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末っ子
千里が自室で、ipodで音楽を聴きつつ、勉強をしていると、トントンという小さなノックの音が聞こえきた。
母親が自分の部屋に出向くことはまずない。父親は外出中だ。
雅臣というのも考えにくい。雅臣とは、あいつが来た夜に取っ組み合いの喧嘩をして以来、口をきいていない。荒っぽいことに慣れてない千里は、ほとんど一方的にやられてしまった。
千里が数日前の出来事を思い出し、怒りを新たにしていると、再度控えめなノックが聞こえてきた。
「もしもし、千里お兄ちゃん?」
新しくできた幼い弟、ヒロの声だった。雅臣は憎々しいが、兄弟のいない千里にとってヒロは庇護すべき存在だった。食事時に顔を合わせるたび、声をかけていた。最初は恥ずかしがって、ほとんど口を開こうとしなかったが、千里にも慣れてきたのか、たどたどしい言葉で幼稚園での出来事を語ったりするようになった。気に食わないことに、ヒロは雅臣が大好きらしい。




