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第13話 家族

短いですが。

シエラは、馬車の中で景色を眺めながら物思いに耽っていた。


憧れていた騎士になり、功績を積み上げていった。


そうしたら、騎士団の隊長騎士にまでなった。


当初は、騎士になれた事だけで十分だった。


出世欲なんか、最初から無かった。


隊長騎士を任命され、不安だった。


けれど、レナやバチスそして部下達のお陰で今までやってこれた。


皆には、感謝しきれない。


「・・・。みんな、今ごろ何をしてるかな?」


隊長騎士の任を解かれた五日後。


実家から、向かえの馬車が来た。


それに、乗りシエラは実家のあるアース街に向かっていた。


アース街は、オルテ王国と半日かければ着く近い街である。


また、アース街を治める領主はローズ家。


つまり、シエラの父が治めている。


「うわぁ!久しぶりだなぁ。」


シエラは、外を見ながら呟いた。


そして、目的の地が見えてきた。


そこは、至るところに風車があり平穏な街だ。


街の郊外に建っている広い屋敷、そこがシエラの生家だ。


馬車は、屋敷の門をくぐり豪華な造りをした庭に入った。


屋敷の目の前に噴水があり、馬車は玄関の前で止まった。


「お帰りなさいませ。シエラお嬢様。」


屋敷の玄関の前に一人の執事が、立っていた


初老の執事は、馬車のドアを開け頭を下げ言った。


「レクト。お嬢様は、止めてよ!」


シエラは、恥ずかしそうに言った。


「申し訳ごさいません。さぁ、シエラ様。こちらへ。旦那様一同、首を長くしてお待ちになっています。」


レクトと呼ばれた執事は、丁寧に玄関の扉を開けた。


「「「シエラ様、お帰りなさいませ!」」」


屋敷に入ると、メイド達がシエラを迎える。


「父上は、書斎?」

「はい。今朝か、落ち着かないようでございました。」


シエラは、ソワソワしている父の姿を想像し笑みがこぼれた。


「シエラ!やっと、帰って来たのね!」


突然、女性の声がしたと思ったら目の前が暗くなった。


「ね、姉さん!苦しいよぉ!」


抱きついた女性は、シエラと同じ銀髪で長い髪を後ろで縛っている。


服は、白を基調としたドレスを着た美女だった。


「あら、ごめんなさい!」


美女は、シエラを解放した。


「ただいま、シルビー姉さん。」

「お帰りなさい。シエラ!」


二人は、笑顔で改めて挨拶した。


「シルビー姉さんも、帰って来てたんだね!」

「ふふ。かわいい妹が、戻ってきたんですもの。シェリルも、もうすぐ帰ってくるわ。」


シエラは、3姉妹の末っ子だった。


上の姉達は、結婚し実家を離れている。


「シェリル姉さんも!?」


シエラは、驚いた。


まさか、次女のシェリルも帰ってくるとは思わなかったからだ。


「ほら、早く父上に元気な姿を見せに行きなさい。首を長くして待ってるわよ。」


シエラは、シルビーに急かされ父の待つ書斎に行った。


「父上。今、戻りました。」


シエラは、書斎で仕事をしている精悍な男性に話し掛けた。


「おお!待っていたぞ!」


男性は、仕事を止めシエラに抱きついた。


「元気そうだな!安心したぞ!」

「父上も、元気そうでなによりです!」


シエラの父 マーベラス ローズは、若い頃に騎士団の最高位"元帥"にまで登り詰め引退した。


その後は、ここアース街の領主として市政を行っている。


「お前が、地竜と戦ったと聞いて心配だったんだぞ!いくら、ローズ家が"二大貴族"と言われても竜相手に勝ったと言う話しは無いからな。」

「父上。」


父 マーベラスは、シエラの肩を掴み言った。


「無茶ばっかり、しよって。少しは、自分の身を心配しなさい。それに、お前は女だ。この家の、世継ぎを生む大事な役目もあるんだよ?」


マーベラスの目の下に、隈ができていた。


心配で、寝ていないのだろう。


「申し訳ありません。」 「いや、もういいんだ。無事な姿を見て安心した。」


マーベラスは、シエラを離し机に戻った。


「疲れただろう?今夜は、ゆっくり休みなさい。後で大事な話しがある。」


2階の踊り場を出た時、一人の女性が速足で近付いて来た。


「あ!シェリル姉さん!」


首に掛かる長い銀髪を、靡かせ赤いドレスを着た気の強そうな美女だ。


美女シェリルはシエラに近寄ると身体を触りだした。


「シエラ!?大丈夫なの?竜と、戦ったんですって?ケガは、無いの?」

「ちょっ!シェリル姉さん!大丈夫だよ!」


一通り身体を点検した、シェリルはシエラを睨んだ。


「まったく!無茶ばっかりして!ほんと、あんたって娘は!」



父と同じような事を、シェリルは言った。


「それに、何なの!!その格好は!?」


シエラの姿は、ジャケットにスボン加えてブーツといういでたちだった。


とどめに、愛用の剣を腰に着けている。


瀬川がいたら、宝塚の男役だなと言うだろう。


「こっちの方が、落ち着くん・・。」

「着替えなさい!」


シエラの言葉を、遮りシェリルは怒鳴った。

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