プロローグ 「お嬢様と勘違いされたただの田舎娘」
今回は勘違い系の小説を書いてみました。面白いと感じた人はブックマークや感想お待ちしております。誤字脱字があると思いますが暖かい目でご覧ください
それではどうぞ!
(……緊張するべぇ……初めての都会の学校……友達出来るべかな?)
オラの名前はアレクシア・フォン・ルクセンブルクだべ。北海道札幌市から一人で転校して来た女子高生だべ!今日から蒼月高等学校に転入するんだべが……蒼月高等学校の校舎デカすぎるべぇよ!……前まで登校していた高校は田舎のうらぶれた雨漏りする木造一階建だっただべが……転校した校舎は三階建ての白亜の鉄筋コンクリートのそれは随分と大きく小奇麗で目を回しそうになってしまうべ……
思わず現実逃避気味に先のように懐かしい事を思い出す。
ともかく圧倒されたままではいけないと、気を取り直して職員室に向かう。
既に面倒な手続きなどは終えているようで、そのまま担任の先生と共に教室に向かう。
扉の上には二年A組のプレート。ここが今日からアレクシアが通う教室らしい。
ガラリと開けた瞬間、入口からして興味の視線が突き刺さり、一瞬ビクリと肩を震わせ緊張する。当然だべ。田舎の全校生徒より多い人数が一部屋に集められているから。
「今日は転校生を紹介するぞ~……アレクシア・フォン・ルクセンブルクさんだ。仲良くしてやってくれ。」
「すげ~本物のお嬢様だ!」
「名前からしてまごう事なきお嬢様だな。」
「…………。」
「お嬢様にしか許されない髪型してるもんな。」
「……だな。……立ち振る舞いからしてお嬢様力が高そうだぜ……。」
「美少女転校生来た~!……めちゃくちゃ可愛いわね。」
「前髪縦ロール似合いすぎじゃない?」
(……お嬢様!?……お嬢様ってなんだっぺ!?……オラのこと言ってるべか!?……オラ……田舎から出てきたばっかでなんもわかんねぇけど……絶対勘違いされてるっべ!!
うち……親は日本人じゃねえけど田舎の農家だし……オラはただの田舎娘だし……皆が思うお金持ちの娘じゃねっぺよ!……髪型だって朝起きたら自然にこうなってるだけだっぺ~!!)
「おいおいこりゃアイツが黙ってねぇぞ。」
「今までこのクラス一のお嬢様だった……雨宮 綾乃様がよお!!」
皆がある方向に視線を向ける。雨宮 綾乃と呼ばれた少女は急に席を立ち、オラに詰め寄って来る。
「貴方……礼儀ってものがなっていませんことね。私を雨宮グループの令嬢として知ってのことかしら?このクラスにお嬢様として転入してくるならまずは私に話を通すのが筋ってもんですわよ。」
(……意味わからないべ……都会てこわいべさ~!!……こうゆう時は笑顔!笑顔で敵意がないってことさ伝えんべ!……森で猿に襲われた時も笑顔でいたら何故か帰ってくれくれたべ!)
「……フッ。」
「……なッッ!?」
雨宮 綾乃は雨宮グループの一人娘として生を受けた。小さい頃から裕福な暮らしで欲しい物はなんでも手に入った。周囲からはもてはやされた私が偉いんだと思っていた。今までのご令嬢や殿方は私の圧を掛けた瞬間、恐れ慄きあまり関わろうとしなかったが目の前のアレクシアという転校生は私の圧に屈さず一笑で返した。
(この私の圧を一笑に付した……!?まさか雨宮グループすら凌駕する大富豪のご令嬢だとでもいうの……!?)
「……負けましたわ……ですがあまり調子に乗らない事ですわね!……絶対私が頂点だという事を思い知らせてやりますわ!……覚悟なさい!」
雨宮 綾乃と呼ばれた少女は捨て台詞を吐いて自分の席に戻っていった。
「雨宮お嬢様を容易く退けた……」
「こりゃ二ーA組は荒れるぜぇ……」
「……えっと……自己紹介はこれくらいにして席に着いて貰おうか。アレクシアさんの席はあそこだ。」
「……はい。」
やたらと視線を感じるが気にせず担任の先生から教えられた席に向かい席に座る。
「……怖かった……田舎に帰りたい。」
席に着いたオラは小さい声でそう呟くのだった。