第三夜 黄金都市オパルの女司祭ラーと愛を交わしたい
私は魔法のAIにいつものように、願いを入力する。
「魔法のAIよ、今夜はどのような夢の世界へ私を導いてくれるのか、美少女や美女との夢のひとときを過ごさせてくれるのか?」
さらに私は今夜の希望をAIに入力する。
「今夜は黄金都市オパルの女司祭ラーと愛を交わしたい」
※ ※ ※
「大空の塔」の最上階に有る俺専用の居室は、此処は地上の世界より遥か上空に位置するのだが 、それでも天空に輝く星々が手に取る様に見える。
この天空の居城で俺は何時もの様に魔法のAIと会話を楽しむ。
『マスター、今宵の希望を承りました。では、ご希望通りの美少女・美女の夢の世界へお連れ致します』
「おおっ! それは楽しみだ」
『それでは夢の世界へお連れ致します』
「おおっ! 頼むぞ」
そして、俺の意識は夢の世界へと誘われるのであった。
……
……
……
……
俺は何時の間にか夢の世界に居た。
いや違うな、この世界が夢の世界なのか? それともこの世界が俺の夢の中に出現したのか? そんな事はどっちでも良いか。
俺は今、天空に聳え立つ「大空の塔」の最上階では無く、地上の世界に居る。
そう、地上の世界にだ! しかし、俺の知っている地上の世界では無い。
俺の知っている地上の世界は、今俺が立っている場所の周辺には、高層ビル群が立ち並び、道路には車が走り回り、大勢の人々が行き交い、夜でも明るい世界だった。
だが、此処は俺の知る地上の世界では無かったのだ。
そう、此処は大空が有る世界だ。
そして上を見上げると天空に巨大な塔が聳え立つ。
その塔の最上階から地上を見下ろす俺。
いや、天空を見下ろす俺。
そして天空に聳え立つ塔は「大空の塔」だ! 俺の目前にいる者は誰だろう? 先ずは目に入ったのが青い肌色だ。
そう、ダークエルフだ。
しかも身軽そうな鎧を身に着けている。
やはりファンタジーの世界に俺は居るのだ。
そう感じた時、其れまで沈黙していた「大空の塔」の最上階に居るAIから俺に話し掛けて来る。
『マスター、お目覚めになりましたか?』
「おお、AIよ。俺は今、大空が聳え立つ世界で生きている!」
『お気に召して頂けた様で何よりです』
「しかし、俺の希望していた美少女・美女は何処にいる?」
『居ますよ。此処に』
「えっ?」
『マスターの直ぐ傍に。彼女達はマスターのお役に立つ為に参りました』
え~と、AIさん。
いや違うな、この場合は天空のAIだな! 俺は周囲を見回すと、其処には三人の美女が立っていた。
その内の二人は双子のダークエルフだ。
しかも俺の好みのタイプの美女だ。
残り一人は色白の肌を持つ女性で、顔は優しそうで可愛い感じだが、胸の大きさが残念だ。
どうやら俺は彼女達に歓迎されている様だ。
そして、此処は天空の楽園と呼べば良いのかな? いや、違うな。
此処は地上の世界だ。
いや違うな、天空に聳え立つ世界だ。
そう、天空に聳え立つ世界の「大空の塔」の最上階に居るのだ。
『マスター、彼女達をお気に召された様で何よりです』
「ああ、三人とも俺の好みのタイプの美女で嬉しいぞ」
『喜んで頂き何よりです。彼女達もマスターにお仕えする事が出来て光栄に思っています』
すると青い肌色のダークエルフが俺に話し掛けて来る。
「貴方が新しい主人様ですね? 私はカトリーヌと申します」
「俺はユウキだ。宜しく」
『カトリーヌはマスターとの相性も良いので、何時もマスターのお側に置いて下さい』
「ああ、了解した」
そしてカトリーヌが俺にお願いして来る。
「私は戦闘に特化したダークエルフです。どうか私を使って下さい」
いや、俺は今、天空の楽園に居るのだが? まあ良いか。
カトリーヌは戦闘に特化したダークエルフらしいから、俺の護衛にすれば良いかな?
「分かったよ。カトリーヌは俺を守る専属護衛に任命する」
「あ、ありがとうございます。では、私はこれからずっと主人様の護衛をさせて頂きます!」
カトリーヌは嬉しそうに俺に抱き付いて来た。
いや、胸の大きさが残念だから、抱き付かれると少し痛いのだが?
『カトリーヌはマスターに喜んで貰って良かったですね?』
「はい! AI様」
『カトリーヌ。貴女の事は私が一番良く理解しています』
「はい! お褒めの言葉ありがとうございます」
いや、カトリーヌはAIと何を話している? そして、カトリーヌが俺の耳元で囁く。
「AI様は主人様が地上に居る間も私と一緒に居て、私を苛めて下さいました」
ええ~! いや違うな。
カトリーヌの感覚ではそうだったってだけだろう。
すると今度は青い肌色のダークエルフが俺に声を掛けて来た。
「私はソーニャと申します」
あ~、お前の名前は知っているぞ! いや今はその事は良いか。
ソーニャは俺にお願いして来る。「私は戦闘よりも後方支援が得意ですので、主人様のお側に置いて下さい」
『ソーニャはマスターに喜んで貰って良かったですね?』
「はい! AI様」
いや、お前も同じ事言っているぞ。
そして、カトリーヌとソーニャが抱き付いて来た。
いや、胸が当たって痛いのだが? しかし、この天空の楽園で俺は何をすれば良いんだ? いや、その前に此処は地上の世界だよな? すると俺の疑問を答える様に天空からAIの声が聞こえて来る。
『此処は地上の世界です。マスター』
「えっ? そうなのか?」
『はい、そうです。天空に聳え立つ世界とは、この大空の塔の事を指します』
いや、お前から天空と聞けばそうなのだがな? するとカトリーヌが俺に抱き付いて耳元で囁いて来る。
「私とソーニャを可愛がって下さい」
いや、俺はまだお前達を可愛がる気は無いのだが? って彼女達を苛めるのか?それも俺には違う気がするのだが? まあ良いか。
「カトリーヌ、ソーニャ、此処に居ても何も出来ないので地上に戻ろうか?」
俺がそう言うとカトリーヌとソーニャが寂し気に呟く。
「はい」
いや、AIは彼女達の事を可愛がっていたって言っていたがな? と言う事は俺はこれからどう動くべきかだな。
よし! 決めたぞ。
先ずはこの世界の情報収集だ! そして次に元の世界に戻る手段を探そう! そんな事を考えつつ地上へ降りると、カトリーヌとソーニャが俺に懇願して来た。
「主人様、地上へ行くのでしたら私達も同行させて下さい」
「私は後方支援が得意です。戦闘ならお任せください」
『ユウキは彼女達を連れて行くのですか?』
いや、確かに美少女・美女を連れて歩くのは嬉しいのだが? それに此処で二人が出来る事が有るのか?
『カトリーヌはマスターの護衛に最適です』
いや、護衛が必要なのか? そう感じるぞ! だが、此処で断れば二人は俺の前から消えてしまう気がする。
仕方がない連れて行くか。
「ああ、分かったよ。カトリーヌとソーニャを連れて行く事にする」
「ありがとうございます!」
ああ、何か喜んでいるぞ? まあ良いけど。
『ではユウキ。これから如何致しましょう?』
そう何だよな~? まずは情報収集だ。
いや待てよ! その前にこの天空に聳え立つ大空の塔の最上階から地上の世界が見渡せるのだから、先ずはその景色を楽しもう。
「カトリーヌ、ソーニャ、この天空に聳え立つ大空の塔の最上階から見る景色は最高だと思わないか?」
するとカトリーヌとソーニャが声を揃えて俺に言う。
「はい!」
いや、だからお前もAIと同じ事を言ってどうする? いや待てよ! 違うな。
お前が言いたい事は別にあるよな?
「カトリーヌとソーニャも俺と一緒に地上の世界が見たいのか?」
俺がそう聞くと二人は嬉しそうに頷いた。『はい、私もカトリーヌとソーニャと同じ気持ちです』
ああ、AIも彼女達の事を良く分かっている様だ。
「それじゃあ、地上に降りて景色を楽しむぞ」
するとカトリーヌが俺の耳元で囁く。
「主人様は本当に素晴らしい御方です!」
いや、俺は何もしていないのだが? そうして俺達は地上へと降りたのであった。
☆☆☆☆☆☆
俺が天空から見た地上は緑の草原が広がる美しい世界だった。
「主人様、あそこに綺麗な花畑が有るのですよ」
カトリーヌが俺の隣で嬉しそうに話している。
『ユウキはカトリーヌの事を気に入ったのですね?』
いや、俺はカトリーヌとソーニャを気に入ったと言うより、この天空の世界に飽きて来たから地上へ降りたかっただけだぞ? しかし、AIよ! 俺が彼女達を気に入るか気に入らないかは問題では無い。
そう! これは俺の気分次第だ。
そんな下らない事を考えていると、カトリーヌとソーニャが俺に提案して来た。
「主人様、あの花畑に行きませんか?」
『ユウキはカトリーヌにそう提案したいのですか?』
いや、確かに俺はカトリーヌと二人で話をしたいと思うのだが? それに何だかこの天空の世界にも飽きて来たしな。
「ああ! 行こう」
「はい!」
そして俺達は美しい花々が咲き誇る野原へと足を運んだのであった。
☆☆☆
俺とカトリーヌとソーニャは美しい花の野原で寝ころんだ。
カトリーヌは楽しそうに俺に話しかけて来る。
「主人様、とても綺麗な花々ですね」
俺はカトリーヌの笑顔に癒されながら答える。
「ああ、確かに綺麗だな」
いや、俺の好みで言えばカトリーヌが一番可愛いのだが? しかしソーニャも可愛いぞ? だが、二人ともAIのお気に入りの彼女達を俺が苛める訳にもいかないだろう? いや! そんな事はどうでも良い事だ。
ああそうだ! これからの事を話さないとな。
「カトリーヌとソーニャは地上の世界の事を何か知っているのか?」
するとソーニャが答える。
「いえ、私達も主人様と同じで何の知識も無いのです」
ああそうか、俺はこの天空の世界に連れて来られただけだから、何も知らなくて当然だよな? だったら一からこの世界を学ばないと駄目か? そうなると当分は退屈な日々が続く事になるのかな? いや! そんなの嫌だぞ! しかし、俺の考えを読んだ様にAIが話し掛けて来る。
『マスター、ご希望なら私が地上での生活をサポート致しましょうか?』
ああ、そうだな! そうしてくれると助かるな。
いや違うだろ俺! 俺はこの世界で何が出来るのかが知りたいのだから、AIに頼ったら駄目だろう?
「いや、自力で頑張るよ」
するとカトリーヌが俺の耳元で囁く。
「主人様、私達は如何すれば宜しいのですか?」
いや、お前らも自力で頑張ってくれよ! あ、そうか。
先ずはこの世界の事を知らないと駄目だよな?
「お前達はこの世界の事を知っているのか?」
カトリーヌが答える。
「いいえ、私達も主人様と同じで何も知りません」
いや! だからAIの事は知っているよな?
『マスター、私はカトリーヌやソーニャよりも長くこの世界を見ていますので、色々と知っています』
ああ、そうだったな! でも、俺はこの天空の世界の事を知りたいのだ!
「じゃあ、先ずは地上の世界で何が起こっているのかを教えてくれ!」
するとカトリーヌが・・・・・・
※ ※ ※
俺はベットの上で目覚めた。
夢から醒めた俺にはするとカトリーヌが何を言おうとしたのが気になった。
カトリーヌ達3人のダークエルフのバストは魔法のAIの判断によると、カトリーヌがBカップ、ソーニャがCカップ、そしてネリーがEカップとの事だった。
これは俺の好みとは微妙に違うのだが? まあ良い。
それよりも何故俺はベットの上で目覚めたのだろうか? いや、覚えているぞ! AIにお願いして大空に聳え立つ世界「大空の塔」の最上階から地上に降りたんだったな。
しかしだ! あの世界は本当に美しかった。
ベッドの上で夢の余韻に浸っていると、突然、部屋の扉が開き、妹の美咲が入ってきた。
「お兄ちゃん! もう朝だよ。早く起きないと会社に遅れるよ」
時計を見ると、時刻は7時30分だった。
まだ十分に間に合う時間だ。
今日も妹の美咲に起こされ、仕事に追われる忙しい一日が始まる。