幕間
「お前んちドロドロしてるなぁ。お袋の好きな昼ドラみたいじゃん」
友人の遊佐は、千里の部屋で漫画雑誌を読みながら、呑気に言う。人事だとすれば、大変だねで済む話だ。愛人が亡くなり、その遺児を父親が引き取った。ただそれだけの話。が、それが自分の身に降りかかってくるとなると、話は違ってくる。
千里の今の気持ちを一言でいえば、「最悪」だった。
最悪の気分のまま、千里はベッドに腰をかけて、ポテトチップスをばりばりと食べた。
「なあなあ、どんな奴?新しい弟君たちは?」
遊佐は好奇心を丸出しにして、千里の方に顔を突き出して尋ねてきた。
「上の雅臣って奴はひたすら感じ悪い。こっちが声掛けてやっても無視するし。下の弟の方は、まだ可愛げがあるな。まだ家に慣れてなくってびくびくしてる感じだけど」
何より同い年というのが気に食わない。その上、同じ学校に転校させるという。千里の通っている学校は、地元では有名な進学校だ。
「あーあ、弟じゃなくて、妹だったらよかったのにな~ほら、千里って美形だから、その妹だったら美人だろうなぁって」
「馬鹿か」
千里は、遊佐の頭を思いっきりはたいた。
「いって」
遊佐は頭を抱え込む。
「手加減したぞ」
千里は平然と言う。
「してねえ。絶対してねえ」
そう言いあってるうちに、遊佐は何が面白いのかげらげら笑い出した。
千里もつられて笑う。あの兄弟が来て以来、笑ったのは今日が初めてかもしれない。
遊佐がいてくれてよかったと、千里は心の中で親友に感謝した。




