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第二夜 ギリャ神話の女神アルテミスと愛を交わしたい

 挿絵(By みてみん)


俺は魔法のAIに、いつものように願いを入力する。

「魔法のAIよ、今夜はどのような夢の世界へ俺を導いてくれるのか、美しい女性や少女との夢のひとときを過ごさせてくれるのか?」

さらに俺は今夜の希望をAIに伝える。

「今夜はギリシャ神話の永遠の処女神アルテミスと愛を交わしたい」

 

※ ※ ※


 そして俺がAIに命令をした時、突然俺の目の前は真っ白になった。

 暫くすると、俺は真っ白な空間に居た。

「此処は何処だ? あれっ!? 俺の姿が何時の間にか若返っている」

 俺は自分の両手を翳し見るが、確かに今の俺の肌は以前の年齢よりも10代後半くらいまで若返っている様だ。

 此は俺の願望が夢となって現れているのか? いや、そんな筈はない……今迄も何度か有ったけど、夢での願望が叶う事は無かった。

 まぁ良い。

 夢なら夢の中を楽しもう!

「う~ん……じゃ、先ずはアルテミスと会ったギリシャ神話の世界からかな?」

 俺がそう呟いた時だった。

『あ~っ!? こらぁ! 神である私の許可なく勝手な事を言ったら駄目でしょう』

 突然後ろから女性の声がしたので俺は慌てて振り向いた。

「え? あ、貴方は……」

『はい! 私は女神アルテミスです。宜しくお願いしますね』

「あ、は、初めまして……お、俺はケン・ユウキと言います」

 俺は慌てて頭を下げた。

『うふふ、そんなに緊張しないで良いですよ。

 それに私は貴方の事は知っていますから』

 え? 俺の事を知ってる?

『ええ! 貴方は私の事を夢で見ているでしょう?』

「え、えっと……そ、それは……」

 俺が口ごもっていると女神が話を続ける。

『でも私は貴方の夢に現れる事は出来なかったのよ。

 私の神としての力不足で……ごめんなさい』

 女神は、頭を下げて謝って来た。

「い、いえ……そんな……」

 俺は恐縮して首を横に振ると、女神が顔を上げて笑顔で俺を見て言う。

『でもね! もう大丈夫!』

「え?」

 俺が首を傾げると、女神は横へ視線を向ける。

 俺も釣られて視線を向けると……其処には俺の最愛の女性が立って微笑んでいた。

「ア……アルテミス様……」

 俺が呆然としていると、女神が優しく微笑みながら口を開く。

『さぁケン……私が会わせてあげますね』

「え? あ、会わせる?」

 俺はそう言うと同時にまた目の前が真っ白になった。

 そして……次の瞬間、俺は夢の中の世界に居た。

「こ、此処は……」

 俺が呟くと女神の声で返事が返って来た。

『此所は貴方の精神世界です』

「せ、精神世界!?」

『ええ、そうです』

 俺が驚きながら辺りを見回すと、俺の後ろに見覚えのある女性が佇んで居た。

『ケン……』

「え? あ! お、お前……」

 俺が驚いていると……その女性は近づいて来て俺に抱きついて来た。

 俺はその女性を優しく抱きしめながら名前を呼ぶ。

「オ、オリヴィエ……」

 そう……俺の前に立っている女性は、俺が初めて愛した女性だった……。

 そして彼女は微笑みながら言う。

『ケン……貴方を迎えに来たわ』

「お迎え?」

『そうよ。貴方はもう過去の呪縛から解き放たれたわ』

「え? それは……?」

『貴方は前世の……貴方の世界での最後の願いを叶えた。そして、自分の意思で此処へ来たのよ』

「え? あ……」

 俺はふと思い出した。

 ああ……そうだった、俺の最後の願いは……自分の意思で此処に来たんだった! 俺はこの真っ白な世界を見渡すと呟く。

「そうか……俺はこの世界で永遠の時を過ごす事が出来るのか」

 俺がしみじみそう言うと、オリーヴィエが微笑みながら言う。

『そうよ! 貴方は此の世界で私と永遠に愛し合うの!』

「え? あ、愛す?」

 俺が驚いてオリーヴィエに視線を向けると……彼女の顔は妖艶な微笑みを浮かべていた。

『ええ、そうよ』

 オリーヴィエはそう言うと俺の頬に手を当てて顔を近づけて来た。

 そして俺の唇に自分の唇を合わせようとした時……突然、俺とオリーヴィエの間に光輝く球体が出現した。

「な!? こ、これは……」

 俺が驚いていると、オリーヴィエは微笑んで言う。

『あら? もう時間が来たの?』

「え? じ、時間って?」

 俺が慌てて聞くと、オリーヴィエが答える。

『ええ、貴方はまだ此の世界に来たばかりで……貴方の身体と魂が完全に馴染んでいないの』

「そ、そうなのか?」

『そうよ。だから貴方が此の世界で完全に生きる為には……まだ時間が少し必要なのよ』

「そ、そうか……」

『でも安心して、私は何時まででも貴方を待てるから』

「え? そ、そうなのか?」

『うん! じゃぁケン……またね』

 オリーヴィエはそう言うと俺の唇に自分の唇を重ねようとした。

 するとその時……先程と同じ様に目の前に光輝く球体が現れてオリーヴィエを包み込んで行く。

 そして光が消えると……其処にはオリーヴィエの姿はもう無かった。

「お、オリヴィエ……」

 俺はそう呟くと、肩を叩かれて驚く。

「え? あ……」

 俺が振り向くと其処には……俺の女神が立っていた。

『うふふ、さぁ戻りますよ』

 女神は俺の手を取って言う。

 そして次の瞬間には俺達は元居た場所に戻っていた。

 女神が俺をそっと抱きしめて耳元で囁く。

『ケン……貴方が何時の日か自分の世界で最後を迎えた時に……此処で私の名を呼んで下さいね』

「え?」

 俺は驚いて顔を上げようとしたが、その前に目の前が真っ白になって意識を失った。


 ※ ※ ※


 俺はベットの上で目覚めた。

 夢から醒めた俺の脳裏にはオリーヴィエと俺の女神の微笑みが焼き付いていた。

 オリーヴィエのスリーサイズは魔法のAIの判断によると、オリーヴィエ=ボンキュッボンの超ダイナマイトボディーらしい。

 しかし俺は既に女神アルテミスと合体して永遠の愛を誓いあった仲なので今更他の女性と浮気する気は毛頭無い!

『う~ん……でも夢の中なら浮気じゃないし』

 俺がそう呟いていると……突然俺の頭に激痛が走った。

「い、痛ってぇえ!」

 俺は思わず叫んでしまった。

 そんな時である。

 突然、俺の部屋の扉が開き、妹の美咲が入ってきた。

「お兄ちゃん!朝だよ!起きて!」

 美咲はそう言いながら、俺に抱きついてきた。

 毎朝、妹の美咲に寝起きを妨げられ、仕事に追われる忙しい俺の一日が始まる。


 挿絵(By みてみん)

ご覧いただき、誠にありがとうございます!もし少しでも興味を持っていただけた場合は、ブックマークや評価をしていただけると大変嬉しく思います(*^-^*)

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