あしたへの階段
エレベーター苦手です。
千羽鶴の羽を束ねた翼では
向こう岸に届かない願いだとしたって
一夜漬けで語った愛の台詞さえ
向こう見ずな戦場へと僕らを駆り立てる
永遠の螺旋より 束の間の一段で
ストップをかけた臆病さを毟りとれたなら
細い足首が軋んでも
欠けたつまさきをとがらせて
悲劇と惨劇でつづいた三部作
そのみっつめに望みを託すんだ
のぼるのをやめたとき
そこであしたは途切れるのだから
千日手のひらを重ねた膠着に
向こう脛をつかまれた歩みだとしたって
一夜きりではぐれた愛を呼び戻せ
向かうところ敵なしだと僕らは駆けまわる
無の暗闇は しばらくの踊り場で
ステップを踏んだふたりには踏み越えられるよ
細い足首がちぎれても
割れたつまさきで切り裂いた
毒牙とくちびるを交わせば花も散る
その覚悟だけ公に示すんだ
疲れたら振り向けば
そこにきのうは横たわっているさ
エスカレーターのほうがまし。