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テーマ詩集:階段

あしたへの階段

作者: 歌川 詩季

 エレベーター苦手です。

 千羽鶴の羽を束ねた翼では

 向こう岸に届かない願いだとしたって

 一夜漬けで語った愛の台詞(せりふ)さえ

 向こう見ずな戦場へと僕らを駆り立てる


 永遠(とわ)の螺旋より (つか)()の一段で

 ストップをかけた臆病さを(むし)りとれたなら

 

 細い足首が(きし)んでも

 欠けたつまさきをとがらせて

 悲劇と惨劇でつづいた三部作

 そのみっつめに望みを託すんだ

 のぼるのをやめたとき

 そこであしたは途切れるのだから



 千日手(せんにちて)のひらを重ねた膠着(こうちゃく)

 向こう(ずね)をつかまれた歩みだとしたって

 一夜きりではぐれた愛を呼び戻せ

 向かうところ敵なしだと僕らは駆けまわる


 (ゼロ)の暗闇は しばらくの踊り場で

 ステップを踏んだふたりには踏み越えられるよ


 細い足首がちぎれても

 割れたつまさきで切り裂いた

 毒牙とくちびるを交わせば花も散る

 その覚悟だけ(おおやけ)に示すんだ

 疲れたら振り向けば

 そこにきのうは横たわっているさ

 エスカレーターのほうがまし。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  >のぼるのをやめたとき   そこであしたは途切れるのだから  このフレーズがいいなぁと思いました。  諦めてしまえばそこで終わりなのですよね。  ゆっくりでも一歩一歩進むことができたら…
[良い点]  ひとりじゃないのがいいですよね。  一緒に登る誰かがいること。  互いにペースが合わない時もあるかもしれませんが。  見えているなら追うのも待つのもできますよね。 [一言]  エレベータ…
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