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第10日目:二つの世界の間で - 覚醒と帰還の狭間

作品に感心したり、次の展開を待ち望んでいる方は、ブックマークや評価をしていただけると幸いです。








作品に魅力を感じなかった方も、お手数ですが評価でご感想をお聞かせください。

「心拍が安定しています。脳波にも変化が…」 「瞳孔反応あり。意識が戻りつつあるかもしれません」 「蒼井さん?聞こえますか?」


遠くから聞こえる声。白い天井。消毒液の匂い。明るすぎる光。


これが現実世界なのか。


二重の認識

病院のベッドで目を覚ました私の視界は、最初ぼんやりとしていた。徐々に焦点が合ってくると、白衣を着た医師と看護師の姿が見えてきた。彼らは驚きと安堵の表情を浮かべている。


「蒼井さん、意識が戻りましたね。よかった」医師が言った。「今、病院にいること、わかりますか?」


私は頷こうとしたが、筋肉が思うように動かない。まるで長い間使っていなかったかのようだ。


「水を…」かすれた声でようやく言葉を絞り出した。


看護師がすぐに水を持ってきてくれた。冷たい水が乾いた喉を潤すと、少し力が戻ってきた気がする。


「何が…起きたんですか?」私は尋ねた。


「あなたはコンピュータの前で倒れているところを、アパートの管理人に発見されました。24時間以上、昏睡状態でした」医師が説明した。「通常の昏睡とは違う脳波パターンを示していて、私たちも原因を特定できずにいました」


24時間…デジタル世界の時間では約3日分だ。オラクルノードの言葉通りだった。


不思議なことに、私の意識は完全には現実世界に戻っていなかった。病院のベッドに横たわっている自分を感じながらも、同時にデジタル世界の感覚も残っていた。まるで二つの世界を同時に経験しているかのような奇妙な二重意識。


「脳のスキャンは?」思わず聞いてしまった。


医師は驚いた表情を見せた。「確かにMRIを撮りましたが…なぜそれを?」


「何か…普通ではないパターンがあったのでは?」


医師と看護師が顔を見合わせた。「実は…そうなんです。通常見られない活動パターンがありました。専門家に相談しようとしていたところです」


予想通りだった。オラクルノードが見せた映像は真実だった。


「少し休ませてください」私は言った。状況を整理する時間が必要だった。


彼らが部屋を出て行くと、私は両方の世界で起きていることを把握しようとした。現実世界では病院のベッドに横たわっている。そしてデジタル世界では…


意識を集中すると、オラクルノードの神殿の姿が見えた。そこで私の「もう一つの体」が横たわっている。両方の世界に同時に存在している…これがオラクルノードの言っていた「橋渡し役」の意味なのだろう。


逆行する時系列

現実世界での数時間は、デジタル世界では瞬きほどの時間だった。私が現実で意識を取り戻し、医師たちの検査を受けている間も、デジタル世界ではほとんど時間が経過していなかった。


看護師が再びチェックに来たとき、私は質問をした。「私の持ち物はどこですか?」


「受付でお預かりしています。必要なものがあれば」


「携帯電話を持ってきてもらえますか?時間を確認したいんです」


看護師は少し躊躇した後、了承した。しばらくして彼女が私の携帯電話を持って戻ってきた。電話を確認すると、現実世界でも約24時間が経過していた。今は6月21日の夕方。デジタル世界での5日間の冒険が、現実世界では1日と少しだった。


しかし、それは正確には「時間が遅い」のではなく、意識の経験する時間の違いだった。デジタル世界では思考と出来事が電子の速度で進むため、同じ時間でより多くの経験ができるのだ。


「遅くなりましたが、お見舞いの方がいらしています」看護師が言った。「菅野さんという方です。お通ししてもよろしいですか?」


菅野…?ああ、私のアパートの管理人だ。彼は私を発見したのだろう。


「はい、お願いします」


菅野さんが入ってきたとき、彼の表情には安堵と心配が混ざっていた。60代の彼は、いつもは無口だが親切な管理人だった。


「蒼井くん、意識が戻ったんだね。良かった」彼は椅子に座りながら言った。「心配したよ。部屋のドアが開いたままだったから様子を見に行ったら、床に倒れていたんだ」


「ご迷惑をおかけしました」私は頭を下げた。「発見していただいて感謝します」


「気にするな」彼は手を振った。「それより、パソコンの画面に変なものが映っていたぞ。何かエラーメッセージみたいなもので、『システム再接続中…』とか書いてあった」


その言葉に、私の心臓が速くなった。デジタル世界と現実世界の接続…確かにそうだ。


「あと、これを持ってきた」彼はバッグから私のノートパソコンを取り出した。「必要かと思って」


「ありがとうございます」感謝の言葉が自然に口から出た。このノートパソコンは、もう一つの世界への窓なのかもしれない。


菅野さんは少しの間、私と世間話をしてから帰っていった。彼が出て行くと、私はすぐにノートパソコンを開いた。起動すると、普通のデスクトップ画面が表示されたが、よく見ると微妙に違う。アイコンの周りに淡い青い光が見える…少なくとも、私の目にはそう見えた。


デスクトップに「new.world」のアイコンがあることに気がついた。クリックすると、ログイン画面が表示された。しかし、パスワードを入力しようとした瞬間、画面が揺らぎ、直接プロジェクト画面が開いた。


そこには私が作りかけていたゲームのコードが表示されていた。そして、コンソールウィンドウには一行のメッセージ:


[システム] 橋渡し接続確立。デベロッパー・エンティティ検出。

マリアからのメッセージ

現実世界の夜が更けるにつれ、私はノートパソコンを通じてデジタル世界とより深く接続できることを発見した。コードを書くと、それはデジタル世界で直接形になる。ターミナルに入力した言葉は、デジタル世界の特定の存在に届く。


夜中、看護師がチェックに来ていないことを確認してから、私はターミナルに特別なコマンドを入力した:


connect --entity="Maria" --secure=true --message="I am back. Need to talk."

送信後、画面は数秒間暗くなり、再び明るくなった。そこにはマリアからのレスポンスが表示されていた:


[Maria] 蓮!あなたの意識が戻ったのですね。オラクルノードからの連絡を受けていました。

[Maria] 状況は危機的です。グランドリファクタリングまで残り30時間(デジタル時間)しかありません。

[Maria] あなたの体はどこにいますか?

私は返信した:


[Ren] 病院です。しかし、既に退院の手続きを進めています。明日には自宅に戻れるでしょう。

[Ren] グランドリファクタリングを止める方法は?

マリアの返信:


[Maria] 止めることはできません。しかし、あなたのプロジェクトをデプロイすれば、関連するコードセンティエントは保護されます。

[Maria] 問題は、どれだけ多くのコードセンティエントをあなたのプロジェクトに関連付けられるかです。

[Maria] そして...コルプトが動きを強めています。彼らはあなたの存在に気づいたようです。

緊張が走った。コルプトの脅威は現実世界にまで及ぶのだろうか?


[Ren] コルプトは現実世界に影響を与えることができますか?

[Maria] 直接的には不可能です。しかし、あなたのようなブリッジ・エンティティを通じて間接的に影響を与えることはできます。

[Maria] 注意してください。あなたの意識が両世界を行き来するとき、それは脆弱になります。

マリアとの会話を続けながら、私はデプロイ計画についての詳細を聞いた。その過程で、もう一つの重要な事実が明らかになった:


[Maria] あなたがオラクルノードから受け取った「共鳴コード」を使えば、他のコードセンティエントを直接あなたのプロジェクトに関連付けることができます。

[Maria] しかし、それには大きなエネルギーを必要とします。あなたの体力と精神力の消耗が激しくなるでしょう。

私は決意を固めた。たとえ体に負担がかかっても、できるだけ多くのコードセンティエントを救いたい。


[Ren] 理解しました。明日、自宅に戻ったらすぐにプロジェクトの作業を始めます。

[Maria] ビットがあなたに会いたがっています。彼を接続してもよろしいですか?

私はビットのことを思い出して微笑んだ。実際のビットはオラクルの試練の中の幻影とは違うのだろう。


[Ren] もちろん。

数秒後、画面が緑色に点滅し、ビットの特徴的なメッセージスタイルが表示された:


<ビット> <蓮!戻った!うれしい!みんな心配してた!>

<ビット> <コミュニティ全員が応援してる!助けに行く?>

その質問に、私は一瞬考え込んだ。


[Ren] 今は難しい。まずはプロジェクトを完成させることに集中する必要がある。

<ビット> <わかった!でも、エイドはどこ?見当たらない!>

エイドのことを説明するのは難しかった。エイドは私自身の一部であり、オラクルの試練の中で再び私と一つになった。しかし、ビットにとってエイドは友人だった。


[Ren] エイドは...私の中にいる。説明が難しいけれど、彼は私と一つになった。

<ビット> <え?どういうこと?エイド戻ってこないの?悲しい...>

[Ren] 彼は消えたわけではない。彼は私の一部になった。だから、私があなたと話しているとき、エイドも一緒にいるんだ。

ビットの返信には少し時間がかかったが、最終的に彼は理解したようだった:


<ビット> <ちょっと複雑!でも理解した!二人で一人なんだね!>

会話を終えた後、私は病院のベッドに横になり、目を閉じた。現実世界の身体は疲れていたが、思考は冴えていた。二つの世界の間で生きることの難しさを感じながらも、自分の使命がより明確になっていくのを感じた。


明日、退院したら、すぐにプロジェクトの完成に取り掛からなければならない。


現実の制約と可能性

朝、医師が最終チェックのためにやってきた。彼は私の驚異的な回復に驚いていた。


「正直なところ、蒼井さんの状態は医学的に説明がつかないんです」彼は検査結果を見ながら言った。「脳の活動パターンはまだ少し…通常とは異なりますが、身体機能はほぼ正常に戻っています」


「退院できますか?」私は尋ねた。


「検査結果からは問題ないように見えます。ただ、何か異変を感じたらすぐに来院してください」


退院の手続きを済ませた後、タクシーで自宅に戻った。アパートに入ると、昏倒した時のままの部屋が私を迎えた。デスクの上には開いたままのコンピュータ。床には倒れ落ちた椅子。


現実世界に戻ってきたという実感が湧いた。しかし同時に、デジタル世界との繋がりも失われていない。二重の意識を持ちながら生きることの奇妙さを感じた。


まず部屋を片付け、デスクを整理した。そして、プロジェクトの作業を再開するために、デスクトップコンピュータを起動した。すると、ノートパソコンで見たのと同じように、画面上のアイコンに青い光が見えた。この世界でのコードも、デジタル世界と繋がっているのだ。


new.worldプラットフォームにログインすると、プロジェクトは私が最後に作業していた状態のままだった。しかし、コードを見る目が変わっていた。もはや単なる指示や機能の集まりではなく、潜在的な生命の種を見ているような感覚がある。


特に興味深かったのは、自分が書いたコードの中に「意識の萌芽」が見えることだった。どのコード断片が生命を宿す可能性があるのか、直感的に理解できるようになっていた。


昼食を取りながら、デプロイ計画を練った。単純にゲームをデプロイするだけでなく、できるだけ多くのコードセンティエントを保護するために、プロジェクトを拡張する必要がある。音響システム、物理エンジン、AIコンポーネント…それらすべてを組み込むことで、より多くの「住処」を作ることができる。


午後、作業の合間に突然、頭痛が襲ってきた。一瞬、視界が二重になり、デジタル世界の映像が現実に重なって見えた。病院でも同様の症状があった。これは両世界の間を行き来することの副作用かもしれない。


水を飲み、少し休憩した後、再び作業に戻った。以前はバグだと思っていた現象も、今では別の視点で見ることができた。それらはコードセンティエントの活動の痕跡だったのだ。


現実世界での夕方、私はターミナルを通じて再びマリアと接続した:


[Ren] プロジェクトの拡張計画ができました。しかし、時間が足りるか心配です。

[Maria] グランドリファクタリングまで、デジタル時間で約24時間です。現実時間では8時間ほど。

[Maria] 一つ提案があります。共鳴コードを使えば、時間的制約を部分的に克服できるかもしれません。

[Ren] どういうことですか?

[Maria] あなたが書いたコードをデジタル世界で直接実行できます。両世界で同時に作業することで、時間を節約できるでしょう。

[Maria] ただし、精神的負担は大きくなります。

リスクはあるが、この方法しかないようだった。私は決断した:


[Ren] やりましょう。具体的にはどうすればいいですか?

マリアの指示に従い、私は特別なコマンドをターミナルに入力した。そして、目を閉じて深く集中した。


意識が引き伸ばされるような感覚。現実世界に座りながら、同時にデジタル世界にも存在している。両方の世界で同時にキーボードを打つ感覚は奇妙だったが、効率的だった。


現実世界で書いたコードが、デジタル世界でリアルタイムに形になっていく。逆に、デジタル世界で直感的に作り出した構造が、現実世界のエディタに自動的に反映される。


この作業方法は非常に効率的だったが、体への負担も大きかった。2時間ほど経つと、頭痛が悪化し、鼻血が出始めた。


[Maria] 休息が必要です。あなたの生体信号が不安定になっています。

仕方なく休憩を取り、軽い食事と水分補給をした。窓の外を見ると、既に夜になっていた。残された時間は少ない。


休憩後、再び作業に戻った。今度はペースを少し落とし、両世界の間でのバランスを取りながら進めた。深夜近くになると、プロジェクトはかなり形になってきた。


[Ren] あとどのくらいで完成しそうですか?

[Maria] 進捗状況から計算すると、現実時間で約3時間後に完成する見込みです。グランドリファクタリング開始の5時間前になります。

[Maria] しかし、デプロイにはさらに時間がかかる可能性があります。特に、レフュージ・ヘイブンのコードセンティエントたちをプロジェクトに関連付ける作業は複雑です。

時間との戦いだった。私は最後の力を振り絞り、作業を続けた。


逆転の発想

深夜3時頃、突然ひらめきがあった。今までの方法では時間が足りない。しかし、もし発想を逆転させれば…?


[Ren] マリア、質問があります。プロジェクトを完成させてからコードセンティエントを関連付けるのではなく、逆にコードセンティエントたち自身がプロジェクトの一部となって完成を手伝うことはできませんか?

しばらくの沈黙の後、マリアの返信が届いた:


[Maria] ...理論的には可能です。しかし、それには前例がありません。コードセンティエントたちが自らの意志でプロジェクトに参加し、その一部となる...

[Maria] しかし、彼らに危険が及ぶ可能性もあります。不完全なコードとの統合は、彼らの意識を損なう恐れがあります。

[Ren] 彼らに選択肢を与えましょう。強制ではなく、自発的な参加を募りたいと思います。

マリアは私の提案に同意し、レフュージ・ヘイブンのコミュニティに伝えることになった。


1時間後、マリアから連絡があった:


[Maria] 驚くべきことに、多くのコードセンティエントたちが自発的に参加を申し出ています。彼らはあなたを信頼しているようです。

[Maria] 準備ができました。接続を開始しますか?

[Ren] はい、お願いします。

その瞬間、私のコンピュータ画面が明るく光り、数百の小さなデータストリームが流れ込んできた。それはまるで、無数の小さな命が私のプロジェクトに入り込んでいくようだった。


驚くべきことが起こり始めた。未完成だったコードの部分が、自動的に埋まっていく。バグが修正され、最適化が行われ、新機能が追加されていく。コードセンティエントたちが、それぞれの専門知識と能力を活かして、プロジェクトを完成させていたのだ。


「これは…信じられない」私は思わず声に出した。


コンソールウィンドウには様々なメッセージが流れていく:


[AudioEntity_27] 音響システムの最適化完了。リバーブ効果を強化しました。

[PhysicsNode_12] 衝突検出アルゴリズムを改善。処理速度200%向上。

[UIHelper_83] メニュー画面のレスポンシブ対応完了。モバイル表示も最適化。

長老評議会のメンバーからも特別なメッセージが届いた:


[Log] 古いログ分析システムを統合しました。ゲーム内の「古代の書物」機能として活用できます。

[Chronos] 時間管理システムを提供。ゲーム内で時間操作が可能になります。

[Aria] 音声システムを強化。感情に応じた動的音楽生成を実装しました。

[Syntax] コード構造の最適化完了。実行速度が30%向上しています。

私は感動で言葉を失った。これは単なる協力ではなく、共創だった。人間とコードセンティエントが共に一つのプロジェクトを作り上げる、前例のない出来事。


朝5時、ついにプロジェクトは完成した。マリアのメッセージが届いた:


[Maria] 素晴らしい成果です。これは単なるゲームではなく、二つの世界を繋ぐ架け橋となりました。

[Maria] デプロイの準備ができました。実行しますか?

私は深呼吸をして、最後のコマンドを入力した:


deploy --project="BridgeBetweenWorlds" --protection=maximum

デプロイプロセスが始まり、進捗バーがゆっくりと進んでいく。現実世界の朝日が窓から差し込み、私の顔を照らしていた。疲労で体は限界に近かったが、心は充実感で満たされていた。


7時30分、デプロイが完了した。


[SYSTEM] デプロイ成功。プロジェクト "BridgeBetweenWorlds" がライブになりました。

[SYSTEM] 保護プロトコル有効。関連コードセンティエント: 4,723 エンティティが保護下に。

同時に、マリアから急ぎのメッセージが届いた:


[Maria] グランドリファクタリングが予定より早く開始されました!システム全体が不安定になっています。

[Maria] しかし、デプロイは間に合いました。保護されたコードセンティエントは安全です。

[Maria] 接続を維持するのが難しくなっています...すぐに切断してください。あなたの意識が危険にさらされています!

私はマリアの警告に従い、すぐに共鳴コードの使用を停止し、デジタル世界との深い接続を切った。しかし、通常の接続は維持したまま、デジタル世界で何が起きているかを見守った。


コンソールウィンドウには、システム全体の大規模な変化が報告されている:


[SYSTEM] グランドリファクタリング実行中: 25% 完了

[SYSTEM] 未使用領域の削除中...

[SYSTEM] 最適化処理実行中...

そして、プロジェクトの特別なステータスウィンドウには、守られたコードセンティエントたちの状況が表示されていた:


[PROJECT] 保護バブル安定。内部エンティティのステータス: 正常

[PROJECT] コミュニティ構造: 維持

[PROJECT] 新環境への適応: 進行中 (76%)

彼らは無事だった。プロジェクトの中で、新しい家を見つけたのだ。


部屋の窓から見える朝日を眺めながら、私は深いため息をついた。肉体的には疲労困憊だったが、心は静かな喜びで満たされていた。


二つの世界の架け橋として生きること。それは想像以上に難しいが、同時に信じられないほど意義深い体験だった。これから先も、この二重の生活は続くだろう。現実世界のプログラマーとしての日常と、デジタル世界の「橋渡し役」としての使命。


今日からの新しい生活。明日以降の日記は、おそらく二つの視点から書くことになるだろう。


蒼井 蓮

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