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第九話 大樹、お忍びで『さくたろう』に訪れる

うなぎ料理屋『さくたろう』の営業時間は令和日本で言うなら午前十一時から午後二時まで。夜間の営業はしない。定休日は七日に二日、それだけでも十分に利益はあると作太郎は見込んだ。その見込み通り、開店以来『さくたろう』は大繁盛、各琵琶湖の町から遠征してくる者も少なくない。


作太郎の成功を見て真似をしようと試みる料理人が数名いたものの、どうしても同じ味に仕上がらずに断念している。それはそうだ。昨日今日では作太郎の所有する『うなぎのたれLv47』に及ぶものではなく、またつい先日に最大の50にレベルが上がった。至宝のたれに戦国期の琵琶湖天然うなぎ、調理する作太郎には『磐鹿六雁命いわかむつかりのみこと』という料理の神様のサポートカード、一度食べたら忘れられない味だ。


嫁三人の給仕の手際も良く、作太郎は調理だけに専念できる。営業を終えて暖簾をしまうと嫁たちが心待ちにしている作太郎ランチの始まりだ。

『令和日本のオーパーツは出さない』

そう決めていた作太郎だが、美味しそうに食べる嫁たちの顔が可愛らしくて仕方ない。ついつい出してしまう。今日は市場で仕入れた卵を使った出汁巻き卵と茄子と鶏肉の味噌炒めだ。

「「「いただきまーす」」」

仕事でお腹がペコペコの嫁三人は大盛のどんぶり飯を豪快に食べていく。

「「「美味しい~♪」」」

うなぎ料理以外出さない店なので、この特別メニューを食べられるのは作太郎の嫁さん特権だ。彼女たちは旦那の作太郎に胃袋を鷲掴みにされてしまっている。

「この卵焼き最高~!」

作太郎の元に来たばかりの弥生はお粥しか受け付けなかったが、今は武家娘として、それはどうなのかと言いたくなるほど豪快に飯を食べている。

しかし、作太郎は自分の料理を美味しそうに食べてくれる妻たちの顔が好きだった。


作太郎の店には浅井久政も始め、浅井の重臣たちもよく訪れている。町民たちと共に律儀に行列に並んでいる構図は大河ドラマでも見られない光景だ。



そんなある朝、能が体調を崩した。幸いに店は定休日だ。

作太郎が伏せる能を診察したところ

「能」

「はい…」

「そなた、妊娠しているぞ」

「えっ、えええっ!」

「ありがとう、能!俺とそなたの子供だ!」

「「おめでとうございます、能様!」」

紗代と弥生も能を祝福した。作太郎はうなぎ屋『さくたろう』が軌道に乗ると嫁たちに避妊の法術は使わなくなった。もちろん嫁側も納得している妊活だ。

妊活開始から、そう間もない今、ついに能が妊娠したのだ。能は横になりつつ感激の涙を流す。

「あああ…。ついに母親になれるのですね…。あの病魔に侵された時、もうなれぬと思っていました。だけど旦那様のおかげで…うううっ」

「体を大事にするのだぞ。もうそなただけの体ではないのだから」

「はい」

「旦那様」

「ん、どうした弥生」

「旦那様が避妊を止めたのは、つい最近のこと。遠からず私と紗代様も妊娠するかと。となると今のうちから『さくたろう』の仲居を出来る者を育てませんと」

「確かに弥生様の言うとおりね」

紗代も頷く。続けて能も

「旦那様、私もいま少し働けます。今のうちから私たち三人が妊娠期間に入ってもお店が回せるよう人を雇って育てねば」

「そうであったな、能の妊娠に浮かれて、そんなこと気づかなかったよ。弥生、よく言ってくれた」

顔を赤くする弥生、この四人の中で一番年上だから、しっかりとしているのかもしれない。

「藤兵衛殿に相談するか」

「それがよろしいかと…。ああ、嬉しい、私の赤ちゃん…」



実際の戦国時代は不明だが、この世界では妊娠が判明すると房事は避けるのが常識だ。

作太郎も『郷に入れば…』と思い、能に触れることは遠慮した。となると…

この日、能、紗代、弥生は三人だけで話した。

「避妊をやめて数日で私は妊娠しました。弥生様の言う通り、遠からず紗代様、弥生様も旦那様の子供を宿しましょう。熱田神宮で不妊と診断された織田家のねね様を治してしまった旦那様、その後に清州で再会したねね様は妊娠していました。母体が不妊でも関係がない。つまり旦那様が意図的に避妊をしなければ女子は確実に妊娠するのです」

「能様の言う通りです」

「私たち三人が房事のお相手が出来なくなります」

紗代と弥生は頷き、能が本題を話す。

「かと言って、色町に行くことは認められません。旦那様とて人間ですから病をもらうこともあり得ます。私たちでお妾さんを探しましょう。旦那様は女子が好きです。空閨を強いるのは可哀そうですから」

「「お妾さん…」」

妊娠により房事の相手が出来なくなった妻が夫に妾を世話するのは、そんなに珍しい話ではない。夫が他所で女を作るより、自分の知る女の方が妻には安心である。


「私たち三人が知る女子で、かつ旦那様の妾に相応しいとなると…」

そんな都合のいい女性がいるか?紗代と弥生が考え込んだところ

「あ、市場で働く夏江さんはどうでしょうか」

紗代が手をポンと叩いて言った。夏江という女性は、この時代において身長が六尺以上(185cm)ある巨躯、一度嫁いだものの夫は六角家との戦で討ち死に。現在今浜の市場で作太郎がうなぎ漁を依頼している漁師の元で働いている。


ある日、予想を超える来客数となり、うなぎが足らなくなりそうな事態に陥ったことがあった。急ぎ紗代が市場に駆けて、大急ぎでうなぎを用意してほしいと馴染みの漁師に頼んだ。幸いにうなぎはあったので、その場にいた夏江が十数匹以上のうなぎが泳ぐたらいを三つ重ねて持ち、走って『さくたろう』に運んでいった。

巨躯であるうえ怪力無双、走れば韋駄天のごとく。その様を見た時は作太郎さえビックリしたものだった。歳は十八歳、弥生と同い年だ。


「紗代様、名案です!あの方なら絶倫の旦那様のお相手が出来ます!」

弥生が同意した。

「でしょう?あの方は性根もさっぱりした方ですし、私たちとも仲良しですから申し分ないですよ!」

紗代の意見に納得した能は

「紗代様と弥生様の妊娠が判明したら、すぐに旦那様とも相談のうえ、夏江さんに交渉しましょう。必ず間にお金を入れることです。そうすれば後腐れもございませんから」


まだ妊娠してもいないのに、この話は必要かと紗代と弥生自身思わぬでもなかったが、能の予想通り、ほどなく紗代と弥生も妊娠した。飛び上がって喜ぶ作太郎を見つつ、どれだけ強い種なのだと嫁三人は心の中で突っ込みを入れた。



『さくたろう』の仲居見習いは座と市場を経て、三人の女を雇うことが出来た。

三人の女は今浜の町郊外に住む農民だ。六角家との戦で夫を失い、子供を連れて町で仕事を求めていたところを座と市場から『さくたろうの給仕はどうか』と勧められ働くことに。

はる、ちよ、とみ、三人とも給金は良いうえ、まかないで腹いっぱい食べられると聞き、大喜びで話を受けた。

郊外から町に住むことになるので、作太郎は彼女たちに屋敷を与えて寮とした。

能、紗代、弥生は一旦リタイアとなるが、きちんと新人研修と引継ぎは済ませたので問題はない。


その一方で

「えっ、私が大将のお妾さんに?」

「はい、私たち妻三人とも妊娠してしまいましたので、主人と房事に及べません。かといって色町に行くことは認められません。それで私たちは夏江さんが適任と思った次第で」

うなぎの仕入れのため『さくたろう』に訪れた夏江に能が話を持ち掛けた。

「一度の行為で一貫支払います。これでどうでしょうか」

「いや、そんな大金をもらうほどの体じゃありません。それに…私はこの通り大女です。大将が嫌がりませんか?」

「もちろん、事前に私たちから主人に『夏江さんはどうか』と勧めています。主人も乗り気でしたので自分から夏江さんに伝えたかったようですが、見ての通り仕込みで忙しいので私が…」

「えっ、大将は私がいいと思ってくれたのですか?」

「まことに言いにくいのですが…主人はその…絶倫なのです。妊娠前は毎夜、私たち三人を同時に愛でるほどに。頑健な体をお持ちの夏江様なら適任かと思いました。それは主人も同様のようです」

「まあ…だいだらぼっちを一人で倒すほどのお人ですからね…。納得です」

「どうでしょうか、夏江さん」

「ごめんなさい、やはり大将自らにお話を受けたいです。夕方、もう一度ここに参ります」

「分かりました」

能は手応えを感じていた。市場の仕事ではなく、お妾になる、ならないについてここへ来る。

夏江自身が乗り気である証だ。この戦の世、強い男は女に好意を持たれるもの。まして、だいだらぼっちなんて怪物を倒した漢ならば。



夏江、実を言うと彼女は『異日本戦国転生記』にも登場するヒロインだ。

武士、商人、忍者、そして現在作太郎が就いている料理人、様々な人生を選べる主人公。

そして武士に限らず、それなりの実力者ならば複数の女性を妻に出来る。能、紗代、弥生と言った歴史に名を残すお姫様たちもそれに該当する。


夏江の場合はお姫様ではないが、ちゃんとモデルが存在する。福島正則に仕えた大崎玄蕃という武将がいる。ある日、正則居城の清州城にあまり容貌がよろしくない大女が奉公先を求めてやってきたが誰も雇わない。大女であるに加えて怪力無双、誰が召し抱えると言うのか。

しかし玄蕃は同僚や家来の反対を押し切って雇うのだった。その後に玄蕃は二万石の大身になった。女は献身的に玄蕃に仕えて、ついには家中の経理さえ任されるほどになったと言う。


だが福島家改易と共に、玄蕃も牢人となってしまう。その時に女は玄蕃に金銀およそ八千両を渡した。こんな大金どうしたのか、と問うと『殿様は銭勘定に疎いから私が万一の時のために貯めておきました』と言い、去っていったと言う。

この名前どころか存在さえ知られていない女傑をモデルにした女性が夏江なのだ。『戦国武将、夢の共演』シナリオなので現れる場所と時代は完全にランダムであるため、織田信長の台頭前に今浜の町に登場した。

身長六尺以上という巨躯に怪力、走れば韋駄天、そして夏江という名前。作太郎はあの『夏江』だろうと思ってはいたものの、自分の女にすることまでは考えていなかった。

しかし、能たち嫁三人から『夏江はどうか』と言われれば、その気になってしまったわけだ。


夕方、明日の仕込みを終えたころ、夏江が『さくたろう』に訪れた。

作太郎はそのまま湖畔に誘った。

「急な話で驚いたと思う。嫁になれ、ではなく妾になってくれないか、だものな」

「はい、でも全然嫌な気持ちにはなりませんでした」

「そうか、それは嬉しいな」

「でも…私は大女だし、大将に満足してもらえるかどうか…」

「行為はもちろん、女の柔肌に触れるだけで癒されるものだよ。毎日はお互い無理だろうけど」

作太郎は湖畔の洒落た宿の前で立ち止まった。浜風荘という高級な宿だ。

「ここで五日に一度、俺の相手をしてくれないか」

「五日に一度でいいの?能様から絶倫と聞いていたから毎晩かとも思っていたのだけど」

「そりゃ、出来ればそうしたいが、これから嫁たちには悪阻や何やら出産に向けて色々とあるだろうから、その世話もしなくてはならない。なに、五日に一度ご褒美があると思えば頑張れるよ。もちろん、お手当も出す」

「分かった。でも一貫もいらない。半分の五百文でいい。それとたまにうな丼、大将が嫁たちに食べさせているまかないを私にも食べさせてくれること。これでいいよ」

「それでそなたを抱けるなら喜んで」

「それじゃ大将、さっそく本日を五日に一度の日にしましょう」

「いいのか?」

「うん、大将がいいのなら元々引き受けるつもりだったからね」

作太郎と夏江は宿に入っていった。



作太郎の妻たちの腹も膨れ始め、夏江との睦みあいも大満足の日々。『さくたろう』の営業も順調だ。そんなある日、店の定休日に仲居を務める女三人が住む寮に赴いた時のこと。

「「旦那様、おいらたちに武芸を教えて下さい!」」

はるの息子しげ、ちよの息子ゆう、とみの息子いぞうが三人揃って作太郎に願い出てきた。小さな男の子にとって、怪物だいだらぼっちを倒した男ともなれば憧れて当然だ。

その人物が母親の雇用主となった。こんな幸運を逃したくなかったのだろう。


「どうして武芸を習いたいんだ?」

作太郎が問うと

「強くなって、おっかぁを守りたいんだ」

しげは作太郎の目を真っすぐに見据えて言った。しげの母はるを見ると嬉しそうだった。

それぞれの母親に

「そなたらも望むことなのか?」

「「はい」」

さらにちよは申し訳なさそうに

「あと…子供たちに学問も教えてもらえればと…」

はる、ちよ、とみも作太郎と共に働いてしばらく経つ。作太郎が特に意識はしていなくても自然に『旦那様は大変賢い方だ』と言うのは伝わるものだ。

「いいだろう、しげ、ゆう、いぞう」

「「はいっ」」

「お金は使えば消えるし、時にずるいやつから奪われる。しかし体得した武芸と知恵は誰もお前たちから奪えない。一生の宝となるものだ。それを仕込むからには容赦はしない。修行は厳しいぞ」

「「はいっ、お師匠様!」」

幸いに寮には庭もあるので稽古をする場には困らない。


「得物を使う武芸もおいおい教えるが、最初は拳と蹴りで戦う術を仕込む。いいか、俺が教える武は女子供を守るもの。愛する者を守るもの。けして己より弱き者に向けてはならぬもの。そう常日頃から心がけておけば俺の嫁三人のような可愛い娘を娶ることが出来る」

「「ほんと!?」」

目を輝かせる三人の童子。彼らは能、紗代、弥生が美女ということは実際に見ているのだから。子供心ながら、こんな綺麗な女の人は見たことが無いと思うくらいに。師匠のように強くなれば、あんなお嫁さんが自分のところに来てくれるのかと思えば、そう心は折れない。上手いことを言うものだと童子の母親たちは苦笑していた。


まずは消防体操から始め、その後は体力錬成、訓練礼式を仕込むのだった。

童子の体力なら、もうこのくらいで音を上げるが、さすが『可愛い娘を娶れる』が効いているのか、まだやる気十分。作太郎は脳内の『異日本戦国転生記』のゲーム画面でサポートカード『SSR◆4達磨大師』をセットした。

「よし、俺と同じ構え、動きをするのだ」

「「はいっ!!」」

この三人の弟子は後に…。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「ここが評判のうなぎ料理屋か…」

一組の主従が『さくたろう』の前に訪れていた。

「たい…」

「与一郎、新之助と呼べと言ったであろう。並ぼう」

「町民の後ろにでござるか?」

「当然だ。領主の久政も律儀に並ぶと聞くぞ」


「いらっしゃいませー!お二人ですか?」

「ええ、二人です」

「こちらの三番卓にどうぞ」

はるが応対し、席に案内、主従が座った。

「新之助様、話には聞いておりましたが、大将があれほど若いとは」

「確かに。料理人の修行を始めたばかりのような年頃よの…」

『さくたろう』はうな丼の美味しさも売りだが大将作太郎の調理の見事さもまた売りだ。客席から厨房は見られるようにしてある。女性客の中には、うっとりとして、その作太郎の姿を見つめる者も。

「ご注文はお決まりですか?」

「ふむ、うな丼の大盛二杯いただこうか」

「はい、大将ー!三番卓、うな丼大盛二杯です!」

「はいよっ!」


「料理はまるで素人の儂だが大将の手際が見事なのは分かる。剣の道にも通じるものがある…。というより」

「かなりの使い手でございますな。だいだらぼっちを倒したなんて噂は眉唾と思いましたが本当かもしれませぬ」

「しかし召し抱えたいなんて言ったら今浜の民から袋叩きにされような。ははは」

「男のそれがしでも見惚れるほどの手際、これほどの注文の数に慌てることもなく、あれほど見事に…」


うな丼は調理を終えるまで時間がかかる。退屈しないよう、自分の調理している姿を見せている作太郎。粋な若大将が手際よく調理している姿は、まるで優美な舞を見ているかのようだ。主従も見惚れている。

「聞いた話では、最初は彼の妻三人が仲居を務めていたそうで」

「確か、太田、北条、六角の姫であろう。戦国大名の姫を三人も娶るとは大した器量じゃな。しかも太田と北条は犬猿の仲だと言うのに」

「今その姫たちは妊娠して屋敷で養生、交代して入った仲居たちも…」

「年上の女たちを見事に使いこなしているな。生き生きとした顔をして働いている。あの若者、人の使い方も巧みと見た」


そうこう作太郎を分析していた主従の卓に

「うな丼大盛、お待たせしました」

「ん、この小さなお椀は何か」

「うなぎの肝を使った吸い物です。熱いうちにどうぞ」

「「うなぎの肝…」」

蓋を開けると何とも言えない芳醇な香り、すすってみると

「これは…!」

「これほどの美味は知りませぬ…!絶妙な塩加減に何とも言えない奥深さ!」

与一郎自身、料理が得意だ。その彼がこれほどの美味は知らぬという。

うな丼の蓋を開けると

「何たる美しさだ…」

「たまらない香りにござる」

一口食べ始めると、もう止まらない。主従は勢いよくうなぎと飯をかきこんでいく。付け合わせの漬物も絶品だった。それもそのはず、作太郎の前世秀雄は『異日本戦国転生記』をプレイしている時『ぬか床Lv48』という破格のアイテムを作ることに成功している。その破格のアイテムを実際に使うことが出来る作太郎。このぬか床に漬けられた大根や胡瓜は究極の漬物と化す。

「うな丼、吸い物、そしてこの漬物…。これはもう卑怯としか言えぬ…。これを質にされたら儂は何でも言うことを聞いてしまいかねない…」

「ううむ…」

「どうした与一郎?」

「もう一杯食べようかと迷っております」

「よしておけ、もの足りぬと思うくらいがちょうどいいのだ」

「そうですな」

「では勘定を済ませて帰るとするか」

支払い場で財布を出した男は調理場の作太郎に

「大将、ご馳走様、とても美味しかった。また来るよ」

「ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております」


店を出て、与一郎は苦笑しつつ

「将軍足利義輝に『大将』と呼ばれる男は、あの若者くらいでしょうな」

「そうよな、藤孝、ははははは!」

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