編入試験
適当な場所で降ろしてもらい、高等魔導兵育成所の前まで私はやって来た。
通称“アカデミー”と呼ばれているが、アカデミーの門は開け放たれている。
どうすればいいか分からず、数分校門の前をウロウロしていると、知った気配が近付いてきた。
「お...お姉様?」
「やっぱり貴女だったのね?」
「やっぱり?」
「そう、知った魔力が校門前をウロウロしてたら、貴女もやっぱりと言うと思うわ!」
「確かに...」
「でしょ?」
姉のマリアは、腰に手を当ててため息をつく。
「あ!お姉様!これを!」
そう言って私は、姉に父親から預かっていた封筒を渡す。
「ん?封書?あぁ...あの件ね」
「へ?」
「ううん...何でもない、こっちの話よ!」
「はぁ...」
何の事かさっぱり分からず、私は目を点にする。
「それより、編入試験受けにきたんでしょう?」
「あ、うん」
「案内するわ」
姉はそう言って、私の手を取って道案内を始める。