土曜日
今日は土曜日。
私は鏡の前に立って服を選ぶ。なぜなら―――――
◇◇◇◇◇
昨日の給食の時間。
いきなり田中くんが言い出した。
「なぁ、明日どっか行かない?5人でさぁ」
しーん。
「空気読んでよ。知ってるでしょ」と、桃香は怒ってる。
「知ってるよ。翔と関川さんのことだろ?」
「だったら―」
「だってあれからなんか暗くない?だから、ぱぁ―と遊ぶ!駄目?」
しーん。2度目の沈黙。
しかし、この沈黙を破ったのは意外にも長谷川くんだった。
「僕は行きたい。なっ雅人」
「ほらぁ~翔がいいって言ってるんだ、行こうぜ」
半ば、強引だけど行くことになった。
桃香はそのあと、ブツブツ言ってたけど。
悠介は……どう思ってるのかなぁ。
◇◇◇◇◇
駅に待ち合わせ。来たけど、まだ誰も来てないみたい。
「心音っおはよっ」
「も、桃香」
「どうした?考え事?」
「えっ何も考えてないよ」
「ふーん。」
桃香はニヤニヤしてる・・・。
あの音楽室の出来事から長谷川くんとまともな会話はしていない。なんで長谷川くんはみんなで出かけるのをOKしなのかよく分らない。桃香や田中くん、悠介に気つかってんのかな。
それから10分して男子3人がやってきた。
「おはよう。みなさん。じゃあ、さっそく行こっ」と、田中くん。
男子が前で私と桃香が後ろで歩き出す。
「心音?どこ行く?ゲーセンでいい?・・・・・・おーい、心音聞いてんの?」
「・・・ああ、ごめんごめん。で何?」
「心音、長谷川くんのことずっと見てるけど、好きになっちゃった?」
また、桃香はニヤニヤしてる・・・。
「んなっわけないでしょ」
「あっそう」
桃香に言われて気づいたけど、見てた。おしゃれだなぁって、長谷川くんも田中くんもそれに悠介も。
小さい頃遊んでた時、悠介はちょっと大きめの服を着ていておしゃれっていうのはなかった。初めて見たかも・・・悠介の私服。