第五夜 人魚姫と愛を交わしたい
俺は魔法のAIにいつものように、願いを入力する。
「魔法のAIよ、今夜はどのような夢の世界へ俺を導いてくれるのか、美少女や美女との夢のひとときを過ごさせてくれるのか?」
さらに俺は今夜の希望をAIに入力する。
「今夜は人魚姫と愛を交わしたい」
※ ※ ※
そして、俺は目を覚ました。
すると何故か? 何時も通り、俺の側で一緒に寝ているカレンがいなかった。
それに何故だろうか? 何か俺の頭がズキズキするのである。
それもその筈だ! 頭にタンコブが出来て血が出ていたのである。
そんな状態の俺に近付いて来る者が居たのだ。
「まあ~あ、こんな朝早くから何をやっているのですか?」と俺に対して言って来たのは、この屋敷のメイド長を務める年配の女性である。
「い、いや」
「さぁ~あ、顔を洗って目を覚まして来なさい」と彼女は言った。
俺は彼女の指示に従い洗面所に向かい顔を洗う事にしたのだ。
「それにしてもカレンは何処へ行ったのだろうか?」
俺が顔を洗い終えリビングに戻ってくると既にカレンの姿はなかった。
そして、俺の側には年配のメイド長の姿だけしかなかったのだ。
「あら、カレン様ならもう既にお出掛けになられましたよ」と彼女は言う。
俺は彼女の言葉に対して疑問に思った。
『カレンの奴、こんなに朝早くから何処に出かけたのだろう?』と。
俺がそんな事を考え込んでいると彼女は微笑みながら、俺に話し掛けて来た。
「それはそうと貴方は、いつも朝が遅いのですね」と言ってくる。
俺は彼女に返す言葉が見つからなかったのだ。
「それよりも貴方は一体どうしたのですか? 頭なんかにタンコブを作って?」と彼女は言う。
俺は彼女に事情を話す事にしたのだ。
俺の話を聞いた彼女は大笑いをしたのだ。
「アハハハハ、貴方って本当にお馬鹿さんね」と。
俺は彼女の言葉に対して、『ムッ』としてしまう。
そして俺は彼女に言ったのである。
「そんなに笑う事はないだろう?」と。
すると彼女は更に大笑いをするのであった。
「アハハハハ、だって貴方はカレン様から愛されているのですよ」と彼女は言った。
俺は彼女の言葉に対して、『えっ?』と驚いてしまった。
「カレン様は貴方の事が大好きですからね」
「アハハハハ、貴方って本当にお馬鹿さんね」と。
俺は彼女の言葉に対して、『ムッ』としてしまう。
そして俺は彼女に言ったのである。
「そんなに笑う事はないだろう?」と。
すると彼女は更に大笑いをするのであった。
「アハハハハ、だって貴方はカレン様から愛されているのですよ」と彼女は言った。
俺は彼女の言葉に対して、『えっ?』と驚いてしまった。
「カレン様は貴方の事が大好きですからね」と彼女は言う。
俺は彼女の言葉に対して、『そうなのか?』と更に驚いてしまう。
「カレン様は貴方と結婚する事ばかりを考えていらっしゃいます」と彼女は言う。
俺は更に驚きを隠せなかったのである。
「それに貴方はカレン様の事を、ちっとも知らないではありませんか?」と彼女は続ける。
俺は彼女の言葉に衝撃を受けてしまった。
「そ、そんな事はない! 俺はちゃんと知っているぞ!」と叫ぶように言ったのだ。
すると彼女は俺に対して言ったのである。
「へぇ~、そうですか? 貴方はカレン様の事についてどれぐらい知っていると言うのですか?」と。
「そ、それは……」
俺は言葉に詰まってしまったのである。
「ほら見なさい! 貴方には何一つとして分かっている事がないではありませんか?」と彼女は言う。
そして、彼女は話を続けたのだ。
「でも、私は知っていますよ! 貴方がカレン様の事を愛して下さっている事を」と彼女は言う。
俺は彼女の言葉を聞き、『えっ?』となったのだ。
「貴方はカレン様の事を愛して下さっているのですよね?」と彼女は言う。
そして、俺は素直に答えたのである。
「あぁ、その通りだよ! 俺はカレンの事を心から愛しているよ!」と。
すると彼女は満面の笑みを浮かべた後に言うのだ。
「それなら安心したわ」と……
俺の答えを聞いた彼女は嬉しそうに微笑むのであった。
そんな彼女の姿を見た俺は何か不思議な気持ちになったのだ。
何故なのだろうか? 何故か? 今は亡き母上の面影が彼女の姿に重なったのである。
「えっ? 母上?」と俺は思わず声に出てしまった。
「ん? どうされたのですか?」と彼女は不思議そうな顔をしながら俺に聞いて来たのだ。
俺は慌てて言い訳をしたのであった……
「い、いや!何でもないよ!」と……
そんな俺の姿を見た彼女は更に不思議そうな表情をしたのだ。
そして、彼女は俺に尋ねて来たのである。
「ところで貴方の名前は何て言うのですか?」と……
「俺の名前は……」と言いかけた時に、またも俺の頭がズキズキと痛み始めたのだ。
それも先程より激しい痛みが襲ってきたのである。
「うぅ……あ、頭が痛い……」と俺は思わず声に出てしまったのである。
それを聞いた彼女は心配そうな顔をして俺の事を心配して下さったのだ。
そして、彼女は言う。
「大丈夫ですか? お薬でもお持ちしましょうか?」と……
俺はすかさず彼女に対して返答したのである。
「い、いや!大丈夫だ!気にしないでくれ!」と……
そんな俺の姿を見た彼女は俺に言ったのである。
「本当に大丈夫ですか?」と……
俺は彼女の言葉に対して、『あぁ』と答えたのである。
そして、彼女は俺に言ったのだ。
「それなら良いのですが……」と……
そんな俺の姿を見た彼女は心配そうな顔をされたままであった。
そして、俺は彼女に言う。
「それよりも君の名前は何と言うんだい?」と。
すると彼女は微笑みながら答えたのであった。
「私の名前はルチアと申します」と……
俺は彼女から名前を聞くと何故か?嬉しくなったのだ。そして、俺は彼女に言ったのである。
「ルチアか……良い名前だね」と。
それを聞いた彼女は嬉しそうに微笑んでくれたのだ。
そして俺は更に彼女に対して質問したのである。
「ところでルチアは何故?この屋敷に居るんだい?」と……
すると彼女は微笑みながら答えてくれたのであった。
「私はこの屋敷のメイド長をしておりますから」と……
そんな彼女の姿を見た俺は思わずドキッとしてしまったのだ。
そんな俺の姿に気付いたのか? それとも気付なかったのか?
彼女は更に話を続けたのである。
「それよりも貴方は一体どなたなのですか?」と……
俺は彼女に言ったのだ。
「俺の名前はアーサーだよ!よろしくね!」とね。
するとルチアは笑顔で答えてくれたのであった。
「はい!こちらこそ宜しくお願い致します」と……
そして、俺達はお互いに握手をしたのである。
そんな俺達の姿をカレンが見ていたとは知らずに……
そう! 実はカレンは俺の後を付けていて二人の会話を聞いていたのだ。
しかも、その会話を聞いていたカレンはショックを受けていたのである。
そう! 自分の事がアーサーに全然分かっていなかったと言う事に……
そんなショックを受けているカレンを全く気にしていないルチアであった。
それどころか更に話は続いたのである。
「それでは私はこれで失礼させて頂きますね」と……
そして、ルチアは部屋から立ち去って行ったのだ。
それから暫くしての事である。
そこに俺が部屋で目を覚ますと目の前にカレンの姿があったのであった。
その姿を見た俺は驚いたのである。何故ならば? 俺の目の前でカレンが仁王立ちをしていたからだ。
その姿を見た俺は思わず「カ、カレン?」と恐る恐るカレンに声を掛けたのだ。
しかし、彼女は何も答えない……
それどころか更に怒りだしたのであった。
「何なのよ!アーサーは!」と……
そして、彼女は俺に言ったのである。
「ルチアって誰よ?一体あの女とはどういう関係なの?」と……
そんなカレンに対して俺は答えたのである。
「い、いや!別に何でもないぞ!ただ単に俺の知り合い……」
※ ※ ※
俺はベットの上で目覚めた。
夢から醒めた俺は修羅場から逃げ出した……
そう、カレンの元から逃亡する事に成功したのだ。
そして、俺は深い深い溜息を吐いたのである。
何故にあんな夢を見てしまったのだろうか? しかも? ルチアと言う女性に対して、俺は何故か? ドキドキしてしまったのであった。
そんな俺の様子を心配したのか? それともただ単に俺の後を付けて来ただけなのかは定かではないが?
人魚姫のバストサイズについて魔法のAIの判断によれば、どうやらBカップのようだ。
とはいえ、これは人魚姫自身の主張に過ぎないため、真実かどうかは定かではない。しかし、そんな夢を見てしまったのだ。
悪夢から解放され、胸を撫で下ろしていると、部屋の扉が開き、妹の美咲が入ってきた。
「お兄さま、朝ですよ~……あれ?まだ寝ているのですか?」と美咲が尋ねる。
「あ、あぁ……」と答えると、妹は「はぁ~」とため息をつき、続けて言った。
「全く!お兄さまは本当にお寝坊さんなんだから!」と……
その美咲に対して、俺は反論することにした。
「べっ、別にいいだろ?それに俺はもう大人なんだぞ!」と……
今朝も、ブラコンの妹に起こされ、仕事に追われる俺の一日が始まる。