合い言葉は~、小説家になろうっ!
こいつらかわいいし仲良いなと思いながら書きました。
作者も何か賞取りたい。(長編完結できた試しがないけれど)
※なお、この作品は「なろうラジオ大賞7」に応募しています。
2025.12.13 [日間] コメディー〔文芸〕ランキング 短編 21位 すべて 26位
2025.12.18 [週間] コメディー〔文芸〕ランキング 短編 59位 すべて 82位
ありがとうございます!
裏切り者。
2人で一緒の夢を目指して、支えあって、細々とだけれど必死に生きていたのに。何でお前だけ、お前だけ。
「うらぎりもの~っ!」
そう言って、僕は彰人の背中をポカポカなぐった。
「うおっ! けっこう痛ってえな、お前」
彰人が涙目になって訴えてきたけれど、知らない。だって。
「先に賞を取りやがった彰人が悪い。しかも、その作品がすごく面白いなんて……!」
許せぬ、許せぬ、と僕は攻撃の手を緩めない。
僕と彰人は、ずっと小説家を夢見てきたのだ。
僕と彰人が知り合ったのは、大学内の文芸サークル。僕らは嘘みたいに小説の趣味がぴったり合って、すっかり意気投合してからずっと一緒だ。それで今でも同居して、小説家になろうなんて馬鹿みたいな夢を2人で追いかけ続けている。まあ、時々けんかして数日間口をきかないときもあるけれど。
でも今回は彰人が悪いと思う。嘘。悪くはないのだけれど。いや、悪いか。
彰人の書く小説はいつも面白いけれど、今回ある新人賞に応募すると言っていた原稿は、やけに面白かった。そしたらさっき電話が来て、金賞とか何とか言われていた。僕もその賞に応募していたのに彰人だけ取ったのが悪い。嘘。先にデビューしてしまいそうなのが悔しいだけだ。
まあ、結局ただの嫉妬なんだよな。
パッ、と電気のオンオフみたいに気持ちを切り替えて、まだポカポカ叩いていた手を止める。そして彰人にニッコリ笑いかける。
「というわけで、改めまして、金賞おめでとうございます西条彰人センセイ」
「いや急に態度変わるなよ怖いな」
すっかり面食らっている彰人の姿を見て少々溜飲を下げつつ、今日の夕飯は何食べたい、やっぱりごちそうだよね、チキンみたいな、と勝手に話を進めていく。なんだかテンションが上滑りしているようだ。
と、ふと、着信音が鳴った。僕の携帯だ。知らない番号。
「 !」
「あっどうも」
ぼんやりしたまま電話を切る。さっきとは違う感じで頭がふわふわ滑っている。
「ねえ彰人、なんか僕大賞もらったらしいんだけど」
「いや俺よりすごいじゃねえか!」
そう叫んで背中をバシバシ叩いてきた。おめでとう、の前にツッコミかよ。まあ僕も聞いた瞬間になぐり始めたっけ、そういえば。彰人と僕はこういうところも類友なのかもしれなかった。
結局その晩、僕らはチキンをたらふく食べた。すごいごちそうの味がした。
お読みいただきありがとうございました!
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また空白の「 !」のところで主人公が何を言われていたか、ぜひ考えてみてくださいね。ちなみに、作者が考える答えの文字数ぶん空白を入れています。




