カンガエは、正解デース!」


木元を抱えた瀬川の前に、女性が現れた。


それは、入院中に瀬川に会いに来た謎の外国人女性だった。


「な!?あ、あんたは!」



(白昼夢、じゃなかった!てか、何でここに?


瀬川は、混乱した。


警戒地域の周りは、2個連隊により鼠一匹も入られない警備の筈である。


「ソノ男の人は、ワタシがネムラセタ。」


女性は、木元を指差して言った。


「眠らせた?どういう事だよ!お前、麻酔銃でも持ってんのかよ!?何者だよ!」


瀬川は、警戒した。


この女性の目的が解らない以上、下手に動けない。


何処かの国のスパイかなんかか?


「お前ジャナイ。ラム。ワタシの名前ハ、ラム。」


女性は、胸に手を当てラムと名乗った。


「それニ、ソノ人は風の"マホウ"で眠らせたノ。」


(マホウ・・・魔法?何いってんだ?)


ますます、混乱する。


とりあえず敵意は、無いようだ。


魔法とか言うが、たぶん睡眠薬を打たれたのだろう。


「おま・・・ラム?さんだっけ、あんたここに何しに来たんだ?」

「ユックリ、シャベレ。でないと、ワカラナイ。イミガ。」


瀬川は、少し戸惑った。


しかし、この女の目的を聞かなければならない。


「よし。な・ん・で・こ・こ・に・い・る?」


ラムは、考えたが理解したのか微笑んだ。


「アナタニ、アトパイズをツタエニ来たノ。」

「・・・アドバイス?」 「ソウ、それ!」


そして、ラムは語りだした。


「アナタタチガ、探すヒトはマダ生きテルよ。」

「浅野が!?」


ラムは、頷き肯定した。


「"レオウルフ"ハ、この時期ニハ獲物をカンタンには捕食シナイ。」

「未確認生物の事か?」


ラムは、話しを続ける。


「ナゼなら、産まレタバッカリの子どもに"狩り"をオシエルから。」

「ちょっと待て、報告では一匹だぞ?」

「コッチで、二匹産んだ。」


ラムは、平然な口調で言った。


「二匹!?わ、解った。とりあえず。じゃあ、浅野とそのレオウルフ3匹はどこにいるんだ。」


瀬川は、核心を聞いた。


「ココのチカク、いる。」

「はぁ?イヤイヤ、いなかったぞ!?」


ラムは、瀬川を見て意味深な笑顔をした。


「見えないダケ。」

「どういう事だ?」

「レオウルフは、自分の領地にノロイをカケル。ソレデ、ミエナイ。」

「呪い?」

「ソウ、ノロイ。」


人差し指を、向けラムが言った。


「タツミも、既にカンジテル。」

「?」


瀬川は、思い返した。


警戒地域に来て、確かに何か違和感を感じている。


(だが、何だ?何が、違う?)


「タツミ達は、来たジテンでレオウルフノ、ノロイにかかった。ヨク思い出して。」

(思い出せって、言ってもなぁ。)


いつもの風景、いつもの道、いつもの草木の・・・・匂い!


「まさか!?匂いか!」


そうか!違和感の正体は、匂いだ!


瀬川が感じていたのは、入ってきた時に甘い香りがした。


つまり、呪いとは。


「強力な幻覚剤か!」


ラムは、笑顔で肯定した。


それじゃ、幻覚剤のせいでレオウルフを認識できなかったのか!?


「ちょっと、待て!浅野は、どうなる?」

「レオウルフハ、獲物ニはチガウノロイをカケルの。」


ラムは、説明を続ける。


「そのノロイにカカッタラ、レオウルフとオナジ認識デキナクナルノ。モノにも、触れなくナッテ領地からデレナクなる。」

「そして、なぶり殺されるのか?」


ラムは、深刻な顔で答えた。


「タスカル方法は、なんとか領地をデるか、聖魔水をノンでノロイをトカナイト。でも、聖魔水はココニはナイ。」


瀬川は、手を顎に当て考えた。


「・・・・領地から出ると、呪いが自然に解けるのか?」


ラムは、頷いた。


「どの位で、解けるんだ?」

「コジンサ、アル。でも、デタラだいたいすぐにトケル。」


ラムは、そう言うと瀬川の頭を撫でた。


[それじゃ、私は行くね。貴方が、どうやってレオウルフに立ち向かうか楽しみにしてる。瀬川龍巳。]


言葉は、解らないがまるで弟に言っているようだ。


風が、強く吹いた。


「うわぁ!」


次の瞬間、ラムの被っていたニット帽子が取れた。


「なぁ!耳!?」


ラムは、普通の耳では無かった。


長く、尖っていった。


まるで、RPGにでてくるキャラ・・・・エルフのようだった。


風が止んだ時、ラムの姿は消えていた。


「・・・うっ・・・。」


木元が起きた時、固まっている瀬川がいた。

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